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Webアプリケーションフレームワーク「Catalyst」入門

初めてのCatalyst入門(12)
ログイン/セッション管理

セッション管理、ユーザー認証、PSGI/Plack

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ログイン機能を実装する

 これでユーザ認証機能を実現するための準備が整いました。ここからはアクション側の実装について説明します。

 まずはログイン機能を実装します。Root.pmにloginアクションとして次のように記述しました。

リスト13 ログイン機能の実装(Root.pmの一部)
sub login :Local {
  my ( $self, $c ) = @_;
  # POST以外の場合にはテンプレートを表示
  if ($c->request->method ne 'POST') {
    return;
  }
  my $username = $c->request->params->{username};
  my $password = $c->request->params->{password};
  if ($username && $password) {
    # ログイン処理
    if ($c->authenticate(
      { username => $username,
        password => $password })) {
      $c->response->redirect($c->uri_for('/'));
    } else {
      $c->stash(error_msg => 'ユーザ名またはパスワードが間違っています。');
    }
  } else {
    $c->stash(error_msg => 'ユーザ名またはパスワードが指定されていません。');
  }
}

 ログイン処理は、プラグインによりコンテキストオブジェクトに追加されたauthenticateメソッドを使用して行います。

 このサンプルでは、ログインした場合にはルートにリダイレクトしています。また、ユーザ名、パスワードが指定されていない場合、または間違っている場合にはエラーメッセージを表示するようにしています。

 次にログインテンプレートファイルを見ていきましょう。

リスト14 ログインテンプレート(login.ttの一部)
[%- IF !c.user_exists -%]
  [% # (1)ユーザがログインしていない場合 %]
  <form method="post" action="[% c.uri_for('/login') %]">
    <table>
    <tr>
      <td>ユーザ名:</td>
      <td><input type="text" name="username" size="40" /></td>
    </tr>
    <tr>
      <td>パスワード:</td>
      <td><input type="password" name="password" size="40" /></td>
    </tr>
    <tr>
      <td colspan="2">
        <input type="submit" name="submit" value="ログイン" />
      </td>
    </tr>
    </table>
  </form>
[%- ELSE -%]
  [% # (2)ユーザがログインしている場合 %]
  <div>
    ログインしています<br />
  </div>
[%- END -%]

 このテンプレートでは、ユーザがログインしている場合には、ログインフォームを表示せずメッセージを表示するようにしています。

 ユーザがログインしているかどうかは、コンテキストオブジェクトに追加された「user_exists」メソッドによって判定することができます。

ログアウト機能を実装する

 次にログアウト機能について見ていきます。明示的にログアウト機能を実装しない場合には、認証状態の有効期限は、セッションの有効期限に依存します。つまりセッションプラグインのexpiresパラメータで指定した値になります。

リスト15 ログイン機能の実装(Root.pmの一部)
sub logout :Local {
  my ( $self, $c ) = @_;
  # (1)ログアウト
  $c->logout();
  # (2)ログアウト後にはルートにリダイレクト
  $c->response->redirect($c->uri_for('/'));
}

 ログアウト処理を行うには、(1)のように、その名前のとおりの「logout」メソッドを呼び出します。またこのサンプルでは、ログアウト後には(2)ルートにリダイレクトしています。

セッションカウンターページをログイン必須にする

 次に、認証されたユーザのみ閲覧可能なページが閲覧されようとした場合に、ログインしていなければログインフォームにリダイレクトさせるという処理を追加してみましょう。

 それぞれのページに処理を組み込むことももちろん可能ですが、Catalystの組み込みアクションである「auto」を使用すれば複数のページに対してログインを必須とする処理を簡単に組み込むことができます。

 ここでは、「session_counter」ページに対してログインを必須とする処理の例を見ていきましょう。

リスト16 autoアクションの例(Root.pmの一部)
sub auto :Private {
  my ( $self, $c ) = @_;
  # (1)呼び出されたアクション名が「session_counter」の場合
  if ($c->action->reverse eq 'session_counter') {
    # (2)未ログインならばログインフォームにリダイレクト
    if (!$c->user_exists) {
      $c->response->redirect($c->uri_for('/login'));
      return 0;
    }
  }
  # (3)対象アクション以外には処理を継続
  return 1;
}

 呼び出されているアクションによってログインチェックを行う場合には、(1)のようにCatalyst::Actionのreverseメソッドによって判定することができます。このメソッドは、現在実行されているアクション名を返します。

 もし対象とするアクションが呼び出されている場合には、(2)user_existsメソッドによってログイン状態かどうかを判定し、未ログインの場合にはログインフォームにリダイレクトし、それ以降のautoアクションを実行しないようにします。

 対象となるアクション以外の場合、またはログイン済みの場合には(3)のように1を返すことで、本来のリクエスト処理を継続します。

実行例

 それでは、ログイン画面を表示してみましょう。次のURLをブラウザで表示させます。

http://<ホスト名またはIPアドレス><:Port>/login

 まず、ログイン画面は次のようになります。

ログイン画面
ログイン画面

 指定したユーザ名またはパスワードが間違っている場合には、次の画面が表示されます。

ログインエラー画面
ログインエラー画面

 すでにログインしている場合に、ログインURLにアクセスすると、次のように「ログインしています」と表示されます。

ログイン済み画面
ログイン済み画面

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PSGIとPlack

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 花田 善仁(ハナダ ヨシヒト)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/5648 2011/01/07 14:00

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