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新規SaaSの企画検討からリリースまで! freeeの事例に学ぶプロダクト開発

漠然とした要件からMVPを見極めるには? プロトタイプからペルソナを見出し、開発に至るまで

新規SaaSの企画検討からリリースまで! freeeの事例に学ぶプロダクト開発 第2回


「工数管理freee」を作ろうとしていた時期

 プロトタイプを想定ユーザーに当ててみることで、それなりに価値がありそうな手応えは得られました。ただ、今振り返ると最終的にリリースしたプロダクトと大きく異なる点がいくつかあります。

 下記は初期のデザインスプリントで作られたプロトタイプの一部です。

 メンバーが付けた工数を元にした稼働状況や簡単な収支、プロジェクトに紐づく各種情報がコンパクトにまとまっていて、プロジェクトの詳細ビューとしてなんだか良さそうな気もします。ですが、結果としてこの中でMVPとして残ったものは、収支情報サマリーと工数の推移グラフのみでした。

 また、この時点では収支管理要素は薄めです。最終的には収支管理シートという専用の画面を用意することになったほどの要素ですが、あっさりとしたサマリーが表示されているだけです。

 なぜそんなことになったのでしょうか?

 今思えば、このときの私たちはプロジェクト収支管理より、工数データを元にした稼働状況の可視化や、複数人でプロジェクトを進めるうえでの情報共有といったものに気を取られすぎていたのかもしれません。もちろん、それらも価値があるものなのですが、freeeとして提供すべき価値の認識がぼんやりしていたことで、カバーすべき要素の重み付けや取捨選択が甘くなっていました。

 余談にはなりますが、最終的に「プロジェクト管理freee」としてプロダクト名が決まるまでの長い間、ヘッダー部分には「工数管理freee」というプロダクトロゴが刻まれていました。

プロトタイプから見えた本当のペルソナ

 こうしたプロトタイプを眺めながら自社の経営層との壁打ちを何度かするうちに、「プロジェクトマネージャーが、日々プロジェクトの予実(時間的・金銭的)を管理し、収益管理を主軸としたプロジェクト管理全般ができるサービス」という中長期的なビジョンが固まってきました。

 そうなると、プロジェクトマネージャーの業務や責任を持つ範囲に対する理解をより深める必要が出てきます。われわれは急ぎ、社内のプロジェクトマネージャー経験者に対してインタビューを行いました。

 インタビューで明らかにすべき点を洗い出すために、まずはインタビュースクリプトの設計を実施しました。プロジェクトマネージャーがどのように収支管理やアサインを行っているのか、プロジェクトの管理に対してどんな権限や責任を持っているのか、レポーティングは誰にどんなふうにしているのか、など付箋に思いつく限りの知りたいことを書き出し、それらを構造化していきスクリプトを練っていきました。

 そのスクリプトを携え、10名ほどにインタビューを行った結果、プロジェクトマネージャーの業務に対する解像度がかなり上がりました。

インタビュー結果をまとめた資料の一部
インタビュー結果をまとめた資料の一部

 事前に抱いていた仮説では、オーナーを持つプロジェクトの収支を把握し先手を打つ人、というイメージでした。しかし、実際に調査を進めていくと、それとは違った像が見えてきました。

 請負型の受託案件ビジネスでは特に予算追加のアクションが厳しいために「予算と納期は動かせない前提でやりくりするのがプロジェクトマネージャーの仕事」といった意識を持っているケースや、そもそもプロジェクトの利益に責任を負う立場ではなかったり、利益をどれだけ残したかが評価の対象とならなかったりするケースもそれなりに見られました。

 また、プロジェクトマネージャーのペインも具体化されてきました。

 「アサインするメンバーの確保や調整、工数/予実の管理など、本質的なタスクであるものの効率化の余地が大きくありそうなもの」「プロジェクト収支を経営層と共有するためのレポート作成や、工数の集計、全社的なリソースの可視化など、本来プロジェクトマネージャーが行う必然性が薄く、システム側で引き受けられそうなもの」……。こうしたペインを解決することで、プロジェクトマネージャーが行うべき、より本質的な業務に集中できる状態を目指していこうという認識がチームとして揃ってきました。

 そうした結果を踏まえ、「プロジェクトマネージャー自身が判断して収支改善の手が打てるツール」という方向性からさらに軌道修正を行いました。これにより、プロジェクトマネージャーが抱えているさまざまな課題を取り除くことで、経営層を中心にデータドリブンな意思決定をタイムリーに行うことができるサービスという現在のプロジェクト管理freeeの姿がようやく見えてきました。

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全員でユーザーストーリーマップを作るメリット

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この記事の著者

篁 玄太(freee株式会社)(タカムラ ゲンタ)

 freee株式会社 プロダクト戦略 UXデザイナー。 関西学院大学社会学部卒業。受託系のウェブ制作会社数社でデザイン、実装、CMS構築などを経験。その後、継続的に自社プロダクトを育てたくなり、事業会社のデザイナーとして数社渡り歩くうちにfreeeで働くことに。2019年4月にfreeeに入社。プロ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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