デザイナーおよびデベロッパーのワークフローの改善
Flash Builder 4とFlash Catalyst CS5がリリースされたことで、デザイナーがデベロッパーにデザインアセットとコンポーネントスキンを提供できるようになり、高品質のFlexプロジェクトを開発するためのデザイナーとデベロッパーによる共同作業が実現しました。しかし、デザイナーとデベロッパーの双方向のワークフローに対応するためには、さらに改善が必要でした(※)。
Flash Builder 4とFlash Catalyst CS5では、Flash Catalystで生成したFlexプロジェクトファイルを、Flash Builderで読み込むことはできたが、逆方向、つまりFlash Builder側で編集したものをFlash Catalystで読み込むことはできなかった。
Flash Catalystチームは、新しいリリースのFlash Catalyst CS5.5の開発に熱心に取り組んできました。そして、ついにFlash Builder 4.5で作成、または編集したFlexプロジェクトを読み込むことが可能になりました。
Flash Builder 4.5プロジェクトの読み込みだけでなく、Flash Catalystではコード生成機能も強化されています。また、サイズ調整可能なユーザーインターフェイスがサポートされる他、ユーザーインターフェイスのコントロールから参照できるデベロッパーのコードがデザイナーの作業から保護されます。
Flash Catalyst CS5.5の新機能に対応するために、Flash Builder 4.5にもたくさんの新機能が導入されています。
デザイナーと共同作業をする場合にデベロッパーが考慮しなければならないのは、Flash CatalystでサポートされているFlex機能のサブセットとの互換性を維持することです。しかも、Flash Catalystと互換性のないプロジェクト構成設定も存在します。Flash Builder 4.5では、「Flash Catalyst compatibility checker(Flash Catalyst互換性チェッカー)」をオンにすると、Flash Catalystにインポートする際に問題が発生する可能性を含むコンポーネント、属性、またはプロジェクト設定が存在する場合には警告が表示されます。そのため、そうした問題を解決したり、プロジェクトのパーツをライブラリにリファクタリングしたりしてから、デザイナー向けにプロジェクトをエクスポートすることができます。
Flash Catalyst CS5.5を使用した場合、デザイナーは、デベロッパーが設定したスキン適用可能なカスタムコンポーネントと併せて、前のリリースで導入されたアートワークをコンポーネントスキンに変換するワークフローを利用できます。また、Flash Builder 4.5では、スキンステート、スキンパーツおよびコンポーネントのビジネスロジックを指定できる、必須のActionScriptクラスを生成可能な便利なウィザードが提供されています。
Flash Builder 4.5では、コードの作成とデザインの変更の両方を行うデベロッパー向けに、Flash Catalyst CS5.5を起動して編集するワークフローも使用できるようになっています。両方の製品がインストールされている場合、Flash Builder 4.5でプロジェクトを選択して[Edit in Flash Catalyst(Flash Catalystで編集)]を選択し、Flash Catalyst CS5.5で必要なデザインの変更を行った後、Flash Builder 4.5に戻って更新版のプロジェクトに対して作業を続行できます。これにより、ワークフローを迅速化し、FXPファイルの書き出しと読み込みを完全に避けることができます。
Flash Builder 4.5とFlash Catalyst CS5.5を連携させて使うことに関しては、様々な取り組みが行われています。デザイナー主導型ワークフローとデベロッパー主導型ワークフロー、スキン適用可能なカスタムコンポーネントの作成、および、Flash Catalystプロジェクトに関する制限事項について詳しくは、Adobe Developer ConnectionサイトのJacob Surberの記事を参照してください。
プラットフォームサポートの更新とパフォーマンスの向上
今回のFlash Builder 4.5は、最新バージョンのEclipse(バージョン3.6.1「Helios」)をベースにしています。そのため、Eclipseを使った強化機能およびバグ修正はすべて、Flash Builderユーザーが利用できるようになっています。さらに、Mac OS Xに関しては、Eclipseの「Cocoa」バージョンを使用できるように、Flash Builderをアップデートしました。古い「Carbon」バージョンのサポートは今後中止する方向です。
