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シンプレクスが伝えるエンジニアキャリアのススメ──カギは「内発的な変化」の継続

【19-C-3】変化に適応し続けるエンジニアのキャリアとその要件

 エンジニアを取り巻く技術環境は10年単位で激変し、個人のキャリアは絶えず変化に巻き込まれている。成長企業のエンジニアが、さまざまなロールを渡り歩く中で体得した、変化への適応力を磨くためのポイントとは何か。シンプレクス株式会社の松本頌氏が、スキル・マインド・環境の3つの観点から紹介した。

絶えず変化するエンジニアキャリアのススメ──「外発的な変化に適応するため、絶えず内発的な変化を続ける」

 シンプレクス・ホールディングスは、戦略コンサルティングからシステムの開発・運用保守までを担うグループ会社の経営管理を行う持株会社であり、東証プライム上場企業だ。ビジネス創出を手がけるコンサルティングファーム「Xspear Consulting(クロスピア コンサルティング)」と、システム開発を担うテックファーム「シンプレクス」の両輪によって事業を展開している。

 金融業界に強みを持ち、下請けに依存せず、設計から開発、運用保守までを社内で完結させる一気通貫の体制が特色だ。また、事業部横断で専門スキルごとの横串組織(コンピテンシー)を設置し、案件ごとに最適な体制を構築できる仕組みだ。松本頌氏はそのうちの一つ、システムディベロップメントコンピテンシーで技術者組織のリードを担う人物だ。

シンプレクス株式会社 システムディベロップメントコンピテンシー コンピテンシーリード 松本 頌氏
シンプレクス株式会社 システムディベロップメントコンピテンシー コンピテンシーリード 松本 頌氏

 松本氏が、新卒でシンプレクスにエンジニアとして入社してから11年、現在のロールに辿り着くまで、さまざまなキャリアの変遷を辿ってきた。同時に、その過程では技術的にもあらゆる変化が生じてきた。

 「エンジニアが知るべき技術は10年単位で激変し続けています。今フルスタックエンジニアとして幅広い技術に精通していても、10年後にはまったく異なる知識が求められるかもしれません。こうした変化に、エンジニアはどうしても振り回されてしまいがちです」(松本氏)

技術は変遷し、エンジニアの仕事も変わり続ける
技術は変遷し、エンジニアの仕事も変わり続ける

 技術的変化や社会的変化に伴って、組織も同様に変化を起こす。そして組織が変わればその中に所属するチームや自分の業務も変わらざるを得ない。こうした外発的な変化は自分ではコントロールできない。しかし、チーム内の役割分担のように自分自身で起こせる変化もある。そこで松本氏が勧めるのは「外発的な大きな変化に飲まれる前に、内発的な小さな変化で、適応力を鍛えておく」ことだ。

 ここで松本氏は自身のキャリアを振り返る。文系出身でプログラミング未経験から、シンプレクスの選考過程でプログラミングの面白さを知り、2015年にシンプレクスへ新卒入社した。最初に携わったFXシステムの開発では、エンジニアとビジネスパーソンとしての基礎を築いた。続いてFXシステムの導入支援では、顧客との対話を通して、開発とは異なるビジネス価値の出し方を学んだ。暗号資産業界向けのシステム開発では初のチームリーダーを経験し、苦戦をしながらプロジェクトマネジメントを学んだ。

 その後、証券会社向けのITコンサルティングを担当し、異職種への転換にもかかわらず、課題発見から原因分析、構造設計、実行、モニタリングというサイクルがエンジニアの仕事と本質的に同じだと気づき、初めてやる役割でも「何とかできる」という感覚を掴んだという。現在は技術者組織の運営を担い、経営層とのコミュニケーションやピープルマネジメントにまで活動領域を広げている。

松本氏のキャリアの変化
松本氏のキャリアの変化

 松本氏は自身のキャリアについて、「一貫性や特定分野における深い専門性の習得と引き換えに、幅広い事業貢献の経験や変化への適応力といったメタスキルを得られた」と評する。

