2017年7月に発売した『最強囲碁AI アルファ碁 解体新書』の増補改訂版が、7月17日に発売となりました。深層学習や強化学習を発展させる題材として誕生した囲碁AIが、いったいどんな仕組みで世界に衝撃をもたらしたのかを、関連論文を参照して解説した1冊です。特に新しいアルファ碁ゼロに注目しています。
『最強囲碁AI アルファ碁 解体新書 増補改訂版 アルファ碁ゼロ対応 深層学習、モンテカルロ木探索、強化学習から見たその仕組み』では、世界最強の棋士を打ち破った囲碁AIのアルファ碁、さらにその発展版であるアルファ碁ゼロがどのような技術に支えられているのかを解説しました。
初版発売時にはまだ全貌が明らかになっていなかったアルファ碁ですが、実は2017年10月に論文「Mastering the Game of Go without Human Knowledge」が発表され、その中身が明かされました。本書ではアルファ碁に使われている深層学習、モンテカルロ木探索、強化学習の解説をさらに充実させ、アルファ碁ゼロについても新たに章を設けています。
深層学習や強化学習に関心がある方にとって、アルファ碁の存在は非常に好奇心をくすぐられるのではないでしょうか。アルファ碁は時間のかかる深層学習をいかに囲碁の探索に利用するかというテーマがありました。一方、アルファ碁ゼロは人間の知識(棋譜)なしに囲碁AIを作ることが主眼に置かれています。論文では「たった3日で」「ゼロから」「1台のマシンでも動く」最強囲碁AIができたことがアピールされています。
本書では、アルファ碁からアルファ碁ゼロに至る技術をじっくりと説明しています。特に、アルファ碁ゼロに採用され、世界中の研究者が注目しているまったく新しい深層学習の手法、デュアルネットワークについても解説しました。
囲碁というよりもAIに興味がある方向けですが、実際の論文をもとに解説した本はなかなかありません。ぜひ本書で好奇心を満たし、自身の研究開発に活かしてみてください。
目次
Chapter1 アルファ碁の登場
Chapter2 ディープラーニング ~囲碁AIは瞬時にひらめく~
Chapter3 強化学習 ~囲碁AIは経験に学ぶ~
Chapter4 探索 ~囲碁AIはいかにして先読みするか~
Chapter5 アルファ碁の完成
Chapter6 アルファ碁からアルファ碁ゼロへ
Appendix1 数式について
Appendix2 囲碁プログラム用のUIソフト「GoGui」およびGoGui用プログラム「DeltaGo」の利用方法
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渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)
翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。
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