Flash Builder 4.5は、Adobe Flex 4.5 SDK、Adobe AIR 2.6、Flash Player 10.2など、アドビの最新テクノロジーにも対応しています。モバイルプロジェクト以外のプロジェクトに対して、Adobe Flex 4.5 SDKはSparkバージョンのForm、Image、DataGridといったコンポーネントを導入しており、それらはすべてFlash Builder 4.5でもサポートされています。Adobe Flex 4.5 SDKについて詳しくは、Adobe Developer Connectionサイトに掲載されているDeepa Subramaniamの記事を参照してください。
改善されているにもかかわらず表には出てこないものの1つに、Flash Builderのアーキテクチャとインストーラーに関する強化が挙げられます。「スタンドアロンバージョン」と「プラグインバージョン(Flash Builderを既存のEclipseインスタンスに追加する場合に使用)」という、2種類のインストーラーはもうありません。その代わり、スタンドアロンバージョンをインストールし、ユーティリティディレクトリ内にあるユーティリティを使用して、1つまたはそれ以上存在する既存バージョンのEclipseを使って作業できるように、Flash Builderを設定します。
プラットフォームサポートの更新以外にも、非常に多くの時間をかけてFlash Builderで大規模なカスタマープロジェクトを検証し、パフォーマンスおよびメモリ使用量の改善に努めました。大幅な改善が見込まれる領域として、デザインビュー、リファクタリング、およびプロファイリングの3つを特定しました。後者の2つの領域においては、オペレーションに必要な時間が最大65%短縮されることが分かっています。これにより、ソースファイルを多数含んでいるプロジェクトや、依存関係があるライブラリプロジェクトを複数含んでいるプロジェクトでは、これまでよりも生産性が大きく向上します。Flash Builder 4.5ではデザインビューが大きく見直され、コードビューからデザインビューへの切り替えの時間が短縮され、複雑なプロジェクトをレンダリングするのに十分に堅牢になっています。
その他の改善点
Adobe Ideasサイトに寄せられたユーザーからのフィードバックおよび機能のリクエストを基に、今回のリリースに反映させた機能や小規模な改善点は、その他にもたくさんあります。そうした改善点をいくつかご紹介します。
- MXコンポーネントをまったく使用できない「Spark限定」プロジェクトを設定できます。
- 「ActionScript AIR」プロジェクトを設定できます。
- ActionScriptファイルとMXMLファイルは、ファイルシステムからこれらのファイルタイプを起動できるように、Flash Builderと関連付けることができます。
- デザインビューでは、コンポーネントをドラッグ&ドロップした場合、ビジュアルフィードバックが表示されます。
- 開発中のプロジェクトでデザインビューが必要ない場合は、デザインビューを無効にできます。
- スタンドアロンのプレビューとデバッグ(HTMLラッパーを使用していない場合)については、使用したいFlash Playerを設定できます。
- コードテンプレートを使用して、Flash Builderによって生成されるコードをカスタマイズできます。
- コンテンツアシストを起動するトリガーキーを指定したり、オートコンプリートによる入力データ候補を受け入れるために使用するキーを追加したりできます。
- ファイル/ファイルタイプをビルド出力フォルダーから除外できます。
- デベロッパーは、更新版のFlexUnit SWCをユニットテスト機能と共に使用するように選択できます。
- プロファイラーでは、保持されているヒープが報告され、オブジェクトプロパティが表示され、オブジェクト参照のツリービューが示されます。
Flash Builder 4.5 for PHPの導入
この記事で既に述べた魅力的な機能と改善に加え、PHPデベロッパー向けのFlash Builderの新しいバージョン「Flash Builder 4.5 for PHP」も導入されます。Flash Builder 4.5 for PHPは、Flash Builder 4.5とZend Studio 8を統合したものであり、FlexとPHPを使ったWebアプリケーションやモバイルアプリケーションを構築する開発プロセスを合理化します。利用できる機能には、統合インストーラー、新しいプロジェクトウィザード、改善されたPHPサービスへの接続、統合デバッグワークフローなどがあります。この魅力的な新製品について詳しくは、記事「Introducing Flash Builder 4.5 for PHP(Flash Builder 4.5 for PHPのご紹介)」(英語)を参照してください。
次のステップ
Flash Builder 4.5、Flash Catalyst CS5.5、またはFlex 4.5 SDKの新機能について詳しくは、Adobe Developer Connectionサイトをご覧ください。
このリリースに備わっている魅力的な機能をぜひご活用ください。皆様がFlash Builderを使って優れたアプリケーションを構築されることをプロダクトチーム一同楽しみにしています。