はじめに
連載の第4回、第5回では、Caché 2007.1から正式サポートされるJalapeño(ハラペーニョ)テクノロジによるJavaアプリケーション開発について、前半・後半に分けて解説します。今回は、Jalapeñoテクノロジの概要と、POJOクラスによるアプリケーション開発の仕組みについてです。
対象読者
- アプリケーション・システム開発をしている人
- データベース関連の開発およびメンテナンスをしている人
- JavaやC#でプログラミングしている人
Jalapeñoテクノロジとは
CACHÉによるPOJOサポート
Jalapeñoテクノロジとは、O/Rマッピング無しでJavaクラスに永続性を与える技術のことです。Javaクラスとは独立し、Cachéによってオブジェクトへのアクセスメソッドが自動生成されます。そのため、開発者はデータを格納・参照する方法について考慮する必要がなく、POJOに永続性を与えることができます。また、Cachéの統一データアーキテクチャも何ら変わりはなく、システム管理ポータルを使って、SQLとしてPOJOデータにアクセスが可能です。
なお、JalapeñoはCaché 5.2にも含まれていますが、開発者向け評価用となっていて、正式サポートは近日中にリリースされるCaché 2007.1からになります。読者の方には、現在インターシステムズのWebサイトで評価目的で提供されているCaché 5.2を試用している方もいると思いますが、Caché 2007.1が提供された後は、Caché 5.2からのアップグレードではなく、新規インスタンスとしてインストールすることをお勧めします。ただし、Caché 5.2で作成したクラスを引き続き利用したい場合には、Caché 2007.1をアップグレードインストールし、ターミナルから次のコマンドを入力して、Cachéクラスを更新する必要があります。
User>do $system.OBJ.Upgrade() User>do $system.OBJ.CompileAll()
Java永続クラスとCACHÉとの関係
CachéがPOJOに永続性を与える方法は、第3回で解説したように2つのステップからなります。POJOの定義からJalapeño SchemaBuilderを使ってデータベーススキーマを生成するステップと、Javaアプリケーション内にJalapeño ObjectManagerを組み込み、JavaオブジェクトをCachéに保存するステップです。では、それぞれについて詳しく見てみましょう。
POJOクラスによる開発 Part 1
本連載では、Javaの開発環境として「Eclipse 3.2.0」を、JREシステムライブラリは「jre 1.5.0」を使っています。Eclipseのワークスペースは「C:\Projects」、プロジェクト名は「Examples」、パッケージは「basic」です。ここではEclipseの具体的な使い方は割愛いたしますが、こうした統合開発環境を使わなくても、Cachéのデータベーススキーマ生成は可能です。お使いの環境に合わせて、適宜、下記の内容を読み替えてください。
Jalapeño SchemaBuilderによるデータベーススキーマの生成
- まず、POJOクラスを作成しましょう。このクラスは、インターフェイスを実装せず、他のクラスを拡張しない純粋なPOJOです。
- 続いて、CacheDB.jarがあるディレクトリでコマンドプロンプトを開き、次のようにSchemaBuilderウィザードを起動します。
>java com.jalapeno.tools.SchemaBuilderwizard
>java -cp c:\Program Files\CacheSys\Dev\java\lib\JDK15\CacheDB.jar com.jalapeno.tools.SchemaBuilderwizard
- SchemaBuilderウィザードが実行されますので、システム管理ポータルで設定してある「_SYSTEM」ユーザーのパスワードを入力したのち[Show Namespaces]をクリックして、ネームスペース「USER」を表示させます。続いて、[Next]をクリックします。
- データベーススキーマの生成方法を指定する画面になりますので、それぞれ次のように指定します。
- [Introspection Options]―[Use Annotations]
- [Default Access Level]―[private]
- [Default Access Type]―[fields]
- [Exclude prefixes]は空欄のまま
- [Attempt to merge with existing Caché’ classes]のチェックは付けない
- この画面でユーザー作成のプロジェクトのタイプを指定します。[Select Item Type to Project]の[Select directories or classes]をチェックして、[Next]をクリックします。
- 画面の[Select classpath]をクリックして、先ほど生成したContact.classがあるクラスパスを指定します。ここでは、「c:\Projects\Examples\build」を指定しています。[Next]をクリックしてください。
- 画面の左側のパネルから「Contact.class」を選択し、[Add]ボタンをクリックして右側パネルに追加します。[Generate]ボタンをクリックすると、コンパイルが開始され、Cachéに「Contact」のデータベーススキーマが追加されます。[Finish]をクリックしてウィザードを終了させてください。