翔泳社は12日、「Developers Summit 2014」(デブサミ2014)の前日祭として「デブサミ2014 Day0 Featuring Tokyo MotionControl Network センサー&デバイス祭」を、目黒雅叙園(東京・目黒)で開催した。3D認識技術にフォーカスしたコミュニティ「Tokyo MotionControl Network」との共催。
開幕に先立ち、Tokyo MotionControl Networkの秦優(はた ゆう)氏は、前日祭でセンサーを特集した経緯について「単純に今きているからということもあるが、今なら世界を出し抜けるコンテンツを作っていけると考えている。今回のデブサミのテーマ『Story』にもあるように、会場のみなさんと新しいストーリーを作っていきたい」と述べた。デブサミ事務局長の岩切晃子氏も、初のデブサミ前日祭の開催を「デベロッパーがイノベーションを起こすヒントと提供するため」と位置付けている。
冒頭のキーノートは、秦氏が「すでに世界を出しぬいている人なので、すごく参考になるはず」と紹介した、しくみデザインの中村俊介氏が登壇。「日本的キモチイイインタラクションは、世界に通じるコンテンツ!テクノロジーに縛られるな!」と題した講演では、インテルがワールドワイドで主催したアプリ開発コンテスト「Intel Perceptual Computing Challenge」でグランプリを受賞した「KAGURA for PerC」の制作裏話を題材に、同社が新デバイス(新技術)に対しどのように考え、取り組んだのかを解説した。
中村氏は、普段の仕事で一番気にしている「気持ちいいコンテンツの作り方」のポイントとして、「説明がいらないように、とにかく単純に、簡単にする」「音は非常に重要」「操作ミス自体を存在させないようにUI設計を工夫する」「正確より曖昧さを生かす(数値より感覚を優先する)」などを挙げ、中でも「テクノロジーを感じさせないようにする(テクノロジーを感じさせた時点で失敗)」ことを最重要視していると説明した。また、すごいと思えるのは最初の一度だけだが、楽しいは繰り返し経験できることから、「すごいではなく、いかに楽しいと思わせるか」をポリシーとしていることも強調した。
開発を担当した同社エンジニアの中茂氏も併せて登壇し、「プログラマーにとって楽しいのは、美しいコードを書いたり、よいアルゴリズムを書いて高速化したりといった部分だと思うが、それらは大抵ユーザーには伝わらず、さも当然のものとしてその上が求められる。アルゴリズムなどの部分はチャチャッと済ませてしまい、本当にこだわるべき部分にきちんとリソースを費やすことが大事」と、会場の笑いを誘いつつ、開発者視点でのストーリーを語った。今回こだわったのは、退屈でやりがいのない仕事とされがちな、波のエフェクトのパラメーター調整で、波の減衰や伝播速度がユーザーにとって心地よくなるように細部にこだわったとのこと。
続いて、「センサーとデバイスを使って月面歩行体験を表現に変える」(博報堂アイ・スタジオ 川崎順平氏)、「Physicalization of Computer Graphics/by Design - Input, Output, Algorithm」(東京大学 落合陽一氏、慶應義塾大学SFC研究所 小野雄太郎氏)、「出張 Tokyo MotionControl Network LT大会」と、新デバイスの登場で今後何ができるようになっていくのかを垣間見える講演が行われた。
同会場では、明日から2日間に渡ってデブサミ2014本編の開催が予定されている。
【関連リンク】
・デブサミ2014
・センサー&デバイス祭
・KAGURA for PerCのデモ動画(YouTube)
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斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)
株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...
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