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Developers Summit 2026 セッションレポート(AD)

エンジニアのモチベーションを保つ3つの秘訣とは? 7000人を動かすSHIFT流マネジメント

【20-A-3】急成長した企業のエンジニアマネジメント ~7,000人超のモチベーションを保つ3つの秘訣~

 株式会社SHIFTは2017年から売上高を約16倍に伸ばし、エンジニア7000名を超える巨大組織へと急成長を遂げた。本セッションでは、同社の開発事業部長を務める伊藤隆介氏が登壇し、急激な組織拡大に伴い各所で発生する「ひずみ」を「のびしろ」と捉え、メンバーのモチベーションを高く保つ秘訣が語られた。大規模組織でのマネジメントはもちろん、チーム単位でも活用できるモチベーション維持の秘訣を、伊藤氏の具体的な体験談とともに掘り下げていく。

組織の「ひずみ」はむしろプラス? 成長へ変化させる方法

 株式会社SHIFTは、ソフトウェアの「品質保証」を起点にサービスづくり全体を支援し、2017年から約16倍もの急成長を遂げた。この急拡大を支えるのは、7000名を超える多種多様なバックグラウンドを持つエンジニアたちである。

 急速な組織拡大と業界の環境変化が重なると、組織の至る所には「ひずみ」が発生する。経営層からの圧力、現場に伝わらない経営のビジョン、他組織との連携不足、そして板挟みになるマネージャー層など、これらは多くの急成長企業が抱える共通の課題と言える。

 しかし、同社の開発事業本部において事業部長を務める伊藤隆介氏は「ひずみは悪ではない」と断言する。伊藤氏は、2003年に大手SIerに入社し、官公庁向けシステムのエンジニアやプロジェクトマネージャーとして従事した。その後、インドネシアでの経営・営業経験を経て、2017年にSHIFTへ合流。2019年からはSHIFT ASIAの代表取締役としてベトナム拠点を牽引し、2026年現在はSHIFTの開発事業部長としてSI開発とAI駆動事業の融合に挑戦している。

ひずみについて
急速に組織が拡大すると、組織の至る所には「ひずみ」が発生する

 現場の苦労から海外経営までを経験した伊藤氏は「ひずみを放置せず、成長のエネルギーである『のびしろ』へと変換することこそがマネジメントの本質だ。伸びしろがないところには成長がないと思っている」と、マネジメントの本質を語った。

株式会社SHIFT 開発本部 開発事業部 事業部長 伊藤隆介氏
株式会社SHIFT 開発本部 開発事業部 事業部長 伊藤隆介氏

 本セッションでは、組織のひずみを力に変える具体的な手法として「個人に意思を持たせる」「組織の未来を想像させる」「熱を伝える」の3つの観点が解説された。

個人の「意思」を育み、成長を加速させる3ステップ

 ひずみを「伸びしろ」に変えるための第1の鍵は、個人の成長に着眼点を置くことにある。SHIFTが重視しているのは、メンバー1人ひとりに「意思」を持たせることだ。自律的な駆動は、外部からの指示ではなく、本人の内側にある意思から始まると考えているからである。

 伊藤氏は、個人の成長を加速させるために「選択肢を与える」「意思に沿った成長機会を与える」「フィードバックをする」という3つのステップを社内で循環させている。

 まず「選択肢を与える」とは、画一的なキャリアを押し付けるのではなく、本人の目標に対して複数のルートを提示することである。伊藤氏は「彼らが進みたい3年後、5年後のキャリアというものがあった時に、そこに向かってどういう選択肢を提供するのかというのが我々のマネージャーの仕事」と強調した。

 提示された選択肢の中から本人に選ばせることで、初めて自発的な「意思」が生まれる。選んだ道に対して成長機会を提供し、フィードバックを繰り返すことで、本人の意思はより強固なものへと磨かれていくのだ。

 このプロセスを支えるのが「心理的安全性の担保」である。意見を否定せず聞く姿勢を持ち、発言しやすい雰囲気をつくることで、意思決定の質は高まる。またコーチングにおいては、メンバーが自分では変えられない不満に固執するのではなく、解決可能な課題に集中できるよう「ポジティブに導く」視点への転換を促している。

 さらに、伊藤氏はコミュニケーションの質を向上させる技法として、アーノルド・ミンデルの「3つの現実レベル」を挙げた。これは「合意された現実(ビジネスやタスク)」「ドリーム・ボディ(感情や直感)」「エッセンス(根本的な価値)」の3層を行き来する対話手法である。単なる業務連絡に終始せず、相手の想いや価値観に触れることで、深い納得感と共感を生み出すのだ。

