IDC Japanは、国内IT市場における産業分野別/従業員規模別最新予測データを、7月10日に発表した。
同予測では、2024年の国内IT市場規模について前年比7.2%増の23兆4589億円、2023年〜2028年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.9%、2028年の市場規模は27兆8650億円と予測している。
産業分野別では、2024年は各産業分野でプラス成長を予測しており、特にデータセンター需要が好調な情報サービスが前年比成長率11.0%の成長率で拡大するとみている。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束し、観光、インバウンド需要も回復傾向にあることから、関連する小売、運輸/運輸サービス、消費者向けサービスのIT支出の拡大を予測している。
従業員規模別では、2024年は各従業員セグメントでプラス成長に回復し、とりわけ大企業(従業員規模:1000人以上)では7.9%と高い成長率を予測する。SMB(Small and Medium-sized Business:従業員規模999人以下、中堅中小企業)でも5.8%で拡大傾向にあり、中でも従業員規模100人以上999人以下の企業に絞った場合は6.4%で拡大が見込まれる。
SMBでは人材不足という課題を抱えており、生産性向上などを目的としたIT支出が増加傾向にある。さらに、「インボイス制度」「電子帳簿保存法対応」、または建設業、運輸業、医療機関での労働時間上限の規制などの法制度対応を契機に、クラウドシフト、RPA、AIの活用などが本格化している。
これまで大企業が中心だったDXの取り組みは、従業員規模100人以上999人以下でも増えていることから、国内IT市場では大企業に加えて従業員規模100人以上999人以下の企業において、積極的なIT支出の堅調な拡大を予測する。一方で、SMBの中でも従業員規模99人以下の小規模な企業ではデジタル化/DXの取り組みは遅れており、IT支出も比較的低いままとみられる。
国内IT市場におけるプラス成長の維持は、大企業に加えて従業員規模100人以上999人以下の企業における、デジタル化/DX施策を目的としたIT支出が推進している。しかしながら、従業員規模100人〜999人の企業では人材/ノウハウ/スキルの不足が大きな課題となっていることから、ITサプライヤはこれらの企業のデジタル化/DX推進を積極的に支援することが、自社ビジネス改善につながると考えられる。
さらに、現在はIT支出が比較的低いままの従業員規模99人以下の企業に対しても、デジタル化支援を行うことが中長期的な市場拡大にもつながるとの見方を示した。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です