AI活用度を番付にしたら、平均は「十両と前頭の間」だった
サイバーエージェントは2023年にGitHub Copilotを全社一斉導入し、当時のコード送信数・記述コード数で国内No.1を記録した。2024年には全職種向けとエンジニア向けに分けた生成AI徹底理解リスキリングを実施し、2025年には社内イベント「AI Fes.」(ポスター65展示・ブース26展示・来場者1000人超)の開催、さらに、エンジニアとAIエージェントが協働する革新的な開発組織へのアップデートを推進する「AIドリブン推進室」を新設した。
2026年に開催した2回目のAI Fes.は、この2025年をさらに超える盛況ぶりだったという。2028年に開発プロセスを完全自動化するという目標のもと、今年はAIで最速実装を競う「AI開発リアルタイムアタック」、事業部選抜チームが2日間で成果を競う「AI Agent Arena」、そして各部署のAI活用レベルを相撲の番付のように可視化した「エンジニア版AI番付」を実施している。
AI番付は、幕下・十両・前頭・小結・関脇・大関・横綱という相撲の番付7段階を、Lv1からLv5までの尺度に当てはめたものだ。幕下(Lv1)は個人利用にとどまり組織としての支援ができていない状態、横綱(Lv5)は複数のAIエージェントが協調し人間はビジネス判断・戦略に専念する完全自動化状態を指す。2028年の目標は大関、つまり開発プロセス全体をAIが自律実行し人間は要求定義と監督に専念するレベルだ。今年のスコアは、サイバーエージェント全体の平均が2.4で十両と前頭の間、トップ10組織の平均は3.2で小結だった。
評価軸はエンジニアリング(AI利用範囲、自動化の深さ、成果など)と推進力・組織文化(利用レベル、推進体制、経営とのシンクロなど)の2つ。上位組織と下位組織でギャップが大きかったのは、AI利用レベルが組織標準として定着しているか個人任せか、推進チームが機能しているか推進者が不在か、そして経営層と中期目標としての合意ができているか方針が未定かという3点だった。ツールの有無ではなく、組織としての「推進する構造」があるかどうかが差を生んでいる。
ABEMAの現在地は「小結」、AIによる複数ステップの連携実行
では、ABEMA自身はどこにいるのか。山中氏は、ABEMAは現状「小結」であり、複数のステップをAIが連携実行できる状態にあると明かす。すべての開発プロセスを一連で自動実行するところにはまだ至っていない。
ABEMAがこの評価を得られた背景には、毎月アンケートで個人のAI活用レベルをモニタリングし、各組織がAIの進捗状況や施策を共有・相談できる場を用意してきた積み重ねがある。GitHubのアクティビティを指標に測定したところ、2025年と2026年の同じ四半期を比べてプルリクエスト数は1.6倍、コードの変更行数は1.8倍に増えた。
プルリクエストが増えればレビューの負荷が上がるはずだが、平均マージ時間はむしろ37%短縮され、約2日かかっていたマージが約30時間に短縮されているという。ではこの「書く速度は上がったのにマージは速くなった」という現場では、実際に何が起きているのか。