 そして、意図せずして「計画された偶発性理論」を実践してきたのではないかとも感じているという。この理論は、「キャリアは事前に完全に計画できるものではなく、偶然の出来事が大きな役割を果たす」という考え方だ。「一貫性のあるキャリアを綿密にデザインする道だけでなく、予測困難な未来を前に、変化への適応力そのものを磨く道もあること、これが本セッションで伝えたいこと」だと、松本氏は述べる。

計画された偶発性理論
計画された偶発性理論

変化への適応力を育てる「3つのスキル」「4つのマインド」

 松本氏は、自身のキャリアを通して得た、変化への適応力を育てるための気づきを、スキル、マインド、環境の3つの観点で整理した。

 スキル面でのポイントは、「経験を学びに昇華させること」「資格をキャッチアップの取っ掛かりにすること」「逆に変化をキャリアに依存させること」の3つだ。

 まず、経験を学びに昇華させること。説明のために、松本氏は「コルブの経験学習モデル」を持ち出した。具体的経験、省察的観察、抽象的概念化、能動的実験というサイクルを回し、1つの経験から汎用的な学びを抽出することで、人は成長するという。過去のプロジェクトでの失敗が、違う場面で失敗を避けるための学びになるとも言える。

コルブの経験学習モデル
コルブの経験学習モデル

 2つ目は、資格をキャッチアップの取っ掛かりにすることだ。資格のカリキュラムは体系的に整理されているため、新しい領域を学ぶ際の入口として有効である。また、未知の領域を学ぶプロセスそのものが、新しいことを学ぶというメタスキルの鍛錬になる。

 そして3つ目が、キャリアへの「依存関係逆転の法則」の適用だ。依存関係逆転の法則とは、ソフトウェア設計の基本概念の1つで、2つの要素からなっている。1つ目は、「ビジネスロジックなどより重要なモジュールは、データベースなどの下位モジュールに依存してはならず、両者は抽象(インターフェース)に依存すべきである」ということ。そして、2つ目は「抽象は詳細に依存してはならず、詳細が抽象に依存すべきである」ということ。

 松本氏は、この考え方をキャリアにも当てはめることを勧める。例えばキャリアが技術や社会的変化に依存していると、外発的な変化が生じた時に、キャリアを追随させるのが難しくなる。しかしキャリアが、ビジネススキルという「インターフェース」に依存していれば、個々の技術や職種は、その実装に過ぎなくなり、変化に対応するのが容易になる。松本氏にとっては、エンジニア時代に培った問題解決能力が、インターフェースにあたるという。そのため、エンジニア業務からITコンサルタント業務への転身も、それほど躓くことはなかったと、松本氏は振り返る。

 マインド面でのポイントは、「好奇心を育む」「インポスター症候群と向き合う」「変化への適応は難しいものと開き直る」「一般的なエンジニアの枠に縛られない」の4つだ。

 「好奇心を育む」ことはどんな効果をもたらすのか。松本氏は、機会があればとりあえず手を挙げる、迷ったら面白そうな方を選ぶといった習慣が、変化への感度を高めると指摘する。同氏は自身の習慣として、プライベートでバケットリスト(やりたいこと100個リスト)を作っていると紹介し、仕事にも取り入れてみることを勧める。

 次に、「インポスター症候群と向き合う」とはどういうことだろうか。インポスター症候群とは、「自分は優れた人間ではないのに過大評価されており、周囲を欺いているかのような後ろめたさや申し訳なさを感じてしまう状態」を指す。エンジニアにはありがちな感覚だが、キャリアの変化が多いと、専門性の軸を作りにくいので、なおさら陥ってしまいがちだと、松本氏は指摘する。しかし、本当に実力がなければチャレンジを任されることはない。任されている時点で信頼されている証拠であり、楽観して自信を持つべきだと、松本氏は励ます。

