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![]() 柳井です。 私の好きな画家の1人に中島潔がいます。霞むように周囲を眺める幼い子供。その子供を取り囲む淡い色調の草花。日本人にとっての“美しさ”という物を思い出させてくれる、そういった作家です。その彼の画文集「風と花と恋と」を数年前に購入しました。 この本自体は素晴らしいものです。しかし、実際に目にした作品の感動はその比ではありません。 まずサイズが違います。実物は視界を覆うほどの巨大な絵です。次に、滲みながら重なり合う色の境界。本ではこのような細部は全て掻き消えています。そして、決定的な差は白の筆致です。砂糖菓子のように美しく滑らかな質感を持ち、絵の上に玉露のように盛り上げて撒かれた白の滴の数々──。本では質感や立体感を伝えられません。 メディアが発達した現代でも、実物の感動を伝えることは難しいです。「伝えられないことがある」そこに開発者が取り組むべき課題があるように思えます。 |
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