「AIを使っているが信用してはいない」、Stack Overflowが年次アンケート調査の結果を公開

　米Stack Overflowは、年次アンケート調査「2024 Developer Survey」の結果を24日（現地時間）に発表した。開発者向けQAサイト「Stack Overflow」の利用者6万5437名が回答した。回答者の国籍は185カ国で、回答者が多かった国は米国（18.9％）、ドイツ（8.4％）、インド（7.2％）、英国（5.5％）、ウクライナ（4.6％）、カナダ（3.6％）、フランス（3.6％）、ポーランド（2.6％）、オランダ（2.5％）、ブラジル（2.3％）の10カ国だった。

　今回の調査は、AI（人工知能）に関する章を設けて、詳細な質問を始めてから2回目であり、昨年に比べてAIに関する質問を増やしたとしている。AIについての回答結果をまとめると、「利用者は増えているが、信用している開発者はあまりいない」ということになる。

　まず、何らかの形でAIを利用している、あるいは使おうと計画しているという回答は全体の76％となり、2023年調査の70％から増加している。しかし、AIが好ましい存在だという回答は72％で、2023年調査の77％から下落した。

　そして、AIツールが正確であると信用しているという回答は43％にとどまった。2023年調査の42％からわずかに上昇しているが、半分以上の開発者が、AIツールは難しい仕事に苦労していると思っているという結果になった。さらに、AIが人間の仕事を奪うというニュースがよく流れるが、今回の調査では70％が、AIが自分の仕事を脅かすことはないと回答している。

　開発者がAIについて心配していることとしては、誤情報を流す可能性（79％）、データの出典の誤り（65％）、多様性の考え方に反する偏見（50％）という回答が多かった。

　開発者がAIを使う利点として最も多い回答は生産性の向上で81％だった。一方で、プログラミング学習者からの回答で最も多かったのは学習ペースの向上で71％だった。利用しているAIチャットボットという設問にはChatGPT（82％）、GitHub Copilot（41％）、Google Gemini（24％）の3種類に多くの回答が集まった。

　AIに好意的な回答が多かった国は、インドとスペイン（どちらも75％）、ブラジルとイタリア（どちらも73％）、フランス（71％）となり、反対にドイツ（60％）、ウクライナ（61％）、英国（62％）の3カ国はAIに好意的でない回答が多かった。

　今回の調査は、AIに限らずさまざまな話題についても尋ねている。まず回答者の93％は、1日に何回もとはいかないが、月に何回かStack Overflowを利用している。そして82％の回答者が、プログラミングをオンライン教材で学んでおり、これは2023年の80％から上昇している。よく見るオンライン教材としては83％が技術文書で、80％がStack Overflowという結果になった。そして37％の回答者が、AIツールを学習に使っていると回答している。

　人気のある言語上位5種類はJavaScript（62％）、HTML/CSS（53％）、Python（51％）、SQL（51％）、TypeScript（38.5％）となった。Stack Overflowがこの調査を開始して以来、JavaScriptは2年を除いて毎回最も人気のある言語の地位を占めている。ちなみに2013年と2014年はSQLがトップに立っている。

　利用しているクラウド事業者を尋ねる質問には、48％がAmazon Web Servicesと回答している。ただし、Microsoft AzureやGoogle Cloud Platformもじわじわと利用者数を伸ばしており、Microsoft Azureという回答は2023年の26％から28％に増え、Google Cloud Platformという回答は2023年の24％から25％に増えている。

　最も人気のあるデータベース管理システムは、2年連続でPostgreSQLで、回答者の49％がこの名前を挙げた。ただし、プログラミング学習者の間ではMySQL（45％）の人気が最も高く、以下SQLite（36％）、PostgreSQL（33％）となった。そして、人気のある統合開発環境はVisual Studio Codeで、74％もの回答者が支持している。次点のVisual Studioは29％にとどまった。そしてコミュニケーションツールとして最も人気を集めたのはMicrosoft Teams（56％）で、プログラミング学習者の間ではDiscord（70％）の人気が最も高いという結果になった。