「自分フォーカス」で悩みをもポジティブに考える
「実際に入社してみると、コードもたくさん書けるし環境もよいし、最高!」と喜びをかみしめたという阿部氏。そんなホワイトな会社に転職できたため、一見悩みとも無縁かと思えた。しかし、現職に就いてから今度は、次の目標をどこに定めていいのかわからないという不安に陥った。「将来どうしよう」「どんなキャリアを歩いていこう」「どんなことがやりたいのか」「現状維持でいいのか」という葛藤が生まれたと阿部氏は新たな悩みについて語る。
さらに、環境の良い会社には優秀な人が多い。そうした人と比べて落ち込むこともしばしば。結局、良い仕事・良い環境を手に入れたとしても、悩みは尽きない。しかし、同じように悩んでいてもネガティブなものとポジティブなものとがあると分類できることに気づいた。つまり、マイナスをゼロにしたいという悩みと、プラスをさらに増やしていく悩みだ。
例えば、ネガティブな悩みとしては、「仕事がつまらない」「働く環境」などが挙げられる。これについては、環境を変えるのが一番だと言う。阿部氏自身も、プログラミングアプリを自作してみたり、営業職への転身も視野に入れて営業セミナーに行ってみたり、投資の勉強や旅行にも出掛けたりしたことがあるという。また、エンジニアになってからも、技術を学んだりアウトプットしたりして、いつでも転職できる準備をしていた。
「実際に転職活動を行ってみることは大事。現状の自分がどれくらいの立ち位置、市場価値なのかがわかるから。そうすることで、少しでも自分に合った会社を見つけられるよう、行動し続けるのがいいと思う」と阿部氏は語る。
また、セーフィーに入社できた理由として、純粋に「運が良かった」と話す。つまり、ちょうど採用を強化し始めた時期だったことや、前職の技術スキルと採用側が求めていたものがマッチしたこと、そして面接官との相性がよかったことなど、それらがうまい具合に合致したことが採用につながった。そうした「運」をつかむことが重要であり、そのために非常にシンプルだが「行動すること」が何よりも重要となる。実際、阿部氏も転職活動をしなければ今のポジションにはいなかったと言える。
そして、もう一つ大きな悩みのタネが「他人との比較」だ。阿部氏の場合、性格の問題もあって、どんな状況にあろうとずっとつきまとってきた。気にしないことが一番とわかっていても、なかなか解消することは難しい。そこで、阿部氏は次のような考え方をしているという。
「まずは自分の成長に目を向けること。つまり、過去の自分との比較であれば、いくらでもやっていい。さらに、過去の自分と比較して、できることを増やすことに集中する。そして、学習スピードは人それぞれ違うので、自分のペースで進めること」。
さらに、「他の人と比較して追いつけないと思った時に歩みを止めてしまうのが一番もったいない。他人と比較ばかりしていると、不幸に陥りやすい。実際、上には上がいるため、他人との比較によって自己肯定感が低下してしまうのは本当に良くない」と語った。
では、将来の悩みという「ポジティブな悩み」をどう解決していくのか。阿部氏には今のところ、ベストの解決法は見いだせていないと言い切る。それでも漠然とキャリアの選択肢として「スペシャリスト」「マネジメント」「別の業界」と大きく分け、好きで向いている「スペシャリスト」を目指したいと語る。
そのために、コードを書きつつも技術的なアドバイスができる立場になることを現状からの目標とし、フロントエンドの知識を強みとして他の領域の知識も幅広くつけるために「社内で異動などによって」「副業によって」「ベンチャーなど全領域に触れられる会社に転職」などの方法も挙げた。
そして、「将来のことはわからないけれど、やるべきことは明らか。将来のことを考えすぎるよりも、いますべきことに集中して『技術のキャッチアップによって成長し続けること』が重要」と強調し、「楽しみつつ、成長していくことが、将来の道につながるのではないか」と語り、結びの言葉とした。