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ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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プロダクトマネージャーカンファレンス2020レポート

あなたは他社でも通用するか? プロダクトマネージャーのキャリアとスキルを採用ニーズから考える

 今年で5年目を迎えた「プロダクトマネージャーカンファレンス」。コロナ禍の折、オンライン開催となったものの、参加者は昨年の2倍以上に増え、世の中の関心の高さを伺わせた。その中でも特に注目のセッションとなったのが、「あなたは他社でも通用するか?!」とドキッとするようなタイトルを掲げて行われた、プロダクトマネージャーのキャリア構築に関するパネルディスカッションだ。そもそもプロダクトマネージャーに必要な素質とは何か、どんなスキルを鍛えればよいのか疑問を抱える人も少なくないだろう。プロダクトマネージャーのキャリア支援を専門とする株式会社クライス&カンパニーと、プロダクトマネージャーを積極採用しているエクサウィザーズ、ラクスルの2社が登場し、求める人材像や採用でのアセスメント方法などについて議論を行った。

求められるPMと市場に存在するPM、キャリアに大きなギャップ

 登壇したのは、株式会社エクサウィザーズ 代表取締役社長 石山洸氏、ラクスル株式会社 執行役員CPO 水島壮太氏、株式会社クライス&カンパニー エグゼクティブヴァイスプレジデント 工藤直亮氏、株式会社クライス&カンパニー 顧問 及川卓也氏。

 近年ようやく一般に知られつつある「プロダクトマネージャー(PM)」という職能だが、実際にどのくらい認知されているのか。冒頭では、クライス&カンパニーでプロダクトマネージャー専門チームに所属する工藤氏が、プロダクトマネージャーの求職と求人情報についてのデータを公開し解説を行った。

 それによると、「求人と求職者との間にかなり大きなギャップがある」という。企業はプロダクト責任者を任せられるような人材を求めている一方、市場には経験が浅い人材が圧倒的に多い。工藤氏は「企業側からは『どうやって探せばいいのか』、求職者側からは『自分の経歴とのマッチングをどう見極めればいいのか』、相談されることが多い」と語る。プロダクトマネージャーの求人の種類は、56%がBtoBプロダクト、34%がBtoC、10%が両方という内訳になっており、BtoBではほとんどがSaaSの案件だという。

 MicrosoftやGoogle、Incrementsなどに在籍、同社の顧問を務める及川氏は「まさに多くの企業がプロダクトマネージャーの採用に積極的であり、大きな盛り上がりを見せている」と語る。その一方で、エクサウィザーズの石山氏は「盛り上がってはいるが、なかなか希望する人材を採用しきれていない」と語り、ラクスルの水島氏も「当社でもジュニアからシニアに採用ニーズが変化していることから、採用が難しくなっている」と実感を語った。

求めるPMの理想像は社会課題と闘う「鬼滅の刃の柱のような人」?

 プロダクトマネージャーの求人・採用が増え、中でも経験者のニーズが高まる中で、採用側が求めるプロダクトマネージャーとはどのような人なのか。

 石山氏はエクサウィザーズの採用ニーズとして「当社では介護・医療や小売といった専門的なドメイン知識を必要とするプロジェクトが多く、さらにAIを活用するため、その知識も必要とされる。当然ながらリーダーシップを持ち、介護士や自治体などとの連携による社会課題解決に関心があり、さらにはエンジニアの3割が外国籍であり英語でのコミュニケーション力も求められる……」と続け、「社会課題という鬼と闘う『鬼滅の刃の柱のような人』」と称した。

 及川氏は「この要件を見るとくじけそうになる」と苦笑し、水島氏も「自分も自信がない」と笑う。石山氏は「あくまで理想であり、チームでこれらを分担して取り組んでいる」と語った。

 水島氏が所属するラクスルでも、印刷ECサービスの他、新領域サービスの開発が活発化しており、それをリードするプロダクトマネージャーを求めているという。さらに自社のみで一から立ち上げるだけでなく、他社とのインテグレーションによるサービスの多角化展開が加速すると考えられており、「そうした複数のスクラムが常時走る形になり、そのうちのいくつかをマネージしてもらう必要がある」と語る。

 そのためのプロダクトマネージャーの要件として、水島氏は「特にデザイナーやエンジニアなどのマネジメント・ディレクター経験があること」をあげ、「ビジネス起点での起業家魂を持つタイプの方は、別枠での採用している。プロダクトマネージャーにはエンジニアリングやデザインのチームを束ねてきっちりとプロダクトを仕上げ、ビジネスとして成長できる形に創り上げる力が重視される。また外国人のエンジニアやデザイナーも多いため、ビジネス英語レベルは必要となる」と語った。

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必要な「ドメイン知識」や「現場感」は自ら現場に取りに行く

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/136 2021/01/04 11:00

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