自然な会話をするために欠かせないLLM

バーチャルヒューマンエージェントが取り扱う自然言語は、あいまいで多様性が高い。同じ意味でも、言い回しや語順が多岐にわたるし、ユーザーによって方言を使うこともあれば、言葉遣いも変わってくる。それに、テキストにすると同じ言葉でも、文脈によって異なる意味を持つこともある。(例:サーバー:料理を運ぶ人/コーヒーを淹れるときに使う容器/コンピュータ)また、実際の会話では主語が省かれるなど文法が無視されることもあり、単純な文字列の一致や正規表現だけでは処理しきれないのだ。
では逆に、人間が「自分の意図を理解して適切な応答が返ってきた」と感じるために必要な要素は何だろうか。大須賀氏は次の3つを挙げた。
- 雑談やあいまいな要求に対しても自然な応答が返ってくること。
- 旅行の予約や商品の比較検討、医療相談など、専門知識が問われる分野の話題にもちゃんとついてきてくれること。
- 会話が数ターン続いたときに、それまでの会話を踏まえたうえでコミュニケーションを続けられること。
このような期待に応えるには、やはり事前に用意した定型文を返すだけでは不十分であり、ユーザーの状況や要望に応じて、動的に応答文を生成する必要がある。

「LLMは自然言語の多様性やあいまい性を扱うための基盤技術だ。バーチャルヒューマンエージェントにとってLLMは欠かせない技術のひとつとなっている」(大須賀氏)