無限の状態のうち1つの状態を取る量子ビットを基本単位とする量子コンピュータ。その振る舞いは時に直感に反し、仕組みをしっかり理解するには数学を用いるしかありません。CodeZineを運営する翔泳社では、量子コンピュータを「なんとなく」ではなく厳密に理解するための『みんなの量子コンピュータ』を1月24日(金)に発売しました。
『みんなの量子コンピュータ』は、量子コンピュータの基礎理論を数学を使ってしっかり理解したい方のための入門書で、Chris Bernhardt氏による『QUANTUM COMPUTING FOR EVERYONE』(The MIT Press Cambridge)の邦訳です。
本書では量子ビットや量子もつれ、量子テレポーテーションなど、量子コンピューティングに欠かせないテーマが取り上げられており、その概念を数学で明確に理解することが目標に掲げられています。直感に反することもある量子力学の世界では、言葉による説明よりも数学のほうが適しているからです。ただし、必要な数学の知識は実数の行列計算のみに抑えられており、単純化されています。
著者によれば、「重ね合わせ」「測定」「量子もつれ」の3つが大事なポイント。本書を読み終わったとき、これらが何を意味するのかを理解できていれば、実際に量子コンピュータをどのように使えばいいのかを掴めているはずです。
ある程度の数学の知識を必要としますが、量子コンピュータで新しい世界を作りたいと考える方にとって、本書はそのための最初の1冊となるでしょう。
なお、量子コンピュータのより易しい入門書としては『絵で見てわかる量子コンピュータの仕組み』もおすすめです。
目次
第1章:スピン
第2章:線形代数
第3章:スピンと量子ビット
第4章:量子もつれ
第5章:ベルの不等式
第6章:古典論理、ゲート、および回路
第7章:量子ゲートと回路
第8章:量子アルゴリズム
第9章:量子コンピューティングの与える影響
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渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)
翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。
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