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実装の優先順位はどう決めるべき? 「対面を超える」ためのベルフェイスのプロダクト開発指針

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2020/04/20 11:00

 商談などのビジネスコミュニケーションや営業マネジメントを支援するオンライン商談システム「bellFace(ベルフェイス)」。このプロダクトを提供するベルフェイス株式会社において、2019年までプロダクトマネージャーを務めたのが吉本猛氏、そして2020年1月に同社へ入社し4月からプロダクトマネージャーを務めているのが石田啓氏だ。リリースから4年半で1300社以上の企業へと導入され、右肩上がりの成長を続ける「bellFace」は、何を重視して開発されてきたのか。吉本氏と石田氏に伺った。

目次
ベルフェイス株式会社 経営企画室 吉本猛氏
ベルフェイス株式会社 経営企画室長 吉本猛氏

2011年当時、株式会社ディーノシステム代表。中島氏と出会い、社員3名・実績ゼロの同社にジョイン。SV部門責任者を担う傍ら、インサイドセールスチームやカスタマーサクセスチーム、Web動画制作チームの統括として業務に従事。2015年同社を退職し、代表の中島氏と共にベルフェイス株式会社を創業。原体験を基に作った、オンライン商談システム「bellFace」をリリース。その後、セールス、カスタマーサクセスを経て、テクニカルサポートチームを立ち上げた後、プロダクトマネージャーとしてプロダクト開発を牽引。2019年10月より経営企画室を立ち上げ、採用、組織開発、社内広報を通して強固な組織構築を行っている。


ベルフェイス株式会社 プロダクトマネージャー 石田啓氏
ベルフェイス株式会社 プロダクトマネージャー 石田啓氏

2008年株式会社ディー・エヌ・エーに入社。EC事業部(当時ビッダーズ)にて、新規営業の部署に配属。初年度に全社営業MVPを受賞。その後、事業開発グループに異動し、中国EC市場やシニア市場の新規事業調査を経て、ソーシャルゲームの企画部に配属。2011年に独立し、共同購入サービスや台湾ECモールの新規立ち上げ、Webマーケティングのコンサルティングなどを手掛ける。2012年、株式会社ユニラボの創業メンバーとして、営業、カスタマーサポート、マーケティングなど各部署の立ち上げを行い、サイトマスターを務める。2020年1月にベルフェイス株式会社へ入社し、4月よりプロダクトマネージャーを務める。

代替がきく機能は後回し。初期フェーズにおける実装方針

――吉本さんは2019年まで「bellFace」のプロダクトマネージャーを務められていたそうですね。開発の初期フェーズではどのような基準で「この機能を優先する」または「この機能を後回しにする」と決めていきましたか?

吉本:まず後者についてお話しすると「人間によるサポートや他のツールなどで代替がきく機能」は後回しにしていました。例としては、プロダクトのチュートリアルが挙げられます。通常、Web会議システムを開発する企業は、チュートリアルの機能を優先的に実装してユーザビリティの向上を図ることが多いかもしれません。ですが、カスタマーサクセスの社員がユーザーと密にコミュニケーションをとることで、機能を代替できると判断しました。

 初期フェーズでは開発リソースが限られていましたし、まだまだ不足している機能も多かったので、より「プロダクトが提供すべき本質的な価値」にフォーカスして開発を進める必要がありました。

――逆に、実装を優先した機能は何でしたか?

吉本:いくつもありますが、判断軸としては「『対面を超える』ことに寄与してくれる機能かどうか」を大切にしていました。これまで訪問営業を中心にされていた方々に、「bellFace」を用いたインサイドセールスに切り替えていただくには「訪問営業よりも『bellFace』の方が優位な点」を生み出す必要があります。そうでなければ、既存のやり方を変えてまで「bellFace」を使おうとは考えていただけません。

 例えば、プロダクトのコアである「資料設定機能」とそれに紐づく「トークスクリプト機能」「チーム内の資料共有機能」などは、優先的に実装を進めた機能の1つです。これにより営業組織として、オンラインでの提案の品質を個に依存することなく展開することができるようになりました。

 それから、「ビューティーモード」や「名刺プロフィール機能」も優先した機能として挙げられます。ビューティーモードは、営業担当者の印象がより良くなるように、明るく、スリムに調整をする機能です。名刺プロフィール機能は通常の名刺以上の情報を提示可能で、視覚的にアイスブレイクを手助けします。実物よりも美しく見せられること、対面よりもアイスブレイクがしやすいことで「bellFace」を利用していただくモチベーションになるのではないかと考えました。

業務の実態に即した形に、プロダクトの機能を変えていく

――他に、プロダクト開発において工夫されたことはありますか?

吉本:ユーザーの業務の実態に即した形に、プロダクトの機能を変えていくことですね。かつて「bellFace」は「自社のWebサイトやサービスのLPなどに『bellFace』用のHTMLタグを埋め込み、該当ページに表示されるポップアップを経由してプロダクトを利用する。営業と顧客はともにサイトを遷移しながらコミュニケーションする」という仕様でした。

 ですが、サイトの回遊を前提とした仕様の場合、契約してから活用し始めていただくまでのリードタイムが長くなります。Web担当者の許可やサイトの動作検証などに時間がかかるためです。この課題を解決するため、あえて「サイト内を遷移」という機能を捨て、「資料を共有する」という機能を主軸にしました。この判断を軸にして、プロダクトのコアコンセプトを“商談”に振り切るという意思決定をしていきました。

 その後、HTMLタグを埋め込んでいただく形式も廃止しました。現在は「『bellFace』というキーワードで検索して公式サイトにアクセスしていただき、トップページから接続ナンバーを発行していただく」という、よりシンプルな仕様に変わっています。

――大胆な方針転換をされてきたのですね。

吉本:これも、プロダクトを利用される方の業務に即した仕様変更です。HTMLタグを埋め込む形式ですと、ユーザーである営業の方が自社のWeb担当者の許可をとるフローが発生し、導入自体に時間を要します。これは「営業活動ですぐに活用し、成果を出したい!」という顧客の気持ちに反していることになってしまいます。さらに接続までのフローも「特定のキーワードで検索すれば、すぐに使える」というシンプルな仕様の方が、ユーザー及びその先にいる提案を受ける方々にとっても利用していただきやすいだろうと考えたためです。


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著者プロフィール

  • 中薗 昴(ナカゾノ スバル)

     週の半分はエンジニア、もう半分はライター・編集者として働くパラレルキャリアの人。現職のエンジニアとして培った知識・経験を強みに、専門性の高いIT系コンテンツの制作を行う。

  • 岡田 果子(編集部)(オカダ カコ)

    2017年7月よりCodeZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。JavaScript勉強中。

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連載:プロダクト開発の先進事例に学ぶ、キーパーソンインタビュー
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