リーダーとして意識している3つのキーワードとは
――組織をマネジメントする立場として意識していたことはありますか?
メンバーそれぞれの役割と自信です。それを実現するためのチームやメンバーの組み合わせも重視しています。
大切なのは、組織活性化の本質的な目標とリーダーの役割を互いに理解し合うこと。メンバーの自信を高めるにはどうするべきか、組織内で戦略的にコミュニケーションをとるためにはどのようにチームを導けばいいか――。リーダーは常にそういったことを考えなければなりません。チームのメンバーとの信頼を築くためには、リーダーの姿勢が重要だと考えています。
サッカーを例にあげて考えてみましょう。イングランドのプレミアリーグに、リバプールという世界的に有名なサッカーチームがあります。日本代表の南野拓実選手が所属するチームとしてご存知の方もいるかもしれません。このチームは長い間プレミアリーグの優勝を勝ち取れなかったことを受け、ユルゲン・クロップ(Jurgen Norbert Klopp)氏を監督として迎え入れました。クロップ氏は良い選手たちを発掘するだけでなく、選手たちと密にコミュニケーションをとりながら成長を促し、リバプールを新しいチームへと生まれ変わらせました。その結果、チャンピオンズリーグ優勝とプレミアリーグ優勝という2冠を掴み、世界最強のチームとなったのです。
このように、チームの雰囲気を作るにはリーダーの役割がとても重要です。メンバー1人ひとりの長所をよく把握し、適切な仕事を与えること。そして良い成果が出せるよう、自信を持たせることが、リーダーの大切な役目なのです。
――組織づくりで大切にしていることはありますか?
組織はもちろんひとりでは成立しませんが、ただ大勢の人がいるだけでも組織とは呼べません。ではなにがあれば組織と言えるのか。私はそれを「文化」だと考えています。
決して属人的ではない、組織ならではのやり方や考え方、または醸し出す空気のようなものと言えるでしょう。そしてその文化を醸成するために重要な役割を果たすのがリーダーです。そのリーダーの役割として以下の3つのキーワードを私は意識しています。
- コネクター:チームや個が有機的につながる
- ビルダー:心理的安全性のあるチーム構築
- コミュニケーション&ディレクション:一方通行ではない対話や並走、それによる課題解決
――デザインの組織づくりに携わってきたなかで、陥りがちな失敗にはどういったものがあると思いますか?またその解決策についても教えてください。
デザイン組織が陥りやすい失敗の多くは、問題定義の曖昧さと経験不足のふたつが原因です。 多くの組織が、今起きている現象だけに集中し問題の本質を把握できていなかったり、「勘」に頼った意思決定を行ってしまうことで、失敗につながるケースが多い印象です。また組織間での柔軟な協業ができていないことも失敗の原因となりえます。
これらを解消するために、リーダーやマネージャーは本質課題の発見を促し、意思決定のためのプロセスをデザインすること。そして、組織間のコラボレーションを積極的に行うとともに、メンバーが時に曖昧さや失敗を楽しみながら実験的取り組みを続けられる。そんな組織文化を構築していくことが大切なのではないでしょうか。