コミュニケーションの質を向上させる技法「3つの現実レベル」
コミュニケーションの質を向上させる技法「3つの現実レベル」

 この3つの現実レベルを行き来させることによって、受け手は「自分の思っていることを理解してくれた」という感覚になっていく。こうした対話の層を厚くすることが、個人の意思を育む土壌になるのである。

マネージャーは「翻訳者」であれ。未来を自分事化させる対話術

 第2のポイントは、マネージャーがいかにして組織の共通の方向性を指し示すかである。SHIFTが実践しているのは「組織の未来を想像させる」マネジメントだ。組織が巨大化するほどトップが掲げる抽象的なビジョンと、現場のエンジニアが取り組むタスクは乖離しやすくなる。このギャップを埋めるため、マネージャーは「翻訳者」としての役割を担わなければならない。

 この翻訳作業における指針が「Start With Why」である。経営のメッセージを単なる「命令」として伝達するのではなく、なぜこの事業が必要なのか、なぜこの方向を目指すのかという「Why(理由・目的)」を現場の言葉に翻訳して伝える。伊藤氏は「Whyがないと進まない」「Whyから伝えないと人は動かない」と断言する。メンバーが仕事の意味を深く理解して初めて、組織の未来は「自分事」へと変わるからである。

 また未来を想像させるためには、マネージャーとメンバーが「共に未来を考える」場を持つことが重要だ。SHIFTでは、定期的なふりかえりの中で、未来の解像度を上げる時間を意識的に設けている。伊藤氏は部下に対し「絵に描けてない餅は絶対作れない」と常に語りかけている。

マネージャーが実施するポイント
マネージャーが実施するポイント

 伊藤氏は「まず絵に書け」「餅を書きなさい」と促すことで、不確実な未来に対して積極的なイメージを持たせ、組織全体の推進力を高めているのだ。

ロジックは人を納得させ、「熱量」は人を動かす

 第3の秘訣は、個人と組織を力強く押し上げる根源的なエネルギー「熱量」についてである。意思を持たせる仕組みや未来を想像させる翻訳は「ロジック」であり、人を納得させるために不可欠である。

 しかし、伊藤氏は「ロジックは人を納得させる。熱は人を動かす」という信念を持っている。いくら理屈が通っていても、そこに発信者の熱量が伴っていなければ、巨大な組織は真の意味で駆動しない。

 伊藤氏はこの熱量の重要性を、コロナ禍におけるSHIFT ASIAの経営経験から学んだという。物理的な距離が離れ、コミュニケーションの密度が薄れがちな状況下において、約250名を超える組織を突き動かしたのは、理屈を超えた「やりすぎなくらいのコミュニケーション」と、そこから伝播した圧倒的な熱量であった。

 伊藤氏は「熱がなければ何もはじまらない」と語り、マネージャー自身の熱が、組織や個人の成長を後押しする最後のピースになると説いた。

熱を持つことの重要性
熱を持つことの重要性

 ただし、熱を伝えることは単なる感情の押し付けではない。伊藤氏は「伝え方をデザインする」ことも重要だと強調する。相手のバックグラウンドや特性に合わせて伝え方を工夫し、命令である「〜しなさい(Should)」ではなく、自らの主観的な意志である「〜したい(Will)」を共有することだ。

 伊藤氏は「俺はこうしたいんだよね」「俺はこうなってほしいんだけど」と内なる願いを語ることで、メンバーの「Will」と共鳴させ、自発的な火を灯している。この「Willの共鳴」が起こった時、組織は理屈を超えた強固な一体感を持って未来へと進み始めるのである。

AI時代における「ヒトの価値」の再定義

 セッションの最後には、SHIFTの展望が語られた。

 現代はAIの台頭や働き方の変化により、誰もが未来を想像しにくい不透明な世界に突入している。SHIFTはこの変化をチャンスと捉え、AI駆動開発やAI活用へのリスキリング、そして「ヒトの価値の再定義」という新たなチャレンジを既に始めている。

 技術革新がどれほど進んでも、不確かな未来に対して意思を持ち、熱量を持って挑むのは人間にしかできない営みである。伊藤氏は、AIとヒトが共存する新たな時代においても、解像度高く未来を想像し、個人の意思と熱量を最大限に引き出すマネジメントの重要性は変わらないと考えている。

これからの未来に向けて
これからの未来に向けて

 伊藤氏は「SHIFTの社員はもっと増えていくと思う。しかし、彼らが気持ちよく仕事ができるように、ひずみを受け入れていきたい。ともに未来を共創していきましょう」と、熱のこもった言葉でセッションを締めくくった。

株式会社SHIFTからのお知らせ

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提供:株式会社SHIFT

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/23535 2026/04/01 11:00

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