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![]() 柳井です。 最近の私は、本を読みながら我を忘れるという体験をすることはまずありません。しかし去年、そういった体験を久しぶりにしました。高村薫の「照柿」という本を読んだ時にです。 文章に重い軽いという重量があるとすれば、この本の文章は非常に重いです。そして、高圧下で非常に高い温度で熱したような印象を受けます。この本のキーワードは「熱さ」です。それは「熱血」などの熱さではなく、文字通りの「熱」を意味します。小説のかなりの部分が製鉄所の描写に費やされていますが、そういった「熱」そのものです。その熱に巻き込まれるように、脳を燃やされ、引きずり込まれる。この小説はそういった本でした。 何かを作った時、それを使う人に我を忘れさせる。それは、作り手の理想の1つです。物を作る人間として「負けた」と素直に思いました。願わくば、他人の時間を捻じ曲げるほどの力を持った物を作りたいものです。 |
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