東京工科大学コンピュータサイエンス学部の松下宗一郎教授らの研究チームは、小型軽量かつ日常生活での利用にも応用可能な、高精度のモーションキャプチャシステムを開発したと、11月26日~27日に開催された第25回日本コンピュータ外科学会大会で発表した。
今回の研究では、角速度センサの姿勢角を9個のベクトルで表すことによって、基準位置からの姿勢角変動をわずかな計算量で求められる手法を開発し、消費電力の少ない超小型マイクロコンピュータでの処理を可能にしたほか、センサ出力特性の時間・温度変動のアプリケーションへの影響を最小限度に抑えている。
地磁気センサや角速度センサなどによる姿勢補正が必須ではないため、小型の充電池で4~8時間程度の長時間使用できる。さらに、従来は複数個のセンサの組み合わせによって精度を維持していたが、今回発表したシステムでは、腕時計型のデバイス単体でも利用可能なので、試作の段階で約60gの小型・軽量設計を実現するとともに、既存の部品を利用することで数千円程度の低コストに抑えられた。
今回発表したシステムは、小型軽量なため常時装着した状態でも長時間利用でき、外科手術における手の操作をモニタリングした手術技量の客観的な評価や、日常生活での高精度なモーションキャプチャによる身体運動リハビリテーションのモニタリングといった在宅ヘルスケアへの応用を可能にしている。
このほか、モニタリング内容のビッグデータ解析による新たな健康管理アプリケーションの構築といった予防医学への応用や、従来は動画カメラによって行っていたスポーツや楽器演奏における身体運動のモニタリングなど、幅広い分野への利用が期待できる。
今後は、東京工科大学医療保健学部臨床工学科の篠原一彦教授、加納敬助教との共同研究での、一次救命措置における胸骨圧迫の正確なモニタリング手法への適用を想定した、腕時計型デバイス単体で実用的に動作する重力キャンセラーおよび重力以外キャンセラーシステムの開発など、さまざまな研究・開発を進めていく。
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