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英語の職場環境に適応するために役立つツールやプラクティスとは? 4年間の経験から語るサバイバルガイド

【A-3】経験者が語るはじめての英語職場環境サバイバルガイド

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 エンジニアとして英語を使えることは、仕事の選択肢が広がり、報酬のアップも期待できる。日本企業や外資企業で、日本語と英語のどちらも使用する職場環境で働いてきた経験を持つMicoworks株式会社の小越 崇広氏が、英語を使う職場環境で働く際のマインドや役立つ情報を紹介してくれた。

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SmartNewsに入社し、コミュニケーションの中心が英語に

 小越氏は、2023年11月にMicoworksに入社し、VP of Productに就任した。前職ではSmartNewsで4年間、日米両国における広告プロダクトの責任者として活動。その前はサイバーエージェントに勤務し、子会社の取締役や広告配信システムの責任者を務めた。広告関連の分野で、プロダクトマネージャーやプロダクトリーダーシップの役割を担ってきた人物だ。

 小越氏は大学時代に1年間の語学留学経験がある。サイバーエージェントではほとんど英語を使用しなかったが、SmartNews入社以降、英語を本格的に仕事で使用するようになった。Micoworksでは海外のメンバーと仕事をする際に英語を使用している。小越氏は「英語という面ではサイバーエージェントからSmartNewsに移ったときが本当に一番大きなジャンプでした」と振り返る。

 SmartNewsに入社して、退職するまでの4年間、小越氏の仕事での英語の使用割合は大きく変わっていったという。採用面接は英語だったが、同時通訳のサポートを得られた。また入社後4年間を通して、上司がアメリカ人であったため、常に英語でのコミュニケーションが必要であった。

 2019年の入社当時、広告のエンジニアは約30〜40人おり、その半分が英語話者であった。ミーティングは日本語と英語が混在しており、マネージャーや上層部のミーティングはほぼ英語、ドキュメントに関してはすべて英語で書かれていた。

 そして、退社する2023年になると会社全体でも日本語話者はマイノリティになっていた。小越氏はプロダクトマネジメントチームを率い、退職時には6名となったプロダクトマネージャーのうち3分の2が英語話者であり、在籍期間中に採用したメンバーのなかには、バイリンガルやトリリンガルの人もいた。

SmartNews時代の英語使用状況
SmartNews時代の英語使用状況

英語が使えれば、キャリアの選択肢が増え、報酬も増える

 次に小越氏は、英語が話せることのメリットとして、キャリアの選択肢が増える点を挙げている。通常、企業が採用する際、特定のスキルや経験、行動特性を持つ人物を求めるが、全ての要件を満たす人はなかなか見つからない。特に高いグレードのポジションでは、理想的な候補者を見つけるのが非常に困難である。しかし、言語要件を緩和すると、多くの候補者が見つかることがある。

 小越氏がプロダクトマネジメントチームを組む際、日英バイリンガルを条件にすると候補者が少なかったが、言語要件を緩和した結果、インドネシア、シンガポール、中国などから多くの候補者を選べ、短期間でチームの拡大に成功した。

 これは候補者にとっても同様で、英語での仕事を探すことで、アクセスできる求人数が大きく増える。小越氏はLinkedIn上の検索結果を例に挙げ、対象エリアが日本の場合とアジアやアメリカの場合で求人の件数には8倍から10倍の差があると説明し「選択肢が3社ある中から1社を選ぶ場合と、30社ある中から1社を選ぶ場合では、求めているような待遇や内容が見つかりやすいと思います」と述べた。

 英語ができることのもう一つのメリットは報酬の増加だ。外資系企業でのエンジニアの平均年収は日本企業に比べて高いことが一般的である。小越氏は日本企業と外資系企業で勤務する場合の年収の中央値には2倍程度の差があるという調査結果を紹介した。

外資系企業のエンジニアは日本企業の2倍
外資系企業のエンジニアは日本企業の2倍

英語を使う職場でサバイバルするために

 続いて小越氏は、英語を使う職場でサバイバルするために必要なマインドを3つ説明した。

 1つ目は「仕事は仕事と割り切る」で、英語を仕事のために使うことに焦点を当てた考え方である。英語自体が上達することが目的ではなく、仕事がスムーズに進むことが最も大切である。したがって、何とかして自分の意図を伝えることを優先し、仕事で使う英語では業務に関わる単語や表現を優先して覚えるべきである。

