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PagerDuty、AIエージェントでインシデント対応の自律化を加速──国内SIパートナー20社超への拡大を発表

 インシデント管理プラットフォームを展開するPagerDutyは2026年4月16日、東京都内で記者発表会を開催した。CEO兼会長のJennifer Tejada氏の来日に合わせ、AIによるオペレーション変革戦略と最新製品アップデートを発表した。SREエージェントをはじめとする4つのAIエージェントの一般提供や、日本法人設立4年間における200%超の成長、国内SIパートナー20社超への拡大などが明らかにされた。

「AIオペレーションのコントロールプレーン」を目指すグローバル戦略

 PagerDutyは2009年の創業以来、世界で3万5000以上の組織と100万人以上のユーザーをサポートするインシデント管理プラットフォームに成長した。Fortune 100企業の3分の2、Fortune 500企業の半数以上がミッションクリティカルなオペレーションに採用しており、2019年のニューヨーク証券取引所上場後、収益は5億ドルを超えGAAPベースで黒字転換を果たしている。

 Tejada氏はDevOps・DigitalOps・AIOpsという技術変革の流れを示しながら、「完璧な人間も、完璧なソフトウェアも、完璧なAIも存在しない。失敗にどう対処し、そこから学び、いかに強くなるかがエンタープライズ・レジリエンスにつながる」と述べ、PagerDutyを「AIオペレーションの信頼レイヤー」として位置づける戦略を強調した。AIエコシステムの拡大に向けては、Model Context Protocol(MCP)サーバーを活用し、AnthropicのClaude、Cursor、LangChainを含む30のパートナーとの連携を新たに発表した。

PagerDuty CEO兼会長 Jennifer Tejada氏
PagerDuty CEO兼会長 Jennifer Tejada氏

 同氏によれば、昨年1年間で2500社以上、直近の第4四半期だけで600社の新規顧客を獲得した。日本市場については「AIが日本経済にとって非常に良いものになると信じている」と述べ、長期的なコミットメントを強調した。

SREエージェントをオンコールスケジュールに直接組み込む新機能

 プロダクトマネジメント担当VPのNora Jones氏は、目的別に構築した4つのAIエージェントの一般提供を発表した。「Shift」エージェントと「Insights」エージェントが人材最適化とデータ駆動型意思決定を担い、「Scribe」エージェントと「SRE」エージェントが実際のインシデント対応を支援する。SREエージェントはスタックからシグナルを収集し、過去のインシデントの記憶と継続的な学習を組み合わせてトリアージ・診断・修復を支援するもので、今回新たにオンコールスケジュールやエスカレーションポリシーへの直接組み込みが可能になった。

AIエージェントスイートの4種類と役割を示すスライド
AIエージェントスイートの4種類と役割を示すスライド

 Jones氏は同社の「AIファーストオペレーションの現状」調査を引用し、顧客の59%がすでにオペレーションにAIを組み込んでいると報告した。一方、顧客の3分の2が大規模インシデント時に1時間あたり最大30万ドルの損失を被っており、「95%の人々がレジリエンスは競争優位性をもたらすと答えているにもかかわらず、根本原因の特定はこれまで以上に困難になっている」と課題を示した。

PagerDutyプロダクトマネジメント担当VP Nora Jones氏
PagerDutyプロダクトマネジメント担当VP Nora Jones氏

 同氏はインシデントを「新しく未知の状況」「部分的に理解されている状況」「十分に理解されている状況」の3種類に分類し、十分に理解されている状況はAIと自動化で対処できるとした上で、「私たちのことを、オペレーションの中枢神経系だと考えてほしい」と語り、750以上の統合を持つプラットフォームとしての役割を強調した。

日本法人4年で400社超、平均取引単価が68%上昇

 PagerDuty株式会社代表取締役社長の山根伸行氏は、日本法人設立から約4年で社員数約50名、国内顧客が400社を超えたと報告した。2023年度から2026年度にかけた平均成長率は200%超を記録し、日経225構成企業の3分の1、日本の時価総額トップ10企業の3分の2がPagerDutyを採用しているという。またエンタープライズにおける平均取引単価は68%上昇したと明かした。「かつてオンコールツールとして認識されていたPagerDutyが、今ではシステム障害全体のエンドツーエンドのオペレーション基盤として評価されるようになった」と語り、単体ツールからプラットフォームへの評価の変化を示した。

PagerDuty株式会社 代表取締役社長 山根伸行氏
PagerDuty株式会社 代表取締役社長 山根伸行氏

 導入事例として2社を紹介した。ベネッセコーポレーションでは従来362件あった有人対応を自動化し一次対応の完全無人化を実現、年間1.2億円のコスト削減を達成した。NTTドコモでは監視アラートの9割削減を起点に、現在はAIによる原因特定と人間によるビジネス判断を分離した自律的な運用基盤への移行を進めているという。

 国内SIパートナーは設立当初の5社程度から20社超へと拡大した。製品の日本語化については、今月中に主要画面「Operations Console」とSREエージェントの日本語対応が完了する予定だと述べた。山根氏は「LIGHT THE UNSEEN(止められない世界を、照らす光。)」という日本独自のコンセプトを掲げ、複雑化するシステムの中で苦労するエンジニアの課題解決を支援していく姿勢を示した。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

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