【Adobe MAX Japan 2007レポート】アドビは11月1日、同社の最新技術動向を幅広く紹介するカンファレンス「Adobe MAX Japan 2007」を開催した。冒頭の基調講演では、同社が提供するプラットフォームテクノロジーの過去・現在・未来について語られた。
アドビシステムズ(以下、アドビ)は11月1日、同社の最新技術動向を幅広く紹介するカンファレンス「Adobe MAX Japan 2007」を開催した。日本初開催で、2日間にかけて最新事例の紹介から業界キーパーソンによる特別講演、ハンズオン、海外クリエイターによるスペシャルセッションなど、盛りだくさんの内容が繰り広げられる。
冒頭の基調講演では、まず同社 代表取締役社長のギャレット・イルグ氏が「日本はブロードバンド・モバイル通信でNo.1であり、Webでコミュニケーションする環境は十分整っている。アドビでは、RIA(リッチインターネットアプリケーション)によるリッチな体験を提供し、ユーザのリピート率向上に貢献したい。また、PC以外へのデバイスに対する方策もすでに考えている。アドビとしては、ぜひ皆さんを巻き込んでコラボレーションし、ともに多くのことを学び、知識を提供していきたい」と述べた。
続いて、同社チーフソフトウェアアーキテクト ケビン・リンチ氏の司会で、「あらゆるユーザのアイデアや情報との関わりに変革をもたらすアドビプラットフォームテクノロジーの現在」と題し、Adobe MAX Japan 2007のプレビューが語られた。
アドビでは、過去も現在も最先端を追及し、何をもって素晴らしいエクスペリエンスとするかを学んできた。結論として、一番重要なのは「コンテンツ」だという。ボタンやレイアウトなどの見栄えに注力しがちだが、まずコンテンツありきであり、UIはそれに続くものである。
そして、パーソナリティ追及の重要性についても強調した。自分にあったソフトウェアは人の数だけあるはずであり、多くの機能を詰め込み汎用的にすることは混乱を招く。できるだけ簡素化すること、当人に必要のない選択肢はより少ないことが望ましい。
また、効果的にユーザーの注目をひくために、動きに意味を持たせることも欠かせない。これらがアドビが提供する技術の根底にあるといえる。
続いて、すでに発表されているFlash PlayerやFlex、Adobe AIR、Thermo(RIAデザインツール)などに関する新技術や適用事例のサマリーが紹介された後、最後にNTTドコモの夏野剛氏により、モバイルにおけるFlashの適用事例が紹介された。
DoCoMoでは現在、ほぼ全機種がFlashに対応しており、既に累計7,961万台以上のFlash対応機種を販売している。UIがよくないと専門家とオタクしか使えないインフラになってしまうため、より人間の感覚に近い操作性を提供できる技術として、Flashを採用しているという。
また、コンテンツも圧倒的にFlashが増え、i-modeのマルチメディア事業は毎年1,000億円ペースで増収していると述べた。今後も、アドビとコラボレーションしながら、多くのユーザに使いやすいプラットフォームを提供していきたいとしている。
リッチなユーザ体験を提供するという点において、第一線をリードするアドビが、Flashの領域をWebからPCのデスクトップ上、モバイル端末へと広げていく中で、それらのプラットフォームで活躍するエンジニア・クリエイターとの協力によって、今度はどのように新しい体験をもたらせてくれるか期待しつつ、今後の展開を温かく見守っていきたい。
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斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)
株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...
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