ヒューマンリソシアは、世界のITエンジニアの動向を俯瞰的に把握することを目的に、国際労働機関(ILO)や経済協力開発機構(OECD)の公表データ、各国の統計データベースなどを基に独自集計し「ITエンジニアとして活躍が期待される国内の大学等新卒の就職動向」について、独自集計した結果をレポートとして3月12日に発表した。
大学および大学院(修士・博士)を卒業し、ITエンジニアとして新卒で就職する卒業者数は、2013年の2.3万人から2023年には約4.8万人となり、10年間で2倍と大きく増えていた。2021年には前年より2.4%減少となったものの、それ以外では前年を大きく上回っており、直近10年間の平均増減率は7.5%増となった。
こうしたITエンジニアへの就職者数を出身学部別にみると、理系(理学部+工学部)学部出身の就職者が緩やかな増加である一方、文系を含む理系学部以外の就職者が大幅に増えていることがわかった。2013年の大学学部の新卒就職者においては、理系出身者が55.1%を占めていたが、2023年には理系出身者が占める比率は38.2%まで低下し、61.8%を理系以外が占めている。
また、ITエンジニアへの新卒就職者を男女別にみると、男性、女性、いずれも増えているが、女性の増加が顕著となった。男性は2013年の約1.80万人から、2023年には約3.42万人へと10年間で1.9倍となる一方で、女性は2013年の約0.53万人から1.40万人と約2.7倍になった。2023年には、ITエンジニア就職者のうち29.1%を女性が占めていた。
調査結果から同社は、採用企業側が、ITエンジニア確保に向け、大学等の新卒採用を強化していること、また育成を前提に、理系学部以外の学生や女性を積極採用していることが推測されたとしている。この背景には、理学部・工学部や、STEM分野の学生がほとんど増えていないことが要因の一つとしてあげられる。グローバル化が進む中、日本が世界での競争力を高めるためには、高度な専門知識、スキルを有する人材の育成と、ITエンジニアとして活躍し続けてもらうために、職業やキャリアの魅力向上が不可欠であると考えられている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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