IDC Japan、2023年の国内AIシステム市場予測を発表

　IDC Japanは、国内AIシステム市場予測を4月27日に発表した。

国内AIシステム市場 支出額予測：2022年～2027年

　2022年の国内AIシステム市場は、市場規模（エンドユーザー支出額ベース）が3883億6700万円、前年比成長率は35.5％となっている。

　フォロワー層が本格的にDXに着手し、デファクト技術の1つであるAIの利用を活発化させるとともに、継続的にデジタル変革に取り組んでいるリーダー層がAIを活用したデジタルビジネスのソリューション化に注力していることから、2010年代後半から続く一般的に「第3次AIブーム」とされるトレンドにおいて、IDCは同市場が2022年には成熟期に差しかかっていたと推測する。

　このような背景から、2022年のAIシステム市場は同市場の53.5％を占めるソフトウェア市場が前年比で29.4％増加し、同市場を継続的に成長させる主要因となった。あわせて、同市場の28.7％を占めるサービス市場は前年比で44.1％増加し、17.8％を占めるハードウェア市場は前年比で41.9％増加しており、全体の市場の成長を支えている。

　IDCは、2023年の国内AIシステム市場における市場規模を、前年比27.0％増の4930億7100万円と予測しており、リーダー層、フォロワー層によるAIへのアクセシビリティが急速に高まり、品質管理などの代表的なAIのユースケースに加えて、高度なプロセスオートメーションやコンテンツ作成といった、企業のホワイトカラーの生産性向上を目的とするユースケースに拡大されることが見込まれる。

　とりわけ、ChatGPTなどの大規模言語モデル（LLM）を活用する会話型AIや、ジェネレーティブAI製品の市場投入は、国内の企業に新たなAIの実証実験の実施、従業員の役割や組織の見直し、利用ガイドラインの策定、ビジネスモデルの再考といったデジタルビジネスを活性化させるきっかけとなる。また、AIへのアクセスのしやすさは、異業種からのAIシステム市場への参入障壁を下げており、このような動きは、成熟期に差しかかっていたAIシステム市場にディスラプション（市場の変革）をもたらす可能性があるとみている。

　2023年は、前年比27.0％増と前年より成長スピードは鈍化するものの同市場は成長を続け、2022年～2027年の年間平均成長率（CAGR）は23.2％で推移し、2027年には1兆1034億7700万円になると予測する。