こんにちは。SmartHRプロダクトデザイングループの310(@oremega)です。
前回まではインターフェース設計の話をしました。まだ記事を読まれていない方は、ぜひこちらからチェックしてみてください。
第3回となる今回は、インターフェースの品質を検証するユーザビリティテストついて話したいと思います。
ユーザビリティテストとは
デザイナーは、ターゲットユーザーやターゲットユーザーの業務、その完了定義を調査し、ユーザーにどのようなインターフェースを提供すれば使い勝手が良くなるのかを考えています。この使い勝手が「ユーザービリティ」であり、ユーザーが感じる「わかりやすい」「使いやすい」といった感覚を構成する要素です。国際標準化機構の規格(ISO 9241-11)は、以下のように定めています。
特定の利用状況において、特定のユーザーによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い。
この定義からもわかるように、ユーザビリティは「特定の利用状況」、「特定のユーザー」、「指定された目標」を明確にしておく必要があります。そのうえで、有効さや効率、ユーザーの満足度の度合いといった観点を用いて製品の品質を確かめることが「ユーザビリティテスト」と言えるでしょう。
なぜユーザビリティテストを行うのか
実際のユーザーの利用状況はとても複雑です。会社規模や社内運用によって、ユーザーの知識や経験にも違いがありますし、必ずしも開発者が想定していたターゲットユーザーだけが使うとは限りません。イメージしていたユーザーにとって最適な機能を提供できているのかは、開発者だけで判断することは困難でしょう。
開発者は、客観的な事実からユーザーの状況を想像することができても、ユーザーになり代わることはできません。実際のユーザーにアプリケーションを利用してもらい、インターフェースを操作しているユーザーの行動を観察し、声を聞くこと。これらによって初めて、ユーザーが機能に満足しているかを知ることができるのです。
このような“観察”に加え、ユーザビリティテストには大きく3つの特徴があります。
1.ユーザーの行動と心理を知ることができる
ユーザーの行動を直接観察することにより、実装した機能が開発者の思い込みや固定概念から生まれたものであったことに気づいたり、ユーザーの思いがけない行動に触れることもできます。なぜその行動をとったかなどを本人に質問することもできるので、よりユーザーへの理解も深まるでしょう。
さらに観察結果から、複数人のユーザーが同じ問題に遭遇していることが明らかになれば、インターフェースに改善が必要かどうかも判断できます。逆に、ユーザーの行動が想定どおりであればインターフェースに問題ないことがわかるため、品質を保証する材料にもなるのです。
2.インターフェースの対応策をコントロールできる
ユーザビリティテストによって、サービスのリリース前にインターフェースの問題を知ることはとても重要です。ユーザーが期待しているのは、アプリケーションが当たり前に動き、業務を問題なく終わらせること。一方、ユーザーが未知の不具合と遭遇した場合には、一抹の不安を抱かせることになるでしょう。それではユーザビリティが良いとは言えません。
重要なのは、ユーザーからの問い合わせによって問題点を発見するのではなく、ユーザビリティテストで先にそれを把握しておくことです。問い合わせにつながる可能性を事前に頭に入れておけば、カスタマーサクセスやカスタマーサポートのメンバーと前もって対応策を検討したり、別の方法を提示することができるかもしれません。
インターフェースの問題はすぐにでも修正していきたいものですが、発見した問題の大きさやユーザーへの影響、開発リソース状況によって対応方法と対処すべきタイミングが変わります。ユーザビリティテストで問題を把握し、対応をコントロールすることができるのです。
3.開発チームで改善するときの説得力になる
デザイナーがユーザビリティに懸念を抱いていても、ユーザーもそのとおり考えているとは限りません。開発チームもなんとなく違和感を持っている場合でも、インターフェースを修正すべきか否かの判断が難しいときもあります。
そんな時に、事前にユーザーの行動を観察した結果があればインターフェースを修正する際の納得感が生まれ、開発チームもユーザーに対する共通認識を持つことができるのです。
では実際にユーザービリティテストにはどのような効果があるのか。ここからは、SmartHRが実際に行った改善事例を紹介していきます。