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Developers Boost 2023 セッションレポート(AD)

悩み多き若手エンジニアがこれまでの歩みを振り返って思う、結局「行動」が運を掴み将来の道をつくる

【Session2】未経験からエンジニアとして生きていく - 悩みの多いキャリアの歩み -

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 新卒で入社したのは、エンジニアとは無縁の会社──。仕事に面白さを感じられず模索する中で、プログラミングに出会い、未経験ながらエンジニアへのキャリアチェンジを成功させた阿部拓海氏。第一歩を踏み出し、セーフィーのフロントエンドエンジニアとして活躍するようになるまで、どのようにキャリアを歩んで来たのか。現在に至る経緯とともに、仕事に関する楽しさや悩み、そして今後のキャリアプランニングについて赤裸々に語った。

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仕事内容が悩みだった、大手安定企業から未経験でエンジニアに転職

 阿部拓海氏は、新卒で油脂メーカーに入社後、2020年に受託開発のベンチャーへの転職を経て、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせた。さらに2021年にセーフィーに入社し、現在は「クラウド録画サービス」のフロントエンドエンジニアとして活躍中だ。同社にはフロントエンド以外にもバックエンドやインフラエンジニア、カメラのデバイスエンジニア、AIエンジニアなど、さまざまな職種のエンジニアが働いている。

 「クラウド動画サービスの市場そのものが成長しており、製品シェアも好調を維持している。さまざまな業界や用途で利用されるアプリケーション開発に関わっていることも、エンジニアとして働く魅力」と阿部氏は語る。

クラウド録画サービス「Safie」は国内シェアNo.1
クラウド録画サービス「Safie」は国内シェアNo.1

 しかし、そんな阿部氏も、これまで3社を経験する中で、それぞれの会社で悩みを感じてきた。1社目の油脂メーカーは創業100年、従業員数500人以上を擁する会社で、年功序列が続く典型的な日本の大企業だった。安定はしていたものの、若年層のチャレンジを推奨する文化はなかったという。「歴史があって安定しており、あとは大学の研究室で行っていた研究を活かせるし、ある程度のお金を稼げるかなと考え入社を決めた」と阿部氏は入社理由を振り返る。

 そこでは、油の製造・生産管理を行い、油の品質チェックなども行っていたが、1年ほどで徐々に"悩み"が生じてきた。毎日同じ作業を繰り返しており、その作業に興味が湧かない。さらに50代の大先輩が入社1年目の自分と仕事の内容が変わらないことに気づき、成長できないのではないかという懸念。さらに、他部署の同期が仕事を楽しそうにやっていたことに対して少し劣等感を抱くようになっていた。1年ほど経った後に、真剣に部署異動を懇願するものの簡単に却下され、「5年くらいは頑張れ」と言われたことが転職を決意するきっかけになった。

 「たまたま個人的にプログラミングに触れる機会があり、独学で勉強するようになっていた。子どもの頃からものづくりが好きで、プログラミングを仕事にできないかと考えるようになった。エンジニア転職全盛期で『駆け出しエンジニアとつながりたい』などのタグがバズるなど、漠然とエンジニアになったらお金を稼げる風潮にも流された」と阿部氏は振り返る。さらに、エンジニアのリモートワークが浸透してきたこともあり、通勤時間を減らして、好きな場所に住んでみたいと思ったことも転職の後押しとなった。

激務な職場環境をぬって「やる気」をアピールし転職に成功

 しかし、未経験からの転職はそう簡単ではなかった。書類審査が通らず、アピールできる経歴もなく、内定がなかなかもらえない状況に陥った。Rubyで自作のアプリケーションを開発したところ、なんとか3社から内定を勝ち取ることができた。そのうちの受託開発ベンチャーに入社したものの、創業5年で従業員数は6名、裁量労働制で給与は安く、原則出社という、人によってはやや黒い印象がある会社。それでもとりあえず開発経験を積みたいし、エンジニアとしての経験もほしい、そして客先常駐を避けたいという思いが入社の決め手になった。

2社目の受託開発ベンチャー企業に阿部氏が入社を決めた理由
2社目の受託開発ベンチャー企業に阿部氏が入社を決めた理由

 空港予約システムや、業務実態可視化を目的とする入力ツールアプリ、旅行プラン作成サイトなど、開発案件は楽しく、フロントエンドもバックエンドも両方の開発の経験を積むことができた。とはいえ、未経験ではなかなか厳しく、修正方法も修正するファイルも、同僚エンジニアの話も、ググって出てくる単語すらもわからないだらけの日々。それでも「できることが増えていく感覚は成長している実感にもつながり、仕事は楽しかった。業務時間外で必死に勉強し、新しい知識が身についてくる感覚も楽しかった」と阿部氏は語る。

 しかし、労働時間は長く、終電も度々で残業代は出ない。その上、同僚のエンジニアとの差を感じてネガティブになっていった。終電を逃してマンガ喫茶に泊まったり、深夜の食事がたたって10kgくらい太ったり、仕事内容は楽しくても、もっと良い環境を求めて、再び転職を決意することになった。

