ローコードとAIエージェントが融合する次世代開発基盤
企業システム開発におけるAI活用が抱えるこれらの課題に対し、OutSystemsはどう応えるのか。阿島氏は、2025年に同社が打ち出した新たな方向性を紹介した。
同社は従来、ローコードアプリケーションプラットフォームとして認知されてきたが、今後は「Agentic Systems Platform」を目指すと宣言した。AIエージェントを使ってアプリケーションを開発するだけでなく、AIエージェント自体の作成、デプロイ、運用までを一つの基盤で支える構想だ。
この転換の中核を担うのが、AIがOutSystemsアプリを開発する際に参照するレイヤーである「Enterprise Context Graph」だ。OutSystemsアプリのアーキテクチャやベストプラクティスの情報に加え、顧客の契約環境に存在する他のアプリケーション、ライブラリ、外部データソースへの接続情報を網羅的に把握している。企業固有のコンテキストを網羅することで、先ほどのコンテキストギャップの課題を解決することができる。
このEnterprise Context Graphを基盤に、同社はさまざまなAI機能をリリースした。2025年にリリースされた「Mentor」では、自然言語で用途や利用者、管理したいデータ、画面構成などを伝えると、画面、ロジック、データのすべてにわたってAIがアプリケーションを構築してくれる。
開発ツール上では、AIとの対話を通じて、データベースの項目追加からロジックの変更、画面の修正までさまざまな作業を行える。内部ではEnterprise Context Graphを参照しているので、アーキテクチャの一貫性やセキュリティ、パフォーマンスが一定水準で担保されるのも強みだ。さらに、生成されたアプリケーションは従来のOutSystemsのローコードアプリケーションとして出力されるため、開発ツール上で内容をビジュアルに確認することもできる。
ただし、Mentorは専用のWeb UIや開発環境での利用を前提としていた。そこで6月に同社が発表したのが「OutSystems Agent Experience」だ。これはEnterprise Context Graphと、その周辺のプラットフォーム機能を、MCPサーバーとして外部に公開したものだ。これにより、Claude Codeなどの外部AIコーディングエージェントからもOutSystems上にアプリケーションを作成できるようになった。外部エージェントとの連携により、プラットフォーム標準の統制と両立しながら、企業固有のコンテキストへの対応力が高まったという。
例えば、画面のスクリーンショットやFigmaのデザインを参照させてUIを生成したり、定義書やER図からデータ構造を作成したりすることもできる。

