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Developers X Summit 2024 セッションレポート

クレディセゾンの5年間のDXを振り返る ~バイモーダル戦略による内製開発組織の構築と進化~

【Session1】クレディセゾンでDXを進めてきた5年間を振り返る ~内製エンジニアチームに求められること

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 クレディセゾンは2019年から内製開発組織を立ち上げ、スマホアプリのキャンペーン業務を皮切りに、大規模システムや基幹システムの内製化へと取り組みを広げてきた。総合職社員には手挙げ制によるリスキリングを推進し、市民開発者の育成を通じて全社員のITリテラシー向上にも力を注いでいる。同社取締役 専務執行役員 CDO兼CTOの小野和俊氏は、これまでの取り組みを振り返りながら、内製エンジニア組織に求められる要素について語った。

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シリコンバレーの発想と日本的手法の融合

 小野氏は1999年にサン・マイクロシステムズ株式会社に入社し、米国Sun Microsystems, Incでの開発を経験した後、2000年に株式会社アプレッソを起業。データ連携ミドルウェア「DataSpider」を開発し、SOFTICの年間最優秀ソフトウェア賞を受賞した。2013年にDataSpiderの代理店だったセゾンテクノロジー(旧・セゾン情報システムズ)に事業を売却し、同社のファイル転送ミドルウェアであるHULFT事業のCTOに就任する。

 小野氏のキャリアの基盤にはシリコンバレーのテック企業文化があったが、セゾン情報システムズに入社後、日本的なウォーターフォール型開発や伝統的な意思決定に触れ、当初は戸惑いを感じた。しかし、HULFTの開発に携わり、その高品質とバグの少なさへのこだわりに触れる中で、この手法の合理性や安定性の重要性を実感するようになった。そして、スタートアップ的な柔軟性と伝統的な確実性を状況に応じて使い分けるアプローチを模索していった。

 2014年にはガートナーが2つのモードを共存させる「バイモーダル」という概念を提唱していることを知り、自身も社内でこの考え方に共感し推進する。その後HULFTをクラウド時代に対応させるなどの成果を上げた。そして2019年、クレディセゾンから金融分野のDX推進を託されグループ内異動でCTOに着任。以来、内製開発チームをゼロから立ち上げ、全セクションのデジタル化を推進している。

 「バイモーダルのアプローチでは、従来の情シス部門のやり方の良さを認めながら、新しい手法も適宜取り入れています。誰かを否定せずに改革を進める姿勢は10年以上一貫して続けてきたものです」(小野氏 以下略)

株式会社クレディセゾン 取締役 専務執行役員 CDO 兼 CTO 小野 和俊氏
株式会社クレディセゾン 取締役 専務執行役員 CDO 兼 CTO 小野 和俊氏

 クレディセゾンはクレジットカード会社として知られるが、事業ポートフォリオを多角化している。クレジットカードに加え、住宅ローンや家賃保証、資産形成ローンなど不動産関連の金融事業を展開し、これらの利益はカード事業を上回ることもある。グローバル展開にも注力し、インドでは10年足らずで社員数1000人を超える規模に成長した。

 デジタル化を推進する中で内製開発を活用し、2023年と2024年に「DX銘柄」に選定、日本DX大賞ではビジネストランスフォーメーション部門優秀賞を受賞。小野氏個人も2021年にForbes CIO Award準グランプリ、2024年には日経クロステック主催のCIO/CDOオブ・ザ・イヤー特別賞を受けている。

  この成果の裏には、多くの挑戦があった。小野氏は5年間の取り組みを3つのフェーズに分けて説明した。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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山出 高士(ヤマデ タカシ)

雑誌や広告写真で活動。東京書籍刊「くらべるシリーズ」でも写真を担当。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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