仕事、予定通りに進んでいますか? 仕事を効率よく進めるため「経験主義」を知ろう
「こういう施策がやりたいんだけど、いつまでにできそう?」という質問が来た経験はありませんか。自分一人だけの仕事でも予定が通りいかないこともあるのに、チーム開発で複数人が関わる場合に見通しをたてるのは容易なことではありません。
何年も昔から、この「先の見通しの立たなさ」は多くの開発者を悩ませてきました。
そこで、仕事を効率よく進めるため「経験主義」を知りましょう。
経験主義とは、簡単にいうと「自分の経験を元に、先のことを考える」ということです。
この主義にならうと、「理論上はうまくいくはず」ではなく「経験をふまえてこのようにやる」という仕事の進め方になっていきます。「経験主義」は、変化し続ける環境に対して俊敏に適応していく一番の方法です。
では、「経験主義」を料理に例えて説明します。
経験をもとに、見通しを正確にするコツ
仕事が予定通りに進まない理由を、料理を例に考えてみましょう。
料理初心者の人に「おいしいオムライスをつくるのに、どのくらいかかる?」ときいたとして、その人は調理時間をうまく見積れるでしょうか。また、できたオムライスは本当においしくなるでしょうか。
これは明らかにうまく進まなさそうです。
プロの料理人に同じ質問をしたら、こちらはうまくいきそうな気がします。でもそれが「あなたの家のキッチンでオムライスをつくる」だとしたらどうでしょうか。
やったことがないことは、どんなプロでもうまく見通せません。

検索してでてきたレシピに「40分」と書かれていたからといって、料理初心者が40分で作れるとは限りません。
その人は初心者だから少し時間がかかるかもと思って「1時間くらいです」と答えましたが、キッチンを見ないまま見積もりをしたので、鍋をまだ洗ってないことにも気付いてないし、冷蔵庫を見ていないので実は具材が足りていないことも知らなくて、買い出しも含めて結局2時間かかってしまいました。

ミシュランで星をもらうような料理人だとしたら、家庭用キッチンだとしてもとても上手にオムライスをつくってくれそうです。ですが、どれほどのプロだとしても、そのキッチンに洗い物がどれだけ残っているか、家庭用コンロの火加減、冷蔵庫の中身がわからないまま、正確な調理時間を見積もることは難しいでしょう。

一番精度が高く見積もれる人は、毎日このキッチンで料理をしている人です。
キッチンの状態や冷蔵庫の中身も覚えているから、あまり大きなズレはなく見積もった時間でオムライスをつくることができました。
この料理初心者の人、プロの料理人、そこで毎日料理をしている人の大きな違いは、「その場での経験」の回数に大きな差があります。料理の熟練度がどれだけ高くても、キッチンが違えば調理時間の見通しは不確実なものとなります。
これは仕事の現場でも起きがちです。
導入予定だったライブラリがその環境で動くかどうか、想定外の負荷がかかったときでもサービスが問題なく動き続けるような設計ができているかを、実際に手を動かす前に見通しておくことは不可能です。
どれだけすばらしい開発者だとしても、未経験な分野や環境であるほど「いつまでになにができるか」という見通しの不確実性は高くなります。
このオムライスをつくる例でいうと、まずキッチンや冷蔵庫の状態を見た後に調理時間の見積りをしたら、キッチンから離れたところで調理時間を考えるよりもずっと正確に見積りができます。
さらに同じキッチンでつけあわせのスープもつくるとしたらどうでしょうか。
オムライスとは全く違う料理ですが、冷蔵庫の中身やコンロの火力がわかるぶん、オムライスをつくったときよりは調理時間がうまく見積もれる可能性が高くなります。
これは、初心者にせよプロの料理人にせよ同じことなのです。
経験をもとに、見通しを正確にするコツは以下です。
少しずつ見通しをたてて、少しずつ進めてみる
見通しを正確にするコツの1つ目は、短いスパンで見通しをたてて、少しずつ進めていくことです。
長期にせよ短期にせよ、見通しをたてることはそもそも容易なことではありません。料理未経験の人がオムライスをつくる時間がわからないように、やったことがないことの見通しは特に立てにくいものです。だとしても、未経験のことについて予定をたてなくてはいけないシーンは仕事の中でたくさんあります。
とくにWEBサービスやアプリケーション開発においては、ユーザーニーズの変化や技術の移り変わりなど予測を不確実にする外的要因が多いです。仕事内容も単純で反復的なものではなく、毎回複雑な作業が求められるため、正確な見通しをたてることは困難なものとなります。
こういった不確実なことが多いなかで少しでもうまく仕事を進める方法の第一歩は、やるべきことを少しずつ具体化して、少しずつ進めることです。
もし突然電気が消えてしまったら、暗闇のなかでスイッチに向けて走り出す人はいないでしょう。
まずはスイッチがある壁にたどりつくまで、危険なものをさけて一歩ずつ歩いてみることで、より安全に電気がつけられる可能性が高くなります。
見通しと実際やったことがどれだけズレたかを確認し、次の予測に役立ててみる
見通しを正確にするコツの2つ目は、見通しのズレを認識し、修正していくことを繰り返すことです。
「今日は予定通り進まなかったが、明日巻き返して帳尻をあわせよう」を繰り返して、どんどん気持ちがつらくなってしまった経験はないでしょうか。
設計からリリースまでのスケジュールをあらかじめ決めてから進めていく、ウォーターフォール型で仕事を進める一番の問題は、見通しを修正する機会が減ってしまうことです。一定のサイクルで見通しをたてて、その見通しが想像どおりになったかどうかを確認し、次の見通しを修正する……という機会が増えるほど、見通しをうまく立てられる可能性が高くなります。
ここまで経験主義をふまえてうまく仕事を進めるコツについて紹介しましたが、これを読んだだけではまだ経験ではなく「理論」の段階です。経験主義を実際に「経験」していくために、次は個人のタスク管理におけるスクラムの取り入れ方を紹介します。
