ロジックは人を納得させ、「熱量」は人を動かす
第3の秘訣は、個人と組織を力強く押し上げる根源的なエネルギー「熱量」についてである。意思を持たせる仕組みや未来を想像させる翻訳は「ロジック」であり、人を納得させるために不可欠である。
しかし、伊藤氏は「ロジックは人を納得させる。熱は人を動かす」という信念を持っている。いくら理屈が通っていても、そこに発信者の熱量が伴っていなければ、巨大な組織は真の意味で駆動しない。
伊藤氏はこの熱量の重要性を、コロナ禍におけるSHIFT ASIAの経営経験から学んだという。物理的な距離が離れ、コミュニケーションの密度が薄れがちな状況下において、約250名を超える組織を突き動かしたのは、理屈を超えた「やりすぎなくらいのコミュニケーション」と、そこから伝播した圧倒的な熱量であった。
伊藤氏は「熱がなければ何もはじまらない」と語り、マネージャー自身の熱が、組織や個人の成長を後押しする最後のピースになると説いた。
ただし、熱を伝えることは単なる感情の押し付けではない。伊藤氏は「伝え方をデザインする」ことも重要だと強調する。相手のバックグラウンドや特性に合わせて伝え方を工夫し、命令である「〜しなさい(Should)」ではなく、自らの主観的な意志である「〜したい(Will)」を共有することだ。
伊藤氏は「俺はこうしたいんだよね」「俺はこうなってほしいんだけど」と内なる願いを語ることで、メンバーの「Will」と共鳴させ、自発的な火を灯している。この「Willの共鳴」が起こった時、組織は理屈を超えた強固な一体感を持って未来へと進み始めるのである。
AI時代における「ヒトの価値」の再定義
セッションの最後には、SHIFTの展望が語られた。
現代はAIの台頭や働き方の変化により、誰もが未来を想像しにくい不透明な世界に突入している。SHIFTはこの変化をチャンスと捉え、AI駆動開発やAI活用へのリスキリング、そして「ヒトの価値の再定義」という新たなチャレンジを既に始めている。
技術革新がどれほど進んでも、不確かな未来に対して意思を持ち、熱量を持って挑むのは人間にしかできない営みである。伊藤氏は、AIとヒトが共存する新たな時代においても、解像度高く未来を想像し、個人の意思と熱量を最大限に引き出すマネジメントの重要性は変わらないと考えている。
伊藤氏は「SHIFTの社員はもっと増えていくと思う。しかし、彼らが気持ちよく仕事ができるように、ひずみを受け入れていきたい。ともに未来を共創していきましょう」と、熱のこもった言葉でセッションを締めくくった。
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