はじめに
MDXは難解で、習得が困難なクエリー言語であると言われています。この連載では、全7回をとおして、難解と言われているMDXを可能な限り短期間で実践で使えるレベルまで習得できるよう、基本的な考え方やよく使う関数などに範囲を限定し、使用例とともに入門編として解説しています。
なお、本記事はマイクロソフト社製SQL Server 2005および2008のAnalysis Servicesを前提として解説しています。MDXにはいわゆる「方言」が多く、記述内容が他の多次元データベース製品に必ずしも適合しない可能性があることをあらかじめご了承下さい。
第1回目となる今回は、MDX構文の基本として、メジャーとディメンション、メンバー、タプルとセットの指定の仕方について説明します。
対象読者
- Microsoft SQL Server Analysis Servicesの基礎知識があり、これからMDXを覚えようという方
必要な環境
- Microsoft SQL Server 2005 Analysis ServicesまたはMicrosoft SQL Server 2008 Analysis Services
キューブの構造
リレーショナルデータベースでは、データを2次元のテーブルに格納します。最初に空のテーブルを「CREATE
」し、そこにデータを「INSERT
」してから「SELECT
」します。テーブルという「箱」と、データという「中身」とをはっきり区別できます。
では、多次元データベースではどうでしょうか?
多次元データベースはリレーショナルデータベースとは違い、「テーブルにデータを格納する」という考え方自体を捨てなければなりません。多次元データベースのキューブとは「何かにデータが格納されたもの」としてではなく、「多次元的に構造化されたデータそのもののかたまり」としてイメージするべきなのです。