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ferret Oneに学ぶ「顧客の声」から始めるプロダクトマネジメント

「顧客の声を反映する」プロダクトづくりはなぜ難しい? 契約継続率2倍の施策に学ぶ、チーム連携の重要性

ferret Oneに学ぶ「顧客の声」から始めるプロダクトマネジメント 第1回


「顧客の声が大事」わかっているのになぜプロダクトに反映できないのか

 プロダクトづくりにおいて、何よりも重要なのは顧客の声だと考えています。もちろん全ての声に耳を傾けて、顧客の声のみでプロダクトを作り込もうという意味ではありません。プロダクト自体が明確な意思、「顧客にどういった活用をしてもらい、どういった成果を上げてほしいのか」という強い意思を持っていることが前提です。また顧客自身が課題やニーズ、その解決策を正しく把握していることが大事なので、そこまでのセットアップは非常に重要です。

 顧客の声をプロダクトに反映しない場合、そのプロダクトが顧客の活用ニーズとはかけ離れたものになり、プロダクト自体が顧客にとって価値の低いものになってしまうことが想定されます。それにより、プロダクトの活用率が下がったり、また顧客が求めている機能以外の部分に余計な工数を割いてしまったりする可能性があります。

 ベーシックにおいても、以前は「顧客の声をプロダクトに反映していきたい」という意識を持っていたものの、具体的な施策に落とし込むまでには至らないままプロダクトづくりを進めていた時期がありました。具体的な顧客の声を反映するプロセスを設計できていなかったために、後日、機能の実際の活用率を確認したところ、「開発にかなりの工数がかかった機能だったが、実はあまり使われていなかった」というようなことが生じていました。

 一方で、プロダクトづくりにおいて「顧客の声が大事だ」という声はよく聞くものの、その実現は難しいものです。なぜなら、普段各チームが追う指標は、マーケティングチームでは獲得リード数、セールスチームでは受注数、カスタマーサクセスチームでは契約継続率、プロダクトチーム(PMと開発チームで構成)では取り組んだイシューの数など顧客の声に必ずしも直結しないものを追っているためです。各チームが相当意識的に顧客の声やプロダクトと向き合わなければ、それぞれの動きが顧客にとってのプロダクト価値向上につながらないことも起こり得ます。

 ベーシックにおいても、顧客の声をプロダクトに反映できるような仕組みを整えられえておらず、結果として顧客が求めるプロダクトの価値を体現できず、せっかく契約いただいたお客さまにも短期で解約させてしまう事態が起こっていました。

 その事態に対しベーシックでは、チーム間で共通のゴールを認識して、顧客の声などの知見を吸収するために、マーケティングチーム・セールスチーム・カスタマーサクセスチーム・プロダクトチームで集まり、カスタマーサクセスチームが受け取った顧客の声を共有するための「Uber Voice」という会議や、カスタマーサクセスチームとプロダクトチームが、顧客の声とプロダクトのビジョンに基づき開発の優先度を話し合う「プロダクト委員会」を発足し、「プロダクト会議」を定期的に実施することにしました。その取り組みにより、少しずつ顧客の声を活かした改修や実装が実現し、顧客にとってのプロダクト価値を上げることにつながる開発ができました(施策のより具体的な方法については連載第2回にて説明します)。

チーム間での情報共有が質の高いサービスにつながる

 チーム間連携が必要なもう一つの理由は、プロダクトチームとセールスチーム・カスタマーサクセスチームが連携し、セールスチームとカスタマーサクセスチームによる対顧客のコミュニケーションが改善されることが、顧客に質の高いサービスを提供することにつながるからです。

 例えば、セールスチームが見込み顧客に対してプロダクトづくりの状況を伝えることで、顧客のニーズとプロダクトが合致することを示し、商談を進めやすくしたり、カスタマーサクセスチームがプロダクトチームとの密な情報共有により顧客からの技術的な質問に対して即座に答えることができることで、迅速に顧客の課題を解決できるようになったりします。

 一方、もしプロダクトチームと他チームの連携が不十分だと、プロダクトチームが描いていない開発計画に基づいた広告訴求をマーケティングチームが行ってしまうようなことも起こったり、プロダクトチームにおいて開発優先順位の低い内容だという判断が下った機能についても、セールスチームやカスタマーサクセスチームが「この機能はすぐにアップデートされますよ」とアナウンスしてしまい、顧客の誤解を招いてしまうといったことが起こったりする可能性があります。そのため、プロダクトチームと他チームの連携は必須だと考えています。

 ベーシックでは、プロダクトチームとマーケティングチーム・セールスチーム・カスタマーサクセスチーム間での情報共有の仕組みができあがったことで、顧客の声に基づいてプロダクトの質が改善されるようになりました。それだけでなく、セールスチーム・カスタマーサクセスがプロダクトの方向性を正しく理解することで、提供するサービスの質を高めることにもつながりました。そのことが、冒頭で述べたような契約継続率の上昇(46.2%→87.5%)という結果をもたらしました。

 ベーシックに限らず、多くのプロダクトにおいて、契約継続率の伸び悩みが課題となっていることと思います。それらの課題は、顧客の声と向き合うための仕組みづくりによって解決することが、上記の経験によりわかりました。プロダクトが持つ使命は、顧客の課題を解決することです。その課題解決に向けて、顧客の声を活かしたプロダクトづくりを進め、よりよいサービス提供をすることが私たちプロダクトに関わる人に求められていることだと考えています。

 次回は、契約継続率の向上につながった施策の具体的な実施内容についてお伝えしたいと思います。

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この記事の著者

秋 在淳(アキ ジェスン)

 株式会社ベーシック SaaS事業部 カスタマーサクセス部長。Web制作会社やベンチャー企業の立ち上げ、起業を経て2016年に株式会社ベーシックへジョイン。フィールドセールスマネージャーから、アカウントサクセスチーム立ち上げのためカスタマーサクセス部へスイッチ。現在はアカウントマネジメントグループの...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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