インポスター症候群と向き合う
インポスター症候群と向き合う

 3つ目の「変化への適応は難しいものと開き直る」について、松本氏は、失敗は当然のことであり、恐れて何もしないことこそがリスクだと指摘する。失敗した場合に実際に何が起こるのかを冷静に見つめれば、チャレンジのコストは思ったほど大きくないことが多い。

 そして、最後に「一般的なエンジニアの枠に縛られない」ことを掲げた背景については、エンジニアの業務範囲の拡大を理由に挙げた。いわゆるエンジニアの仕事にこだわらず何でもやることが、逆説的にエンジニアとしての強さにつながる。ビジネスへの貢献を意識し、自分の枠を広げていく姿勢が重要だと説明する。

Beyond the code. AI時代の彼方にある未来のエンジニア像

 変化への適応力を磨くには、環境の考慮も重要だ。そこで松本氏は、シンプレクスの取り組みを紹介しつつ、環境面でのポイントを3つ紹介した。

 1点目は、チャレンジを推奨する組織に身を置くことだ。

 自分が変化したいと思っても、保守的な組織だと身動きが取れなくなってしまう。もしそのような環境に身をおいているならば、チャレンジを推奨する環境に移るのも選択肢に上がるだろう。

 松本氏は、シンプレクスの文化を「流れるプール」と表現する。メンバーがそれぞれの強みを活かし、安定した業務の遂行に専念すれば、業績は向上し、炎上リスクも抑えられるだろう。しかしその一方で、組織は次第に硬直化し、イノベーションが生まれにくくなる。だからこそ、同じポジションに安住するのではなく、常に一つ上のポジションや、より難易度の高い仕事に挑戦すべきだというのが、「流れるプール」の意味だ。「社長から若手メンバーに至るまで、この価値観を共有しているからこそ、自然とチャレンジや成長が促される」と、松本氏は言う。

 2点目は、ビジネスと地続きの柔軟なキャリアパスを持つことだ。

 エンジニアの仕事はもはや、エンジニアリングの領域だけに留まらない。ビジネス領域も手掛けられる環境であれば、汎用的なスキルを磨くことができ、キャリアの可能性も大きく広がる。同社にはマネジメント・テック・コンサルなど多様なキャリアパスが用意されている。松本氏自身のように、エンジニアリングとビジネスを行き来する人材も多いなど、柔軟性のあるキャリアパスが特徴だという。

技術とビジネスの越境がしやすいキャリアパスを用意
技術とビジネスの越境がしやすいキャリアパスを用意

 そして最後に、組織自体が変化に適応していることが大切だと話す。

 組織が大きな変化に対応できなければ組織ごと沈む恐れがある。新しい技術トレンドへのキャッチアップを続けている組織に身を置くことが重要だ。同社も、Web3、生成AI、量子コンピューティングといった新たな技術潮流に、組織として積極的に取り組んでいるという。

技術面でのシンプレクスの取り組み
技術面でのシンプレクスの取り組み

 締めくくりとして松本氏は、生成AIの登場によって変化がさらに加速している現状について、自身の考えを語った。オードリー・タン氏の言葉を引き合いに出しながら、かつてコンピューターやプリンターが人の職業を指すものから機械を指すものへと変化したように、プログラマーも同じ道を辿るかもしれないという。そしてエンジニアの仕事もまた、今後も変化し続けるものであり、その先には、今は存在しない職種の姿が垣間見えるかもしれない。AIに限らず、コントロールできない大きな変化に適応し続ける必要があると、松本氏は強調する。

 「エンジニアがコードを書くことだけに専念する時代は終わりつつあります。変化の波を味方につけながら、新しい時代のエンジニア像を開拓しましょう。Beyond the Code, Beyond the Engineer.」(松本氏)

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提供:シンプレクス株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/23557 2026/04/13 11:00

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