はじめに
筆者は、セキュリティに漠然とした不安を持つあまりクラウド利用があまり進んでいないSIerでSEをしています。しかし最近ではクラウドサービスを利用することで様々なメリットを享受し、新たな価値を生み出している企業が多くあることを社内に訴え、まずは小さなサービスから業務でのAWS利用をスタートさせました。
個人的にAWSを利用しはじめたのが2013年の8月、業務での利用開始はさらに後という、AWS歴1年程度のビギナーでしたが、2014年7月の「AWS Summit Tokyo 2014」にてAWS認定試験を受験しました。結果として、普段のAWS利用以外の試験勉強時間は約1週間という短期間でしたが、AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベルに合格することができました。さらに受験を通してAWSへの理解を深めることができました。
実際に受験をしてみて、試験はAWS認定プログラムの初級レベルであるにもかかわらず、けっこう難しく、各サービスの内容やサービス間の連携を深く理解していることが求められる質問が多く出てきました。サービスを構築~運用レベルで使っていたことが功を奏したのか、効率よく勉強できたように思います。
ご自身のAWSスキルを向上したいエンジニアの方は、ぜひAWS認定プログラムに挑戦してみることをオススメします。本稿がAWSビギナーの方や筆者と似た境遇の方の参考に少しでもなれば幸いです。
試験の学習の流れ
本連載では以下の流れで試験の学習方法をご紹介していきます。
- 認定試験の概要を理解する
- AWS上で環境を構築して各サービスの連携を理解する
- 紹介ページとFAQからAWS各サービスの概要を理解する
- ドキュメントからAWS各サービスの概要を理解する
第1回はAWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル試験の公式試験ガイドを確認することといくつかのサンプル問題を解くことで、AWS認定試験がどのようなものであるかを知っていきます。
対象読者
- AWSを使ったことはあるが利用経験が少なく、試験の学習をすることでさらに理解を深めたい方
- AWS認定資格を取得することで顧客や同僚へAWSのシステム設計力や理解度を示したい方
AWS認定プログラムの概要
まずは公式サイトで公開されている情報をもとに、AWS認定プログラムの概要を確認します。
AWS認定プログラムとは
AWSプラットフォームで稼働するアプリケーションの設計、デプロイ、管理に必要なスキルと技術知識を有することを認定する試験制度で、全3区分と3つのレベルで構成されます。
2014年10月現在では以下の試験が受験可能となっており、それ以外の試験は今後提供予定となっています。
- AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル
- AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナルレベル
- AWS 認定デベロッパー – アソシエイトレベル
- AWS 認定システムオペレーション(SysOps)アドミニストレーター – アソシエイトレベル
本稿でご紹介する「AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル試験」は最も早く提供が開始された試験です。
AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル試験に合格するメリット
AWS認定資格を取得することで以下のようなメリットがあります。
資格試験の学習を通してAWSのベストプラクティスや正しい知識を身につけることができる
試験では詳細レベルの内容も求められ、あいまいな知識で合格することは難しくなっています。しかし学習を通してAWSサービスの特性を知ったり、サービスの組み合わせによるメリット・デメリットを知ることができます。
AWSに関する知識や経験があることを顧客や同僚に示すことができる
認定試験に合格し、アグリーメントに同意することで「AWS認定ソリューションアーキテクト」の名称とロゴの使用が許可されます。これによって顧客や同僚にAWSについて一定の知識があることを示すことができます。
実際のところ筆者は上司から「よくやった!」との言葉を頂き、AWSやクラウドサービス利用について同僚から相談を受ける機会も多くなりました。
受験方法
AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル試験はKryterion Testing Centersでアカウント登録した後、オンライン予約することで申し込むことができます。
2014年10月現在の受験会場は東京・大阪・福岡のテストセンターとなっています。
AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル受験者に求められるもの
公式サイトでは受験者に求められる経験・能力・知識として以下が挙げられています。
- AWS における分散システムの可用性、コスト効率、高耐障害性およびスケーラビリティの設計に関する1年以上の実際の経験
- 最低でも1つのハイレベルプログラム言語についての深い知識
- AWSベースのアプリケーションに関する要件の識別と定義についての能力
- オンプレミスとAWSの構成要素を組み合わせた複合システムのデプロイの経験
- AWSプラットフォームで安全性と信頼性の高いアプリケーションを構築するためのベストプラクティスを提供する能力
またAWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル試験ガイド(PDF)には、関連するIT全般の知識として、以下の知識や経験が求められることも記載されています。
- Apache、Nginx、IISなどのウェブサーバー
- RDBMS、NoSQLなどのデータベース
- その他ネットワークやセキュリティ
試験ガイド(PDF)は公式サイトの下記イメージの場所からダウンロードすることが可能です。
AWS認定プログラムアグリーメントの確認
試験を受けるためにはAWS認定プログラムアグリーメントと呼ばれる条件に同意する必要があります。
受験の際にはひと通り目を通しておく必要がありますが、特に「2.2 秘密保持」の部分については注意が必要です。認定試験の内容については開示してはならないこととなっているため、他の資格試験のように問題集などで試験対策をすることはできません。