不満の声が寄せられた大型リニューアルをどう乗り切ったか
2018年6月7日にLINEマンガのリニューアル版がリリースされた。これまでのユーザーの要望などを踏まえて、ユーザーにとってもLINEマンガにとってもWin-Winになると思って取り組んだ今回のリニューアル。しかし、アプリストアでのユーザー評価は、リニューアル前の4点後半から2点前半にダウンした。アプリのレビューをリセットしたことも理由の1つだが、SNSを見ると「なんで背景が白になったんだ。黒が好きだったのに」「LINEマンガといえば曜日連載なのに、どこで読めるのかわからない」などの不満の声が聞こえてきたという。
そうした状況を改善するため、山本さんはLINEの各種サービスに関わるデータ分析・研究を行う「LINE Data Labs」にログ解析を依頼。データドリブンな開発へと舵を切ったのだ。
「どこまで無料にすれば翌日も来てくれるのかなどをログ解析するとともに、UIについてはA/Bテストを実施し、数値化した。その結果とSNS上のユーザーの意見をキャッチアップし、DAUアップに効きそうなところをチューニングして改善していきました」(山本さん)
例えば無料連載の曜日一覧は、バナーにリンクを出したり、セクションを組み替えたりしてわかりやすくするなどの改良を行ったという。開発者たちもユーザーに使ってもらいたいという意識が高いので、すんなりとデータドリブンな開発を受け入れられた。
取り組みはそれだけではない。ユーザーの反応をアプリ開発に活かすため、リリース前の新しい機能をユーザーが試すことができる機能「Labs」をアプリに追加した。現在、Labsでは「黒背景が良かった」というユーザーの声に応えて「Dark Mode」を提供しており、背景色を切り替えられるようになっている。「Dark Mode」は、今後標準機能として正式にリリースする予定だ。
エンジニアドリブンで新機能を追加
Labsを設置したことで、ユーザーの反応の確度も把握できるようになったという。「SNSで要望の多かったDark Modeですが、実際には全体で多く使われているわけではなく、一部のユーザーからの要望が強いようです。Labsで試しているからこそ、そういうところもちゃんと把握できるようになりました」(山本さん)
それだけではない。Labsの設置はエンジニアにも好影響を及ぼしている。「私たちはユーザーが求めることにできるだけ応えたいと思っています。それが実現できる場があるのは嬉しい。エンジニアから新機能を提案する場合のデザイナーチームや企画チームの納得感も増しました。まずはデモを作ってデザイナーや企画に見せて『いいね』となったらLabsでユーザーに試してもらう、という流れが定着したと思います」と崔さん。また関さんは「エンジニアがより主体的に開発を進められるようになったと思います」と言う。
これからどんなことを試してみたいのか、崔さんと関さんにたずねると、「iOS 12から顔の動きを追跡する機能が搭載されたのでそういった動きを取り入れられないか検証したりしています」(崔さん)、「アニメーションなどAndroidならではの面白い機能を入れ、ユーザー体験をより改善していきたいと思います」(関さん)と答えてくれた。
ユーザーファーストな改善を続けたことで、リニューアル直後の継続率は向上しているという。売上高も、2019年の第1四半期には昨年対比で約118%の成長を実現した。今後は、LINEマンガをどのようにしていきたいと考えているのか。
「ユーザー数をもっと伸ばしていきたいと考えています。それができるような体制にするとともに、技術的には、Kubernetesを使ってオートスケールできるような形にしたい。通信環境に左右されず、より使いやすいサービスになるよう、エンジニアリングで解決していきたいですね」(山本さん)
「ユーザーがストレスなくマンガを読めるようにすること。それと同時に開発者も楽しんで開発できる環境にしていきたい」(崔さん)
「どんどん新しい技術を使って、ユーザーに喜ばれる機能を導入していきたい。現在、Dark Mode以外にも自分の好みの背景が選べるTheme Modeの実装も検討しています」(関さん)
今後、LINEマンガではどんな機能を実装し、私たちユーザーを楽しませてくれるのか。これからも注目したい。

