ガートナー ジャパンは、日本企業の市民開発に関する実態調査の結果を5月27日発表した。
同調査は2021年2月、日本の企業内個人を対象に、エンドユーザーによるアプリケーション開発(以下、市民開発)の現状を把握する目的で実施したもの。
市民開発の実施状況を尋ねたところ、「エンドユーザーが開発したアプリケーションがある」と回答した割合は62%に上った。一方、IT部門に所属する個人の回答でも、約37%がエンドユーザーによる市民開発を認識しており、広義の市民開発の普及が進んでいる現状がうかがえる。
エンドユーザーが自ら開発する理由について複数回答で尋ねたところ、「自分たちで開発できる (IT部門に頼むほどではない)」が62.2%、「自分たちの要求、要件の内容に沿ったものができる」が54.6%、「自分たちで開発した方が早い (時間短縮)」が52.1%と、回答の上位3項目に挙げられた。
また、市民開発の対象となるアプリケーションの種類について尋ねたところ、回答が最も多かった項目は「自分自身の作業効率の向上」(47.5%)だったが、自分自身だけでなく、部署レベルで相対的に複雑な処理が求められる領域でも市民開発が多く見られ、幅広い市民開発が日本でも進展していることが明らかになった。
一方、市民開発における課題については、「ブラックボックス化、属人化」「品質のばらつき」「ガバナンスの困難さ」が、上位3項目に挙げられた。
こうした課題は、IT部門やシステム・インテグレーターが開発したアプリケーションでも見られ、解決が難しいともいえるが、放置していては悪化する。IT部門は、ユーザー部門と協力して、予防・解決に努めることが求められる。
また、同調査では、今後のアプリケーション開発の在り方についても尋ねた。「IT部門によるサポートを得て、エンドユーザーによるアプリケーション開発を推進すべき」(48.9%)が最も多かったものの半数には至っていない。一方で、「IT部門に開発を任すべき/移譲すべき」(30.0%)という回答も多く、必ずしもユーザー部門側が市民開発の継続一辺倒で考えているわけではない現状が浮き彫りとなった。
一方、IT部門の個人に、今後の市民開発に対する関与の在り方を尋ねたところ、「ガバナンスなどルールづくりに関与すべき」と回答した割合が突出 (73.3%)しており、市民開発に関するIT部門の問題意識が表れた結果となった。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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