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「セレンディピティ」と「余白」をデザインする、オフィスづくりのポイント

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 コロナ禍をうけテレワークが普及した今、オフィスのありかたや意義を見直している企業も多いのではないでしょうか。そんなコロナ禍となる前の2019年から、オフィスリノベーションに乗り出していたのがデザイン会社・コンセント。本連載では、デザイナーならではの視点でコンセプトづくりからリノベーションを行ったそのプロセスを、解説していただきます。第3回は、リノベーションコンセプトである「セレンディピティ」と「余白」を取り入れるポイントについてです。

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 こんにちは。コンセントでクリエイティブディレクターをしている中條です。

 前回までは、“ニューノーマルの先”の働きかたやオフィスのありかたを考えるため、コロナ禍前とコロナ禍後における、オフィスリノベーションのプロセスやコンセプトについてお伝えしました。

 今回は、コロナ禍後のリノベーションコンセプトである「セレンディピティ」と「余白」をどのようにオフィスに取り入れたのか、その具体的なポイントをお届けします。

「セレンディピティ」につながるオープンスペース

 突然ですが、「セレンディピティ」という言葉をご存知ですか?

 流行りの横文字のようにも見えますが、そうではありません。セレンディピティとは、「偶然から思いがけない発見をする能力」を意味する言葉です。

 単なる偶然の発見ではなく、そこからクリエイティブな発想や価値を見出して活用していく――。このようにビジネスシーンにおいても、現状を打破していくための偶発的な仕組みづくりが注目されています。

 コンセントも、コロナ禍前の本社オフィスは事務的な空間で、あまり良い言いかたではありませんが“イケてない”オフィスでした。固定化した空間の中でクリエイティブな発想や発見がしづらい状況だったと思います。そんななかコロナ禍に突入しリモートワークが中心になったことで、何気ない会話や雑談をすることが難しくなり、より偶発的な出会いが生まれにくい状態となっていました。

 だからこそ、「わざわざオフィスに来る意味をデザインしたい」。この言葉がリノベーションチームのスローガンとなっていました。

 この考えかたをもとに実現したのが、第1回第2回で紹介したオープンスペースです。オフィス全体の半分の空間を、あえて“オープン”なスペースにすることで、「セレンディピティ」につながる、出会い頭のコミュニケーションが生まれるような空間を目指しました。

 では、実際にどういった空間や仕掛けをデザインしたのか。4つの観点からご紹介します。

1.偶発的なコミュニケーションスペース

大前提として、オープンスペースは社員だけが使用する場ではなく、クライアントやパートナーなど社外の人もにも利用いただくことを想定した、社外に対しても“オープン”な場です。役割や立場を越えて人が行き来し、交流できるスペースです。

そして動線として、必ずオープンスペースを通る設計にしています。執務スペースで業務に集中する場合でも、出退社の際やちょっとした休憩や移動の際にオープンスペースを通ることになり、自然と会話のきっかけが生まれるようにしています。

オフィスのレイアウト俯瞰図(CG)
オフィスのレイアウト俯瞰図(CG)

2.使いかたにあわせた可変的な空間

オープンスペースのテーブルは目的にあわせて、自由に配置やレイアウトを変えることができます。打ち合わせで使用する、大人数でワークショップをする、ひとり作業をするなど、汎用性があることで多様な使いかたが生まれています。

一方で、一段あがった小上がりスペースは、くつろぎ空間となっています。気分転換でぼーっとしたり、食事をしたり、読書をしたり――。1日中デスクの前に座りっぱなしではなく自ら変化をつけることも「セレンディピティ」には大切です。

さらに、オープンスペースの照明は時間によって明るさが変わり、室内にいながらも時間の経過を楽しむことができます。(オフィス紹介のために制作した下記動画「コンセントオフィス探訪 04 - 荒井ビル編 4」では、照明が変わる様子がわかりますので、ぜひ御覧ください)

 

3.思考を刺激するギャラリー

小上がりスペースの壁面には、クリエイターの作品を飾るギャラリーを新設しました。

社員がキュレーターになることで、空間の演出から自ら考え外部のクリエイターとコラボレーションする創作の場としても活用していきます。初回は、オフィスの公式写真の撮影もしていただいたフォトグラファー・鳥居洋介さんの作品。息抜きやデザインに煮詰まったときなど、具体とも抽象とも言えない曖昧な風景が思考をめぐらすきっかけを生んでくれます。

また、ギャラリー機能だけではなく、ZoomなどでのオンラインMTGで写り込んだときの「背景映え」やPR効果も少し狙っています。

撮影:鳥居洋介
撮影:鳥居洋介

4.筒抜けなファミレス席

オープンスペースには2種類の会議室があります。ひとつはリノベーション前のオフィスにもあった、情報管理が必要なときのためのクローズドな会議室。もうひとつは、半オープンな場で打ち合わせができる、通称「ファミレス席」です。

この空間は暖簾で区切られていますが、天井も開いているため話し声は筒抜けです。それでもファミレスのような対面ソファ席になっているので、リラックスして会話を楽しめる空間になっています。話し声を聞きつけて、ぷらっと会話に参加する場面も実際に生まれています。

ちなみにファミレス席の大きな暖簾は、イラストレーターのカワグチタクヤさんに描き下ろしてもらいました。コンセントのアートディレクター/デザイナーの白川桃子がディレクションを担当。実はコミュニケーションがテーマになっていて、空間のトレードマークにもなっています。

クローズド空間の会議室/撮影:鳥居洋介
クローズド空間の会議室/撮影:鳥居洋介
半オープンな打ち合わせができる通称「ファミレス席」/撮影:鳥居洋介
半オープンな打ち合わせができる通称「ファミレス席」/撮影:鳥居洋介

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/14888 2021/09/16 08:00

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