 2つ目は「毎日が英会話の学習だと捉える」ことで、小越氏の場合、アメリカ人の上司との週1回の1対1ミーティングが英会話レッスンのようなものであると語っている。英語でのミーティングが多いが、これは上達するための素晴らしい機会であると捉えている。

 3つ目のポイントは「伝わらないと困るのは相手も同じである」という認識を持つことで、小越氏はプロダクトマネージャーやプロダクトディレクターとして働いており、自分の考えが伝わらなければチームメンバーも困るため、お互いに努力することが重要だと述べた。

 「働き始めてから半年から1年ぐらいの間に、マインドの変化が起こりました。自分の英語が完璧でないことを認識し、謙虚にスキルを伸ばしていくことが良いと思います。しかし、仕事である以上、相手にも努力が必要であることを認識しながらやってもいいと思います」(小越氏)

英語を使ううえで役立つツールやプラクティスについて

 英語を使った仕事の難易度は内容によって異なる。文章やドキュメントの作成は最も簡単で、非同期で翻訳ツールを利用できる。1対1のミーティングやプレゼンテーションは準備が可能で比較的容易だが、プレゼンテーション後のQ&Aやディスカッション、社交的な場では難易度が高くなるという。

コミュニケーションのシーンの特徴と難易度
コミュニケーションのシーンの特徴と難易度

 小越氏は、英語でのコミュニケーションに有用なツールをいくつか紹介した。

 文法やスペルチェックができる「Grammarly」は、Chromeのエクステンションとして利用でき、SlackやGmailを使用している際に自動でスペルチェックする。例えば、Gmailで打ったテキストにおいて、冠詞の使用が必要であるなどの指摘をする。「文法ミスや単語のミスがあると、ドキュメントの信頼性や人とのやり取りの質が低下してしまう。そういった意味で、ミスを減らすことができるツールは非常におすすめです」(小越氏)

 「ChatGPT」は、文章をより魅力的に変換することができ、特にジョブディスクリプションなどを書く際に役立つ。また、「Kiara」はSlackに常駐し、投稿を自動翻訳する有料ツールである。これを使用することで、日本語話者と英語話者が混在するチームのコミュニケーションをスムーズにすることができる。

 「Slido」はプレゼンテーション中の質問を書いてもらうために使用され、Q&Aセッションの難易度を下げることができる。また、「Google Meet」のキャプション機能も便利で、ミーティングの音声を自動で字幕に変換してくれる。特に英語の場合、非常に正確であるため、不明な発言を理解するのに役立つ。自分の発音のおかしなところに気づくこともできる。

 仕事上英語で話すことは重要だが、それと同じくらい結論を伝えることも重要である。そのため、英語を書くことにも焦点を当てるべきである。小越氏は、上司との1対1のミーティング時には専用のドキュメントを作成し、自分の英語が完璧でないことを伝え、ゆっくり話すよう依頼し、ミーティングの結論を記録し、合意内容を明確にしてきたという。また、ディスカッションでは全てをメモすることは難しいが、会議での決定事項や次のアクションを理解することができるよう、小越氏は自ら議事録係になり、結論を明らかにするように取り組んできた。

1on1ミーティング用のドキュメントの例
1on1ミーティング用のドキュメントの例

英語スキルを習得できる日本企業の職場もある

 英語を使う職場でのコミュニケーションは重要だが、エンジニアにとっては技術的なスキルなど、英語以外の業務上のスキルが非常に重要となる。小越氏は「エンジニアとしての優秀さは、英語の不得手さを補うほどに価値があります。英語に関するテクニックだけを覚えるのではなく、英語以外のスキルをしっかりと身につけることが、はるかに重要です」と強調した。

 英語を使えることはキャリアの選択肢や報酬の増加などのプラス面があり、挑戦する価値がある。しかし、いきなり大手のグローバル企業に入社するのをためらう人もいるだろう。小越氏は、日本企業で英語化が進んでいる、もしくはグローバルな拠点がある企業での経験を積むことが有用だとした。

 小越氏が所属するMicoworksは、英語での勤務経験を積むのに良い環境だという。現在、社員の約1割がグローバルチームに所属しており、徐々に英語化が進んでいる。日本企業のため、労務や法務など重要な機能は日本語話者が担当するが、英語が主流のチームもあり、希望して移ることもできる。

 小越氏は最後に「来年から国内拠点から異動してマニラで働くメンバーもいます。また、英語学習をサポートする制度もあります。もし英語に挑戦してみたいと思う時があれば、我々の会社を頭の片隅に置いていただければと思います」とコメントした。

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提供:Micoworks株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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