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From IT人材ラボ

サイバーエージェント アドテク部門のオフィス刷新プロジェクト〜コミュニケーション促進で開発を加速、そのために仕掛けたこと

現場がぐんぐん加速する はたらく空間メイキング | #1


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 株式会社サイバーエージェントのアドテクノロジー部門には、開発横断組織の「アドテクスタジオ」があります。350名ほどのエンジニアやクリエイターが所属し、そのうちの3分の2が開発メンバーです。2016年10月、アドテクスタジオはオフィスの大規模なリニューアルプロジェクトを実施し、オフィスフロア面積の3分の1に当たる約330平方メートルをクリエイティブなスペースへと変貌させました。コンセプトは「本当に集中して開発でき、スピードが上がるオフィス」。筆者はこのオフィスリニューアルのプロジェクトマネージャーとして、エンジニアと共にこのコンセプトの実現を目指しました。本稿ではそのために意識し仕掛けたことや、オフィスオープン後の変化についてご紹介します。

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IT人材ラボ

CodeZine読者の皆様、こんにちは。本稿は、IT人材の採用・育成・活用・評価を支援するWebメディア「IT人材ラボ」で公開中の記事の試し読みページです。全文はIT人材ラボのこちらのページでお読みいただけます。

人と環境にしっかり投資したい

 アドテクスタジオのオフィスリニューアルプロジェクトは、担当役員からの「人と環境にしっかり投資したい」というオーダーから始まりました。サイバーエージェントのようなWeb系企業は在庫を保有しないので、利益の還元先は「人材と環境」になります。当時は部署単体の利益が伸びてきたタイミングであり、それを社員に還元したいという意向から、オフィスのリニューアルプロジェクトが決まりました。

 近年、Web系企業ではオシャレなオフィス空間を構えるところが増え、メディアにもよく取り上げられています。Web系企業は若いメンバーが多く、オフィスへの投資は海外含め業界のトレンドであることに加え、前述したように在庫を保有しないため、人と環境といった働きやすさの改善に投資できるためだと考えられます。

 私は経営管理を主務としているため、オフィスの企画設計は未経験でしたが、「せっかく担当するのならばかっこいいだけじゃなくて、経営や開発スピードに確かな効果が出るオフィスを作りたい」と考え、当時、組織の強化ポイントであった「エンジニア同士の横のつながり強化」「最新技術・テクノロジーへの挑戦」「アドテクマーケットの知識強化」にもアプローチすることにしました。

かっこいいだけのオフィスはエンジニアにとって意味がない

 オフィスプロジェクトチームには、現場のエンジニアにも参加を呼びかけました。集まったエンジニアは、最高技術責任者、女性のテックリードエンジニア、若手、事業責任者、エンジニアリングマネージャーの5名。同じエンジニアでも職種や働き方が違えば気づく点も違うため、異なる役割を担うメンバーに声をかけました。

オフィスプロジェクトチームのメンバー。著者は前段右端
オフィスプロジェクトチームのメンバー。著者は前段右端

 オフィスプロジェクトに参加してくれたエンジニアは、みな口を揃えてこう言いました。

「かっこいいオフィスはうれしい。でも、ただオシャレとか、奇をてらっただけのオフィスって、実はエンジニアは求めてない。本当に使えるオフィスじゃないとやっぱり意味がない。ただ、オフィス環境が開発効率やチームのコミュニケーションに影響することは確実だと思っているから、プロジェクトチームに参加したい」

 本当に使えるオフィスをつくろう。内装デザインは最後に詰めればいい。開発シーンを繰り返しイメージしながら、次のような点を議論していきました。

  • 開発メンバー本当に必要なエリアは?
  • どういったエリアで、どういう風にどのようにメンバーが働いている状態がよいのか?
  • 各エリアでどのようなコミュニケーションが生まれたらよいのか?

新オフィスの設計〜クリエイティビティが復活する空間に

 議論の結果、通常業務を行うデスクが並ぶ「執務エリア」のすぐ横、自席から歩いて30秒とかからない場所に、開発に集中できる「クリエイティブスペース」を作ることにしました。オフィスフロア面積の3分の1、約330平方メートルの広さです。とにかく移動は面倒くさい。「すぐ行ける」ようにすることで、ミーティングなどへ移動することへの心理的障壁が省かれ、クリエイティブスペースの活用が促進されると考えました。

 クリエイティブスペースを執務エリアのすぐ隣に作ることでまず意識したのは「環境がガラっと変わる空間づくり」です。執務エリアからクリエイティブスペースに来ると気持ちがリフレッシュされて、クリエイティビティが復活する。そういう場所がすぐ隣にあることが大事ではないかと考えていました。

 また、クリエイティブスペース内には機能別・目的別にいくつかの「エリア」を設置しました。そうして決定したのが、次図に示すフロアレイアウトです。各エリアの用途は図の下にある表のとおりです。

クリエイティブスペース(オレンジ色の部分)と各エリアの用途
クリエイティブスペース(オレンジ色の部分)と各エリアの用途[図をクリックすると拡大]

 実際にできあがった各エリアの様子は、以下のYouTube動画「adtech studio バーチャルオフィスツアー」でご覧いただけます。写真で見たい方は、動画の画面下にある写真をご覧ください。次ページでは、クリエイティブスペースの設計で行った工夫や、その成果をご紹介します。

各エリアの写真

エントランス
エントランス
アドテクスタジオの出入り口。ネオンサイン付き
BIGテーブル
BIGテーブル
用途:1人集中開発、2名程度でのMTG(ミーティング)、リフレッシュ。全長11メートル(19時以降はスクリーンを利用して、勉強会実施も可能)
カフェカウンター
カフェカウンター
用途:リフレッシュ、コミュニケーション
ソファエリア
ソファエリア
用途:集中開発、数名でのMTG、リフレッシュ
窓際カウンターエリア
窓際カウンターエリア
用途:1⼈集中開発
オープンMTGスペース
オープンMTGスペース
用途:MTGの回転率向上、MTGルーム不⾜の解消
プレゼンテーションルーム
プレゼンテーションルーム
用途:各種勉強会、LT(ライトニングトーク)会、開発MTG、スキルアップゼミの実施
ライブラリー
ライブラリー
用途:技術・知識への興味喚起、コミュニケーション
個室の集中ルーム
集中ルーム(個室)
用途:1⼈集中開発

工夫とその成果①:チーム開発を加速させたミーティング用エリア

(続く)

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この記事の著者

田爪 裕子(タヅメ ヒロコ)

株式会社サイバーエージェント アドテク本部 経営管理室 経営管理 兼 広報 マネージャー。2005年サイバーエージェント入社。インターネット広告営業を経て、現在はアドテクノロジー開発部門のコーポレートスタッフとして経営管理、採用人事、技術広報、オフィス設計など多岐にわたり担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10379 2018/01/12 12:23

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