Shoeisha Technology Media

CodeZine(コードジン)

特集ページ一覧

50を超えるヤフーのスマホアプリ、チームを越えて課題解決やノウハウの共有を実現【デブサミ2019夏】

【C-2】ヤフーのアプリにおける会社全体での業務効率化について

  • ブックマーク
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2019/07/26 12:00

 Yahoo! JAPANをはじめ、数多くのサービスを提供しているヤフー株式会社。同社ではそれぞれ独立したチームが各サービスを担当しているが、これは開発・展開のアジリティを確保する上で有効な反面、ノウハウや気づきが各チーム内に閉じてしまいがちな課題も抱えている。そこで、アプリに関する全社横断の部署を立ち上げ、課題解決や開発の効率アップを実現。「みんなで一緒に成長できる組織」が誕生した効果を、同社の鎌倉和弘氏が語った。

目次
ヤフー株式会社 CTO室アプリ統括部 鎌倉和弘氏
ヤフー株式会社 CTO室アプリ統括部 鎌倉和弘氏

チームを越えた課題解決に向け、アプリの全社横断的組織を立ち上げ

 多くの開発型企業にとって、企業の成長にともなう組織内のタテ割り化と、その弊害をいかに克服するかは、最も重要な課題のひとつだ。ヤフー株式会社では、その克服のために「アプリの全社横断組織」という新たな試みにチャレンジしたと鎌倉氏は語る。

 「Yahoo! JAPANでは数多くのサービスアプリを提供しており、現在の提供サービスは100本以上。AndroidとiOSのネイティブアプリも、公開中のもので50本以上に上ります。これらの開発チームはサービスごとに独立していて、運用なども含めた多くの権限までが移譲されています。そのためどんなアプリを開発するか、どんな機能を実装するか、開発手法や品質保証についても各自で自由に決められるようになっています」

 変化の激しいWebサービスにとって、こうした自律的に動ける組織は、柔軟かつ状況に応じた判断の下でスピーディーな開発を可能にしてくれる。鎌倉氏自ら、「当社風に言うと『爆速開発』ができる」と話す、まさにヤフーにふさわしい、アジャイルな組織形態だ。

 だが、一方ではデメリットもある。せっかくのノウハウが、各サービスのチーム内に閉じてしまい、あちこちで同じような課題に突き当たってしまうといったケースが発生する。ビジネスレベルでは事業部同士の連携があっても、肝心の開発現場では他のサービス担当チームがどのように開発しているのかが見えにくい。この結果、せっかくの貴重なノウハウが共有されにくく、それぞれのチームで同じ課題に悩む非効率な状況が生まれていた。

 「当社には優れたエンジニアが多く在籍しているのに、このままではもったいないと感じていました。そこでアプリの全社横断的組織を立ち上げて、問題の解決に当たることになり、アプリ統括部という組織ができました」

各チームと兼務のメンバー同士で、現場感あふれる課題解決が可能に

 新設されたアプリ統括部は各サービスとは別の独立組織で、業務の課題を解決する「アプリワーキンググループ」と、実際の開発がメインの「SDKコア」の2つのグループで構成されている。前者は、社内からのさまざまなアプリに関する相談を取りまとめる。後者はそれらの課題を解決する、いわば「実装部隊」だ。

アプリ統括部は「アプリワーキンググループ」と「SDKコア」で構成される
アプリ統括部は「アプリワーキンググループ」と「SDKコア」で構成される

 またアプリ統括部は、各サービスのチームから1人ずつ選出された人物で構成されている。つまり、メンバーは専任者の鎌倉氏を除くと、全員開発者との兼務なのだ。メンバーがそれぞれに自分たちの現場での課題を出し合い、ヤフーのアプリ全体の問題として、協力しながら解決していく仕組みとしては必然でありベストと言える。

 現在、兼務で参加しているメンバーの所属サービスは、Yahoo!ショッピングやヤフオク!、Yahoo!路線情報、Yahoo!地図、GYAO!など。さらにIDチームや広告チームなど、プラットフォームの担当者も加わっている。

 さらに、社内で「黒帯」と呼ばれるエキスパートも参加している。ヤフーには「黒帯制度」と呼ばれるものがある。「該当分野について突出した知識とスキルを持っている第一人者」と認められた人が「黒帯」の称号を与えられるのだ。

 「黒帯の方が加わってくれることで、アプリ開発で悩んだときにもトップレベルの人にすぐに聞けるので、スピーディーに開発が進められます。また全社横断組織で何かプロダクトを作るときなども、一定以上の品質水準を保持できるのは大きなメリットです」

 ここまで見てわかるように、アプリ統括部のユニークな点は、独立した組織でありながら、主務のメンバーだけでなく現場の課題感を熟知している兼務者で構成されていること。その結果、いわゆるトップダウンではなく、会社全体で一丸となって課題解決を図れることにある。

メンバーが各自の開発現場で出てきた課題を持ち寄って解決する
メンバーが各自の開発現場で出てきた課題を持ち寄って解決する

  • ブックマーク
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

バックナンバー

連載:【デブサミ2019夏】セッションレポート

もっと読む

All contents copyright © 2005-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5