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Snowflakeが示す、企業のAIエージェント活用に不可欠なデータ基盤とは?

 データクラウドプラットフォームを提供するSnowflakeは、日本市場における最新の事業戦略とプロダクトの方向性を説明する発表会を7月2日に開催した。発表会では、従来のデータ蓄積・分析インフラという枠組みを超え、人間と自律的なAIエージェントが協働して全社的な業務変革を推進する企業像「エージェンティック エンタープライズ」の実現に向けた、包括的なアプローチが示された。

 まず、Snowflakeの社長執行役員である浮田竜路氏が、グローバルにおける同社の業績を報告。2025年2月から2026年1月までの製品売上高が44億7000万ドルに達し前年比29%増となったこと、さらに直近の第1四半期も13億3000万ドルで前年比34%増と成長が加速していることを紹介し、特に日本を含むアジア太平洋および日本地域(APJ)の成長率がグローバルの水準を上回って推移していると説明した。

Snowflake合同会社 社長執行役員 浮田竜路氏
Snowflake合同会社 社長執行役員 浮田竜路氏

 続いて、同社 執行役員 ソリューションエンジニアリング統括本部長の井口和弘氏が、6月に米国で開催された年次イベント「Snowflake Summit 26」での発表をもとに、エージェンティック エンタープライズを支えるSnowflakeの機能について解説した。

Snowflake合同会社 執行役員 ソリューションエンジニアリング統括本部長 井口和弘氏
Snowflake合同会社 執行役員 ソリューションエンジニアリング統括本部長 井口和弘氏

 井口氏は、エージェンティック エンタープライズを構成する、「AIモデル」「エンタープライズデータ&コンテキスト」「エージェント コントロール プレーン」「ソフトウェア&アプリケーション」の4つのコンポーネントを、Snowflakeが同一プラットフォーム上で統合提供する優位性を強調。

エージェンティック エンタープライズのための4つのコンポーネントを提供
エージェンティック エンタープライズのための4つのコンポーネントを提供

 1つ目の「AIモデル」に関しては、Anthropic社との戦略提携深化により「Claude」モデルを「Cortex AI」に直接統合し、最高精度のAI推論をガバナンス付きで実行できるほか、xAIの「Grok」の追加や独自・OSSモデルをホスティングしてSQL関数から直接呼び出せる「Bring Your Own Model」の提供など、特定のベンダーにロックインしない柔軟な選択肢が示された。

 2つ目の「エンタープライズデータ&コンテキスト」については、本番グレードのエージェント構築を迅速化する「Cortex Sense」や、組織内のデータ定義や利用情報を集約し、コンテキスト(背景情報)として自動活用する「Horizon Context」を紹介。さらに、Kafka完全互換のフルマネージドストリーミング機能によりサブ秒レイテンシでのデータ取り込みを実現する「Snowflake Datastream」や、半構造化・地理空間・CDC(変更データキャプチャ)をサポートする「Apache Iceberg V3」の実装、データを迅速かつ低コストに処理する新しい計算サービス「アダプティブコンピュート/ウェアハウス」が示された。

 3つ目の「エージェント コントロール プレーン」では、100以上の業務システムにセキュアに接続して制御可能にするNatoma社の買収とMCP(Model Context Protocol)ガバナンスプラットフォームの統合が紹介された。また、エージェントを悪用した攻撃から自動的に守る「Horizon AI Guardrails」のフルマネージド提供や、エージェントに固有のIDを付与して「誰が何をしたか」を追跡・監査できるようにする「Agent Identity」が導入され、セキュリティ担当者の運用負荷を抑えつつエージェントを構築できるアーキテクチャが示された。

 4つ目の「ソフトウェア&アプリケーション」では、MCPによる連携に加え、WorkdayやIBMとのパートナーシップ、SAPとのゼロコピー双方向統合によりリアルタイムで基幹データをAIに届ける基盤が説明された。

 そのうえで井口氏は、主にエンジニア向けに提供され、データエンジニアリング、機械学習、エージェント構築といった複雑なタスクをシンプルな自然言語との会話に変換してエンドツーエンドの開発を加速させる「Snowflake CoCo(以下、CoCo)」を紹介。

データのためのAIコーディングエージェント「Snowflake CoCo」
データのためのAIコーディングエージェント「Snowflake CoCo」

 CoCoへのアクセスは多角的に用意されており、開発者向けのCLI、VS Code向けのエクステンション、専用のデスクトップアプリケーション、Claude Code向けのプラグインといった環境を網羅している。加えて、Webブラウザベースの管理ツール「Snowsight」やSlack、モバイルアプリなどの日常的なインターフェースを介すことで、営業やマーケティングといった現場のビジネスユーザーであっても、日常の業務自動化に直接活用できるという広範なアクセス性を特徴に持つ。

 事例として、Snowflakeの日本サポートチームにおけるCoCoの活用実績も明かされた。従来、膨大なデータベースのログ調査や解析業務には長時間を要していたが、CoCoを事前調査に導入した結果、エンジニアの業務は「調査」主体から、顧客と向き合う「検証・レビュー」主体の業務へとシフト。結果として平均の案件クローズ日数を14%短縮でき、長期サポートを要する難解な案件では50%の時間短縮を達成したという。

 続いて、ゲストスピーカーとして登壇したNTTデータの渡辺麟太郎氏は、CoCoやSnowflakeのデータ基盤を活用した3つの具体的な国内事例を共有した。

株式会社NTTデータ AI事業本部 AIビジネス事業部長 渡辺麟太郎氏
株式会社NTTデータ AI事業本部 AIビジネス事業部長 渡辺麟太郎氏

 1つ目はデータの民主化であり、ITの知見が乏しい非エンジニアの営業担当者がCoCoと対話することで、Pythonベースのユーザーインターフェースフレームワークである「Streamlit」を用いたデータアプリや営業分析用のビューを動的に構築し、現場主導でアプリケーションの改善を継続している事例だ。

 2つ目はデータエンジニアリングの迅速化であり、業務に関するドキュメントを読み込ませることで、AIエージェントがセマンティックレイヤーに必要なメタデータの一次案を自動生成する仕組み。データエンジニアのヒアリングや手作業によるメタデータ作成の手間を大幅に削減し、環境変化に応じたメタデータの改変・整備を自律化させることに成功した。

 3つ目は業務インサイトの深化であり、数値情報が並ぶダッシュボードの背景にあるプロジェクトの議事録、メール履歴、業務文書などの非構造化データをエージェントに統合して読み込ませることで、数字の裏側にある情報を含んだ、より深いビジネス判断を可能にした事例である。

 これらを踏まえて渡辺氏は、データが便利に変え始めるとさらに新しいデータが集まってくるというデータの引力の存在を指摘し、人間とAIが業務プロセス内で相互に補完し合う観点から、使いながら迅速にシステムを改善していく開発サイクルの有効性を説いた。

 最後に浮田氏は今後の展望として、日本企業が直面している労働力不足やグローバル競争の激化といった構造的課題の解決に向けて、企業における安全かつ確実なAIの実装を継続的に支援していく姿勢を示した。

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

CodeZine編集部所属。

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https://codezine.jp/news/detail/28834 2026/07/02 21:17

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