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ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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新規SaaSの企画検討からリリースまで! freeeの事例に学ぶプロダクト開発

漠然とした要件からMVPを見極めるには? プロトタイプからペルソナを見出し、開発に至るまで

新規SaaSの企画検討からリリースまで! freeeの事例に学ぶプロダクト開発 第2回


 これまで会計、人事労務、申告関連などのSaaSを手掛けてきたfreee株式会社は、今年4月に「プロジェクト管理freee」をリリースしました。同製品は、既存プロダクトとはバイヤーもユーザーも異なる、フロントオフィス業務を対象としたSaaSで、そのリリースに際してはさまざまな挑戦が行われました。本連載では、同製品のリリースまでの流れを、全6回にわたり各ファンクションの担当者が解説し、その中で得られた知見を紹介します。第2回はMVPを定義し、開発に着手するまでの取り組みについて、UXデザイナーの篁 玄太氏が紹介します。(編集部)

はじめに

 はじめまして。篁(タカムラ)と申します。freee株式会社でUXデザイナーをやっております。

 前回の記事では、弊社プロダクトマネージャー宮田よりプロジェクト管理freeeのキックオフから経営陣の投資判断にこぎつけるまでのストーリーをご紹介させていただきました。

 今回、私からはMVP(Minimum Viable Product)をチームとして定義し、本格的な開発着手に至るまでのストーリーを中心にお話しできればと思います。

 漠然としたプロダクトのアイデアから始まり、現在の案件収支管理にフォーカスしたプロジェクト管理freeeの姿に至るまでの経緯を、取り組みやデザインプロセスといった実例を交えながらご紹介いたします。

freeeにおけるUXデザイナーの役割とは?

 本題に入る前に、freeeのUXデザイナーがプロダクト開発においてどういう役割を担っているのか、簡単にご説明します。
 

 会社によってUXデザイナーに期待される役割には幅がありそうですが、freeeではプロダクトの企画からUI設計までが責任範囲となります。弊社は主に業務向けSaaSを提供する会社ですので、想定ユーザーの業務理解から始まり、それをクラウドサービスの形に落とし込み、ユーザーがPCの画面を通して目的を達成できるようにするまでが仕事です。

 ですので、社内外含めさまざまな人たちとコミュニケーションをとりながら業務を行うわけですが、特にプロダクトマネージャーとはその機会が多くなります。

 その中で、一緒にどんなユーザーのどういう要望を叶えればいいのかを決め、解決方法を考え、検証可能なものを作り、エンジニアが実装できるところまで持っていきます。UXデザイナーはそのプロセスの中でも特にユーザーリサーチや、チーム全体を巻き込んだデザインプロセスの整備、UI作成においてイニシアチブを発揮することが求められます。

誰に何を届けるためのサービスを作るのか?

 私は2019年4月にfreeeに入社したのですが、実はこのプロジェクトにジョインすることは入社前からほぼ決まっていました。

 「いったい、どんなものを作っていくんだろう」という大きなワクワク感と少しの不安を抱え入社し、ひと月がたった頃にキックオフを迎えました。

 その時点では「ホールプロダクト」というプロジェクトコード的なものが決まっていただけで、どんなユーザーにどのような価値を提供するためのサービスなのかはまだ漠然としていました。

 「バックオフィス業務向けのサービスではなく、フロント業務向けであること」「freeeのメインプロダクトである会計freeeや人事労務freeeと併用することで価値が向上するようなサービスであること」「経営状態の可視化により、どんぶり勘定を脱する助けとなるツールであること」などは制約としてありましたが、それだけでは大まかな方向性しか定まりません。

 ですので、まずはそこからチームとしてサービスの方向性を固めていく必要がありました。

 1週間のデザインスプリントを経て、磨き込んでいく価値がありそうなものは見えてきたものの、ここからMVPとしての形を見極めるまでには、さらにいくつかのステップを要しました。

次のページ
「工数管理freee」を作ろうとしていた時期

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この記事の著者

篁 玄太(freee株式会社)(タカムラ ゲンタ)

 freee株式会社 プロダクト戦略 UXデザイナー。  関西学院大学社会学部卒業。受託系のウェブ制作会社数社でデザイン、実装、CMS構築などを経験。その後、継続的に自社プロダクトを育てたくなり、事業会社のデザイナーとして数社渡り歩くうちにfreeeで働くことに。2019年4月にfreeeに入社。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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