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プラットフォームづくりを成功に導く!開発者のための「Platform Engineering」入門

Platform Engineeringの2つの「IDP」~Internal Developer Portalとその代表例Backstage

第5回 内部開発者ポータルとは何か、そして「Backstage」が実現する3つの支援

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Backstageの導入効果

 本記事を読んだ方は、Backstageを導入することでどれぐらい効果があるか、という点がもっとも気になることでしょう。

 Spotify社のブログにてBackstageの導入効果が述べられています。Backstageを活発に利用しているユーザーは、Backstageをあまり利用していないユーザーと比べ、Pull Requestの数が2倍以上多く、それらのコード変更にかかる時間も17%短縮されているという結果が出ています。

 また、興味深い内容として、Backstageを活発に利用しているユーザーは、そうでないユーザーと比べ12か月後の在籍率が5%高いという結果が出ています。Platform Engineeringの目的である「開発者の認知負荷の軽減」が、結果として開発者の従業員満足度を上げ、離職を防ぐという効果があることが推測できます。

Backstageの提供形態

 Backstageはオープンソースで提供されており、GitHub上でソースコードが公開されています公式ドキュメントでは、ローカル環境での実行方法や、Dockerコンテナを使った実行方法、Kubernetes上での実行方法などが紹介されています。

 Apache-2.0ライセンスで提供されているため、いくつかの企業がBackstageをベースとした独自のパッケージを提供しています。Red Hat社によるRed Hat Developer Hubや、Broadcom社によるVMware Tanzu Developer Portalなどがその代表的な例です。

 また、Roadie社ではBackstageをベースとしたSaaS型のマネージドサービスを提供しています。

 最近ではBackstageのオリジナル開発者であるSpotify社もSpotify Portal for Backstageというサービスの提供を予告しており、各社による活発な商業展開が期待できます。

2つのIDPのもたらす価値

 前回の記事で紹介したInternal Developer Platform(内部開発者プラットフォーム)と、今回紹介したInternal Developer Portal(内部開発者ポータル)は、それぞれ開発者に対してどのような価値をもたらすのでしょうか。

 内部開発者プラットフォームは、開発するアプリケーションを実行する基盤としてインフラストラクチャとアプリケーションのオーケストレーションを提供する概念です。そのプラットフォームを具体的に実現するには、単一のソフトウェアでプラットフォームを構成するのではなく、多様なツールやサービスを組み合わせたものとなるでしょう。

 内部開発者ポータルはそのプラットフォームを操作するための概念として、多様なサービスに対する操作や情報を集約したインターフェースを開発者に提供します。内部開発者ポータルが存在することで、アプリケーション開発の開始から運用に至るまでの各フェーズにおいて、開発者は必要な情報に素早くアクセスできます。

 プラットフォームとポータル、2つのIDPが連携することで開発者の認知負荷の低減を実現します。

まとめ

 内部開発者プラットフォームを操作するためのインターフェースとしての内部開発者ポータルは、開発者が必要な情報に素早くアクセスし、効率よく開発を行うための重要なツールです。

 その代表的な実装例であるBackstageは、多様なツールを使う開発環境においても柔軟に対応できます。

 内部開発者ポータルを導入することで、開発者の生産性向上や開発プロセスの効率化が期待できます。ぜひ、内部開発者ポータルの導入を検討してみてください。

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この記事の著者

吉川 俊甫(ヨシカワ シュンスケ)

 株式会社エーピーコミュニケーションズのテクニカルエバンジェリスト。Platform Engineering Meetup運営メンバー。2023 Microsoft MVP(Microsoft Azure)。コンテナ技術とビールが好き。 X(Twitter):@ussvgr

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/19578 2024/05/28 11:00

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