柳井です。 学生時代に読んだ「山月記」の文章の美しさが忘れられず、新潮社の「李陵・山月記」(中島敦)を読みました。この本は表題作品を含む短編集です。その各短編について少し書こうと思います。 1話目は「山月記」です。この作品は、教科書にも載っていたので読んだことがある人も多いと思います。舞台は中国。詩で名を上げようとした男が、詩業に絶望し虎になってしまう話です。 夢というものは大抵叶いません。ほとんどの人は志半ばで道を曲げます。曲げなかった人でも、道の先にたどり付くことは困難です。志を遂げる人はほんのわずかです。 「山月記」は絶望の物語です。しかし主人公は、虎になっても詩を作り続けます。先に何も見えなくても、歩みを止めようとしません。私にとっては、絶望よりもその執念が印象的でした。道を目指すということは、死ぬ瞬間まで歩き続けることだと思います。 |
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