CloudGarageとRancherは共に開発者が簡単に使え、透明性も高いツール
――開発者が簡単に利用できるという考え方はPaaSに近いですね。
角 インフラ事業者としては、開発者がラーニングコストをかけずに便利な技術を利用し、すぐにコードを書ける環境を提供したいと考えています。コンセプトはPaaSに近いですが、PaaSはさまざまな機能を提供する分、ユーザーが直接触れないように隠蔽される部分も多く、ベンダーロックインのリスクもあります。
CloudGarageは、必要な機能のみをインストールする自由度を残しつつ、開発や運用を簡素化するソリューションとしてコンテナを導入し、PaaS並みの使い勝手を追求しています。
新藤 RancherもPaaSの領域には踏み込みません。PaaSを利用すると、その部分がブラックボックス化するリスクがあり、それを回避したいユーザーがRancherを導入しています。
角 IaaSがあり、さらに踏み込んだ環境としてPaaSがあり、さらに抽象化されたサーバレスアーキテクチャやFaaS(Function as a Service)があります。特定のベンダーや製品にだけ精通するのは危険なことです。要件に応じて、IaaSを使う方がよい場合があり、PaaSを使う方が楽な場合がある。何を選べばよいかをきちんと判断できるように、インフラに関する知識やスキルを身に付ける必要があると思います。
――CloudGarageやRancherを使ってみたい開発者にアドバイスをお願いします。
新藤 Rancherでは定期的にミートアップイベントを開催しています。また、技術資料としては、ミートアップでの発表資料がとても参考になるので、ぜひご覧ください。
角 東京、福岡、岡山などでイベントを開催しました。イベントでは多くの反響をいただいており、定額型で複数のインスタンスを利用できるというコンセプトが受け入れられていると感じています。今後、技術資料をconnpassなどで順次公開していく予定です。QiitaでもCloudGarage関連の記事が増えています。参考にしてください。
――CloudGarageやRancherの今後の展望を教えてください。
角 今後、CloudGarageとRancherの組み合わせがベストプラクティスになると考えています。CloudGarage上でより簡単にRancherを使えるように、複数のインスタンスを簡単にオーケストレーションできる機能などのアップデートを企画しています。CloudGarageのユーザーからも非常に多くの要望をいただいています。イベントやSNSなどで寄せられたご意見を反映し、随時アップデートを行い、ユーザーに寄り添うサービスに育てていきます。
新藤 CloudGarage上でRancherを使うためのハンズオンを定期的に開催する予定です。コンテナ関連は競争が激しく、すぐに勢力図が変わる分野です。デファクトスタンダートとなったKubernetesにいち早く対応したように、どのような状況でもユーザーの一歩先を見据え、シンプルかつオープンで、誰にでもわかりやすく使いやすい最高のソリューションを提供し続けていきます。
――ありがとうございました。