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サイバーエージェントがKubernetesで独自に構築! アドテク特化のコンテナ基盤とは?


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AKEの6つの特徴(2)

 第3の特徴はハイパフォーマンスL4/L7 LoadBalancerである。AKEではKubernetesノードにきたトラフィックが、各Podに転送される仕組みになっている。だが、ノードスケール時や障害時にはロードバランサーを手動で操作しなければならなかった。

 そこでtype LoadBalancerを採用。これにより手動でのロードバランサー制御が不要となった。「具体的に言うとtype LoadBalancerはCloud Provider Integrationで実装している」と青山氏。OpenStackではOctaviaが利用可能になっているが、「アドテクノロジー領域では性能が今一つ」なのだという。だから、ベアメタルLBと連携するなど、Cloud Provider Integrationを独自実装しているのだそうだ。

 ロードバランサーのところで面倒だったのは、Ingressの部分。Ingressでルーティングをする場合、Ingress Controllerが必要になるが、GEKには本体に含まれているため、Ingressリソースを作るだけで終わりとなる。そこでオンプレでもGKEのようなIngressを実現するため、AKE Ingress Controllerを自作したと青山氏は言う。

 第4の特徴は後からでも利便性の高いアドオンを追加できるようにしていることだ。例えばロギングの分野では、Elasticsearchを使っており、今後はSaaSなどにも対応予定だという。モニタリングはDatadogなども使えるようにしている。「Helmやdashboradなど、ユーザーの利便性向上につながるものをワンクリックで利用可能にしていく」と青山氏。

 第5はチューニング。ネットワークチューニングであれば、iptablesやハッシュテーブルサイズ、コネクション周りのチューニングを可能にしている。「今後はCNI周りなどの検証を行い、さらに高速化したい」と青山氏は意気込む。またKubernetesのチューニングについては、マスターの設定を自由に変更できるため、HPA(Horizonal Pod Autoscaling)の間隔やその他システムへの割り当てリソースを調整できるようにしている。その他にもカーネルチューニング、ハイパーバイザーチューニングなども用意している。

 第6はマルチコンテナランタイム。AKEにはDockerをはじめ、いくつかのコンテナを採用している。青山氏は「いつかはこれらをサポートしていきたい」と展望を語った。

 青山氏はAKEというコンテナ基盤を自作したことについて、「考えつくことは何でも実現できる。楽しめるので最高だ」と言い切る。デメリットとしては「実装コストや運用コストがかかること。内部実装を理解していないと危険なこと」を挙げる。

メリット、デメリット
コンテナ基盤を独自に構築するメリット、デメリット

 だが、前述したようにエンジニアとして楽しめるのが最大の魅力。最後に青山氏は、「私たちの仲間になってチャレンジしませんか」と会場に呼びかけ、セッションを締めた。

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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