 このときの転職時の苦労として、阿部氏は「平日が忙しすぎて、面接の時間がなかなか取れない。土日面接の会社が限られていたこともあり、平日の午前中にオンライン面接をしてから出勤するという生活を続けていた」と語る。さらにやる気を見せるために、アウトプットとしてQiitaに投稿するなどの努力を続けていたという。さらに"経験者"ということで面接では技術的な質問やコーディングテストを受け、これがなかなか難しく、わからないことも多かった。

 そうした転職活動を経て、セーフィーに入社することになった。入社の理由は、サービスに興味を持ったこと、さらに売上や業績が伸びており、ちょうど上場するタイミングだったこともあった。さらに社員の話から環境の良さが伺え、使っている技術がマッチしたことも大きかった。しかし、入社して仕事および環境への悩みが晴れると同時に、今度はエンジニアとしての将来に対して「迷子」になったという。

「自分フォーカス」で悩みをもポジティブに考える

 「実際に入社してみると、コードもたくさん書けるし環境もよいし、最高!」と喜びをかみしめたという阿部氏。そんなホワイトな会社に転職できたため、一見悩みとも無縁かと思えた。しかし、現職に就いてから今度は、次の目標をどこに定めていいのかわからないという不安に陥った。「将来どうしよう」「どんなキャリアを歩いていこう」「どんなことがやりたいのか」「現状維持でいいのか」という葛藤が生まれたと阿部氏は新たな悩みについて語る。

 さらに、環境の良い会社には優秀な人が多い。そうした人と比べて落ち込むこともしばしば。結局、良い仕事・良い環境を手に入れたとしても、悩みは尽きない。しかし、同じように悩んでいてもネガティブなものとポジティブなものとがあると分類できることに気づいた。つまり、マイナスをゼロにしたいという悩みと、プラスをさらに増やしていく悩みだ。

 例えば、ネガティブな悩みとしては、「仕事がつまらない」「働く環境」などが挙げられる。これについては、環境を変えるのが一番だと言う。阿部氏自身も、プログラミングアプリを自作してみたり、営業職への転身も視野に入れて営業セミナーに行ってみたり、投資の勉強や旅行にも出掛けたりしたことがあるという。また、エンジニアになってからも、技術を学んだりアウトプットしたりして、いつでも転職できる準備をしていた。

ネガティブな悩みと、ポジティブな悩み
ネガティブな悩みと、ポジティブな悩み

 「実際に転職活動を行ってみることは大事。現状の自分がどれくらいの立ち位置、市場価値なのかがわかるから。そうすることで、少しでも自分に合った会社を見つけられるよう、行動し続けるのがいいと思う」と阿部氏は語る。

 また、セーフィーに入社できた理由として、純粋に「運が良かった」と話す。つまり、ちょうど採用を強化し始めた時期だったことや、前職の技術スキルと採用側が求めていたものがマッチしたこと、そして面接官との相性がよかったことなど、それらがうまい具合に合致したことが採用につながった。そうした「運」をつかむことが重要であり、そのために非常にシンプルだが「行動すること」が何よりも重要となる。実際、阿部氏も転職活動をしなければ今のポジションにはいなかったと言える。

 そして、もう一つ大きな悩みのタネが「他人との比較」だ。阿部氏の場合、性格の問題もあって、どんな状況にあろうとずっとつきまとってきた。気にしないことが一番とわかっていても、なかなか解消することは難しい。そこで、阿部氏は次のような考え方をしているという。

 「まずは自分の成長に目を向けること。つまり、過去の自分との比較であれば、いくらでもやっていい。さらに、過去の自分と比較して、できることを増やすことに集中する。そして、学習スピードは人それぞれ違うので、自分のペースで進めること」。

 さらに、「他の人と比較して追いつけないと思った時に歩みを止めてしまうのが一番もったいない。他人と比較ばかりしていると、不幸に陥りやすい。実際、上には上がいるため、他人との比較によって自己肯定感が低下してしまうのは本当に良くない」と語った。

 では、将来の悩みという「ポジティブな悩み」をどう解決していくのか。阿部氏には今のところ、ベストの解決法は見いだせていないと言い切る。それでも漠然とキャリアの選択肢として「スペシャリスト」「マネジメント」「別の業界」と大きく分け、好きで向いている「スペシャリスト」を目指したいと語る。

 そのために、コードを書きつつも技術的なアドバイスができる立場になることを現状からの目標とし、フロントエンドの知識を強みとして他の領域の知識も幅広くつけるために「社内で異動などによって」「副業によって」「ベンチャーなど全領域に触れられる会社に転職」などの方法も挙げた。

 そして、「将来のことはわからないけれど、やるべきことは明らか。将来のことを考えすぎるよりも、いますべきことに集中して『技術のキャッチアップによって成長し続けること』が重要」と強調し、「楽しみつつ、成長していくことが、将来の道につながるのではないか」と語り、結びの言葉とした。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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