はじめに
リッチクライアント技術が数多く発表される中、その姿を現した「Silverlight」という新しいプラットフォームは、開発コード「WPF/E(Windows Presentation Foundation/Everywhere)」で呼ばれており、同様の新技術である「WPF(Windows Presentation Foundation)」のサブセットとして誕生しました。そのため、WPFと同様に「XAML(Extensible Application Markup Language):ザムル」というXMLベースのプレゼンテーション記述言語を使用する次世代のリッチクライアント言語と呼ばれています。
Silverlightはまだバージョン1.0がBeta版、1.1がAlpha版であるため、今後大きく変わっていくことが予想されますが、現時点でも十分な魅力を備えていますので、それらを少しでも紹介し、一足先に親しんでいただければと思っています。
本記事では、Silverlightの魅力と簡単なサンプルを紹介します。
対象読者
本記事は、次のような方を対象としています。
- HTTP、HTML、JavaScriptを使用した開発を行ったことがある方
- Flashを使用した開発を行ったことがある方
- Silverlightについて興味がある方
必要な環境と準備
- Silverlight 1.0 Beta SDK
Silverlight 1.0 Beta SDKをダウンロードするには、マイクロソフトのSilverlightサイトのメニューから[ツール]をクリックし、表示される「ツール&リソース」ページで[Microsoft Silverlight 1.0 Beta ソフトウェア開発キット (SDK) (英語)]をクリックします(図1)。
ローカルディスクに「Silverlight1.0SDK.zip」ファイルを保存したら、任意のフォルダに解凍してください。SilverlightのSDKは、解凍したファイルの「Silverlight.js」が該当し、その呼び出しロジックは「CreateSilverlight.js」に記述されています。本記事のサンプルではこれらを使用します。
Silverlightアプリケーションの実行
Silverlightアプリケーションを実行するには、Webブラウザにプラグインをインストールする必要があります。プラグインがインストールされていない状態でSilverlightアプリケーションを実行すると、インストールを促すアイコン(図2)が表示されるので、指示に従いSilverlightプラグインをインストールしてください。
Silverlightのランタイムにも1.0 Betaと1.1 Alphaが存在し、1.1 Alphaは1.0 Betaのすべてを含むため、1.1 Alphaがインストールされていれば、1.0 Betaで作成されたSilverlightアプリケーションを実行できます。逆に、1.0 Betaしかインストールされていない環境では1.1 Alphaで作成されたアプリケーションを実行できません。その際はアップグレードする必要があります。
Silverlightとは
Silverlightは、マイクロソフトによって開発されたクロスブラウザ(※1)・クロスプラットフォーム(※2)・高度なメディアエクスペリエンスやRIA(Rich Interactive Application:表現力/操作性に優れたアプリケーション)を実現する、軽量なWebブラウザプラグインアプリケーションです。WPFのサブセットとして開発されたため、XAMLを媒介に、開発者とデザイナーがそれぞれの使い慣れたツールを使用して完全に分業できます(※3)。
- ※1 執筆時点(2007/7)ではInternet Explorer 6、7、Firefox 1.5以上、Safariに対応。
- ※2 執筆時点(2007/7)ではWindows OS、MacOS Xに対応。今後Windows Mobileにも対応予定。
- ※3 執筆時点(2007/7)では正式にサポートされた開発環境はない。正式サポートは開発者向け「Visual Studio 2008」(2007年中出荷予定)やデザイナー向け「Expression Blend 2」(出荷日未定)の予定。
Silverlightの特徴
Silverlightには次のような特徴があります。
- 軽量なランタイムと簡単なインストール
- ベクターベースのグラフィック
- 統合的なメディア形式
- 既存のWebテクノロジーとの容易な連携
- 検索エンジンとの連動
- 多彩な開発言語(1.1以降)
Silverlightのファイル構成
本記事では、サンプルとして「Silverlight 1.0 Betaで作成したメディアプレーヤー」を用意しました(リンク参照)。このサンプルを使って、Silverlightアプリケーションの一般的なファイル構成を紹介します。最小構成として次のようなファイルが必要となります。
- Silverlight.js
- createSilverlight.js
- Default.htm
- myxaml.xaml
- Silverlight.wmv