カンファレンスの概要
- 公式サイト:https://elmeurope.org/
- 開催日時・場所:2017年6月8日~9日 フランス・パリにて
会場はパリ中心部から少し離れたコンピュータサイエンスの専門学校Efreiの講義室、時間帯は午前9時ごろ~午後6時ごろで朝と昼にサンドイッチなどの軽食が出ました。
内容は1日目は11本、2日目は11本の合計22本のトークで、そのうちキーノートが2本と豪華でした。トークが行われている会場は一つだけなので、全ての人が全てのトークを聞くことができます。
今回のスポンサーは、会場を提供しているEfrei校やElmの最大のユーザー企業であるNoRedInk社をはじめ、GoogleやMicrosoftなども名を連ねています。
キーノートは1日目がElm作者のEvan Czaplicki氏、2日目がRichard Feldman氏で、彼らは2人とも米NoRedInk社の社員です。
NoRedInkはオンラインの英文法学習システムを手がけるベンチャー起業です。Elm言語はその目的のために開発されているわけではありませんが、言語の開発をサポートしたい企業側と言語のフィードバックを得たい作者側で、お互いにメリットのある関係になっています。
キーノート以外の発表者は、事前の募集に応じた世界各地のElmユーザーで、特に資格などの制限はありません。
また、カンファレンスに参加したい人は、事前にチケットを予約しておけば誰でも参加できます。とはいえ、やはりエッジな技術を使い倒す人々の集まりというだけあって、発表者・参加者ともに(良い意味で)曲者揃いでした。
カンファレンスに参加する意義は、トークを聞くだけではありません。世界中から集まった多くのElmユーザーと、直接顔を合わせて話すことができるのも大きな魅力です。
今回は特に、トークの合間や昼食時にユーザー同士が交流できる時間が多く用意されていて、初対面でも「どこから来たの?」「Elmで何を作ってるの?」と話しかけ(られ)やすい空気でした。
Evan氏や有名なライブラリの作者もすぐ近くにいるので、直接質問しに行くこともできます。筆者の場合はオンラインで何度かやり取りしている人もいたので、いわゆるオフ会的な雰囲気でした。
ちなみに、今回のカンファレンスに参加した日本人は3人でした。アジア人の参加者は少ないので、今後も継続して参加し、存在感を示していきたいところです。
トーク一覧
2日間に渡る全トークと内容を簡単に紹介します。全ての動画はYouTubeにアップロードされているので、興味のあるトークがあればぜひ観てください。
1日目
- Keynote(アプリケーションの仕様拡張に対する漸進的なアプローチ)
- Visualizing Data with Elm(大量のデータを効果的に見せる方法)
- Building Reorderable UI in Elm(使いやすいUIを作るための心得)
- Bringing Fun to Graphics Programming(ElmでWebGLを使う)
- Understanding Style(レイアウトなどのスタイルにも型をつける取り組み)
- Cooking with Elm(レシピを型で書いてみる)
- Elm-plot:The big picture(グラフ描画ライブラリelm-plotについて作者が語る)
- Multiplayer games by the boatloads. Making elm-gameroom(サーバーと通信するゲームの設計)
- Elm from CTO perspective(CTOとしてElmを採用したらメリットがたくさんあった)
- How to unblock yourself with Elm(Elmの質問はSlackに持って来たら俺が答える)
- The State of Elm 2017(Elmに対する事前アンケートの結果発表)
2日目
- Keynote(徐々にスケールアップしながら大規模アプリケーションを構築する)
- Turning the Elm Narrative Engine inside-out: Inversion of Control at the Framework Level(ゲームのフレームワークを超疎結合に作った)
- How frontend microservices help us stay flexible(ElmをReactやWeb Componentsと協調させる)
- Date manipulation with Elm(日付をきちんと処理をするのは大変だからライブラリを使おう)
- Testing your Msgs fully(Msgを使って再現性・網羅性のあるテストを書く)
- Dive:Building Prezi-like Presentations with Elm(PreziっぽいプレゼンテーションをElmで作ってみた)
- Persistent collections:How they work, and when to use them.(List, Array, Set, Dictの構造と、いつ使うべきか)
- Music Chords Charts in Elm(ジャズのコード進行をElmの型でモデリング)
- Elm from a Business Perspective(ビジネスで使ってみた感想)
- Elm Native UI in Production(React Nativeを経由してモバイルネイティブアプリをElmで作る)
- Elmception - supercharging presentations with Elm(オーディエンス参加型のプレゼンテーションを作る)