IDC Japanは、国内情報セキュリティ市場の2019年の実績と2020年~2024年の予測を、6月24日に発表した。
同社は、セキュリティ市場を「セキュリティソフトウェア市場」「セキュリティアプライアンス市場」の「セキュリティ製品市場」と「セキュリティサービス市場」のセグメントに分類して調査/分析を行っている。
2019年の国内情報セキュリティ製品市場は、サイバーセキュリティ基本法やマイナンバー制度にともなうマイナンバー法、改正個人情報保護法といった法規制によって、企業における情報セキュリティ対策への責務が重くなっている中で、身代金要求型のランサムウェア攻撃や、メモリー上で実行するファイルレスマルウェア攻撃、ウイルスへの感染を狙う攻撃メールといった高度なサイバー攻撃が増加していることから、セキュリティソフトウェア製品を中心に需要が拡大し、2019年の前年比成長率は5.6%と堅調だった。
とりわけ、クラウドサービスの利用が拡大していることから、クラウドサービスへの対策としてSaaS(Software as a Service)型セキュリティソフトウェア製品への需要が高く、2019年の前年比成長率は16.7%となっている。
セキュリティサービス市場は、高度なサイバー攻撃の増加によって非シグネチャによる検出技術などによる多層防御機能を備えた製品へと移行し、導入設計から運用に至るまで、高度な専門知識を必要とするセキュリティサービスへのニーズが継続して高く、2019年の前年比成長率は5.7%と堅調だった。
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で企業の生産活動と個人消費が低迷し、中堅中小企業を中心にセキュリティ投資意欲も弱まり、国内情報セキュリティ市場全体に影響が及ぶとみているが、リモートワークの増加によってオンプレミスシステムからクラウドサービス利用への移行が加速すると予測され、リモートアクセスに対するセキュリティ製品やクラウド環境に対するセキュリティ製品、そしてセキュアなリモートアクセス環境の構築サービス、マネージドセキュリティサービスなどの運用管理サービスへの需要が高まることが見込まれる。
また同社は、デジタル化されたテキスト文書やスプレッドシート(表計算ソフトウェア)、プレゼンテーション、画像、音声、ビデオといったコンテンツの共有を含めたコラボレーション環境での情報漏洩対策などのセキュリティソリューションへのニーズが高まるとみている。
2021年以降は、2021年に開催される東京オリンピック/パラリンピックや、新型コロナウイルス感染症の終息によって景気は回復に向かうものの、リモートワークの増加と2020年秋から「クラウド・バイ・デフォルト」の原則の下で開始が予定されている「クラウドサービスの安全性評価制度」によって、パブリッククラウドサービスの活用が促進することから、国内情報セキュリティ製品市場の7割以上を占めるオンプレミス型セキュリティソフトウェア市場とセキュリティアプライアンス市場は低迷すると予測する。
こういった背景から、国内セキュリティソフトウェア市場の2019年~2024年におけるCAGR(年間平均成長率)は2.5%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の2773億円から2024年には3134億円になるとみており、国内セキュリティアプライアンス市場の2019年~2024年におけるCAGRはマイナス0.6%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の555億円から2024年には538億円に縮小すると予測している。
一方で、パブリッククラウド環境に対するセキュリティ対策としてSaaS型セキュリティソリューションや、パブリッククラウド環境に対するセキュリティ構築サービス、セキュリティシステム運用管理サービスへの需要が高まることから、同社は国内SaaS型セキュリティソフトウェア市場の2018年~2023年のCAGRは10.4%で、市場規模は2019年の303億円から2024年には498億円に拡大すると見込む。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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