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Developers CAREER Boost 2023 セッションレポート(AD)

エンジニアとして20代で就職、起業、スタートアップCTOを経験して見えたキャリア構築のポイント

【C-2】何かを生き急いでいた20代。起業し、そしてスタートアップのCTOになってみた僕の振り返り

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あなたにとって成長とは? 技術の変化に振り回されないために

 これまで横塚氏はどのようなキャリアパスを歩んできたかを見ていこう。プログラミングの入口に立ったのは高校時代。HTMLとCSSを使い、ホームページを作ったのが始まりだ。大学に入りエンジニアを意識し始めると、最初に試したのがRailsチュートリアルだった。まだ現在のようにUdemyなど教材が豊富な時代ではなかった。

 ある程度知識を身につけると、学生のうちにフリーランスとしてHP制作や受託開発を請け負うようになり、法人化の経験もする。しかし組織でエンジニアの経験も積みたかったため就職して、正社員と個人事業主の二足のわらじを履いて過ごした。

 技術スタックで見ると、学生時代はPHP、Laravel、Railsなどが中心だった。社会人になるとITコンサルタントも経験しつつ、言語はJava、Rails、PHP、Pythonが中心となり、時にはETLを使ってデータをデータ基盤に流し入れるようなことも経験した。

 会社勤務は2年ほどで卒業し(自分で起業した会社は存続)、26歳でシード期のhokanに参画。このhokanは2017年創業、保険業界の課題をテクノロジーで解決することを目指した“InsurTech”のスタートアップだ。「保険の保管」や「保険代理店や保険募集人の(業務の)補完」を社名に込めている。現在入社して6年ほど過ぎたところだ。

 見ての通り、とても駆け足で進んできた。学生時代は見るものすべてが新しく、フリーランスという形で学びたいことややりたいことで仕事を請け、日々成長している実感を味わっていたという。

 社会人になると、もちろん学びもあるものの、バリューを出すことが求められるなかで「自分ができることのなかで最大限のパフォーマンスを出す」ことを意識するようになり、「成長できている」実感が持てなくなり、焦りを感じ始めた。

 このころから周囲が気になり始めた。これまでフロントエンドはAjaxだったのに、Angularだ、Reactだと騒がれると「自分も追いつかなくては」と焦る。人気の高い言語の噂を聞くと「これも勉強しなくては。アプリも書かなくては」と焦りが募り、精神的にきつくなってきた。「空いた時間があれば闇雲に勉強するようになり、身体を壊したこともありましたし、すべてが中途半端になった時期もありました」と横塚氏は振り返る。これが最初のスランプと言えるかもしれない。

 こうした経験は自立して間もなくの段階で起こりやすい。「あれもこれも」と自分の成長に貪欲になり、周囲と比較することで焦り、ストレスは高まっていく。横塚氏は「“成長したい”という漠然とした思いに迷い、戸惑い、焦るなか、“成長とは何か”を解像度高くとらえられていませんでした」と言う。

 ゴールが多すぎて散漫になってしまう時には一度立ち止まり、目標を明確化したり、優先順位を整理したりすることが大事になる。横塚氏は「それぞれ答えは違うと思いますが、私にとって成長とは、“意思決定の数と責任をとった数”と言語化しました。これが自分のなかでしっくりきて、だいぶ楽になったところもあり、前進につなげることができました」と話す。なお横塚氏の「意思決定」というのは独断ではなく、説明責任も果たしながら適切なプロセスで決断していく、そうした経験を積むことを表しているのだという。

 最初のスランプは自分にとっての成長を言語化することで脱した。これが第一の転換点と気づきだった。

求められるものが変わって、自分を見失いそうなときは

 hokanに参画し、間もなくCTOに就任する。シード期にはひたすらプロジェクトを立ち上げ、リリースしてはフィードバックをもらって修正することを繰り返していた。無我夢中で開発のサイクルを回している間は、忙しさやプロダクトが成功するのかという不安はあったものの「悩みはありませんでした」と横塚氏は言う。

 横塚氏が壁に直面するのは、会社がスケールと組織化のフェーズに入ってからだ。採用・育成・マネジメントに追われるようになってくると、次第に心に暗雲が立ちこめてくる。手を動かさなくなる時間が増え「あれ? 自分ってなんだっけ? これ得意だったっけ?」と自分の存在意義が揺らいできた。

 hokanで直面したスランプはCTOの先輩諸氏と会話を重ねていくなかで、徐々に解消されてきた。なかには「CTOはエンジニアじゃないよ。経営者だからね」とアドバイスしてくれた人もいた。横塚氏は「ポイントとしては“一人では悩まない”」と話す。

 ここで冒頭に横塚氏が挙げた、充実したキャリアを構築するために重要な「個人の強みと独自性の発揮」と「変化への適応力」に戻ろう。これまで横塚氏が経験したことと強くつながっている。

 横塚氏は前者について「毎日真剣に仕事をしていたら、必ず個人独自の強みはあるはずですし、あると信じるしかないです。自分を客観視するためにも、1on1やメンタリングを受けることが重要」と話す。

 後者はスタートアップで多くの変化やドラマを経験してきたうえで「会社のフェーズが変わることで求められるものも変わるので最初は苦しむのですが、変わっていかなくてはいけないという心の準備が重要です。変わるためには、与えられた時間のなかで使う時間を徹底的に変えていくことも重要で、個人としても変化への適応力が大事だとあらためて気づきました」と話す。

 エンジニアに何が求められているかは、これからも模索し続ける必要があるだろう。横塚氏は「意識しておきたいのは、人間の感情を考慮・前提とした能力」と言う。例えばコミュニケーション能力。今ではAIと対峙する時のプロンプトエンジニアリングといった領域も出てきているくらいだ。あるいは人を動かす力。合理性だけでは進まない時もあるなか、どうすれば人の心を動かせるのか、自分たちのプロダクトが業務・生活・感情にフィットしていくのかを考えていく力が必要だ。

 最後に横塚氏は「hokanではエンジニア特設サイトもありますので、興味あればご覧ください。エンジニアのキャリアについてもカジュアルにお話しさせてください」と呼びかけてセッションを締めた。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

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