はじめに
Microsoftの提供するVisual Studio Code(VS Code)は、2015年の最初のリリースから、今では開発用エディタの定番の座を占めるまでになりました。これには、無償で使えることも大きいですが、何よりエディタとしての使いやすさ、そしてさまざまな拡張機能によっていくらでも使い勝手を向上させたり、利用の領域を拡げられるということも大きいでしょう。
本連載では、このVS Codeにフォーカスし、基本的な使い方から拡張機能の活用、そして本格的な開発現場での利用を想定した高度な機能までを紹介していくことで、読者がVS Codeマスターになるお手伝いをします。
対象読者
- テキストエディタメインで開発してきた方
- Visual Studioより軽い環境が欲しいと考えている方
- Visual Studio Codeをもっと使いこなしたいという方
必要な環境
本記事の内容は、以下の環境で動作を確認しています。
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macOS Sequoia 15.7.3
- Visual Studio Code 1.108.1(December 2025)
基本的な開発環境(1)
VS Codeで開発する/しないにかかわらず、基本としてPHPが利用できる環境が必要です。VS Code公式のドキュメント「PHP in Visual Studio Code」には環境構築についての説明がないのですが、PHPのダウンロードページからPHPを単体でインストールする方法とは別に、サードパーティー製のツールを用いるなどの方法があります。
表1に、代表的なツールとして、Laragon、XAMPP、MAMP、DDEV、Local by Flywheel(Local)、Laravel Herdの特徴をまとめたので環境構築の際の参考にしてください。
| ツール | 主な用途 | 特徴 | 対応プラットフォーム |
|---|---|---|---|
| Laragon | Web開発 | 高速・軽量、仮想ホストの自動化 | Windows |
| XAMPP | 入門用のLAMP(※)として | シンプル、歴史が長い、ただしPHPバージョンが古い | Windows/macOS/Linux |
| MAMP/MAMP PRO | macOS向けのLAMPとして | GUI装備、安定している、PRO(有償版)でさらに高機能化、ただしWindows用はメンテナンス頻度が低い | Windows/macOS |
| DDEV | 本番環境に近い環境構築 | Dockerベース、豊富なCMSに対応 | Windows/macOS/Linux |
| Local | WordPress開発 | WordPress特化、GUI装備、SSL自動化 | Windows/macOS |
| Laravel Herd | Laravel開発 | 高速、PHPバージョンの切り替え、GUI装備 | Windows/macOS |
※LAMPとはLinux Apache MySQL PHPの略で、Linux向けのPHP開発環境です。
組み込みのPHPの開発支援機能
VS Codeは、組み込みのPHPの開発支援機能(拡張機能)を備えているので、シンタックスハイライトやかっこ一致、コード補完、スニペットなどの機能を特別な拡張機能なしに利用できます(表2)。これらは、プライマリサイドバーに拡張機能が表示されている状態で、検索窓に「@builtin php」と入力して確認できます。
| 拡張機能 | パブリッシャー | ID | 概要 |
|---|---|---|---|
| PHP の基本言語サポート | vscode | vscode.php | 構文ハイライト、かっこ一致を提供 |
| PHP 言語機能 | vscode | vscode.php-language-features | 豊富な言語サポートを提供 |
このため、既定で色分けやカッコの強調表示、コード補完などの機能を利用できます。コード補完では、キーワード等を途中まで入力すると、キーワードの候補を提示してくれるので、目的のものがあれば確定できます(図1)。
[NOTE]PHPファイルがプレーンテキストなどに認識されるとき
PHPファイルがプレーンテキストファイルとして認識され、拡張機能によるサポートが働かない場合があります。この場合は、ステータスバーのファイル種別に「プレーンテキスト」などと表示されているはずなので、そこをクリックし、コマンドパレットの「'php'に対するファイルの関連付けの構成」から「PHP」を選択してください(図2)。
コードスニペットを利用するには、[Ctrl]+[Space]を入力します。
組み込みのPHP開発支援機能には、表3の設定があります。後述する別の拡張機能を利用するときなど、必要に応じて機能を無効にできます。
| 項目 | 概要 | 既定値 |
|---|---|---|
| php.validate.enable | PHPの支援機能を有効にするか | true |
| php.validate.executablePath | PHPの実行可能ファイルを指定 | パスの通った場所 |
| php.validate.run | リント実行のタイミング(onSave、onType) | onSave |
| php.suggest.basic | 補完機能を有効にするか | true |
[NOTE]Next Edit Suggestions(NES)の無効化
VS Codeは、既定でGitHub Copilot Next Edit Suggestions(NES)が有効になっており、GitHub CopilotにサインインしているとAI(人工知能)によるコード提案が随時実行されます。拡張機能を積極的に利用したい場合には、この機能を無効にできます(NESがそもそも機能していない場合には、ここでの操作は不要です)。
ステータスバーのGitHub Copilotアイコンをクリックして、表示されるメニュー下部の「PHP」のチェックを外します(図4)。これで、PHPファイルに対してはNESが機能しなくなります。他の言語では引き続き機能します。
組み込みの開発支援機能でも基本的な機能は網羅されていますが、サードパーティー製の拡張機能を利用することで、さらに進んだ開発支援を受けることができます。
後述するWordPress開発やWebアプリ開発にも有用な開発環境を整えるには、表4の拡張機能をインストールします。PHP関連の拡張機能は豊富ですが、本稿の作成時点で継続してメンテナンスされているものを紹介します。
| 拡張機能 | パブリッシャー | ID | 概要 |
|---|---|---|---|
| PHP Intelephense | Intelephense | bmewburn.vscode-intelephense-client | PHPのための高機能な言語サーバ |
| PHP Debug | Xdebug | xdebug.php-debug | Xdebugによるデバッグサポート |
表には挙げていませんが、「PHP Extension Pack」もあります。これは、「PHP IntelliSense」と「PHP Debug」をまとめたものです。このうち、「PHP IntelliSense」は「PHP Intelephense」と競合する上、最終リリースが約2年前と古いので、ここでは「PHP Intelephense」と「PHP Debug」を個別にインストールして利用することにします。
